朝鮮半島の状況が緊迫してきた。北朝鮮の対南批判のトーンが異常なほど高まっているのだ。「平壌指導部に何があったのか」といった疑問が湧いてくる。
 対南批判が金正日労働党総書記の訪中後急速に高まってきたことから、「金総書記の訪中に何か不快な事が生じた」「中国首脳陣が金総書記の要請を断わった」等の情報が流れてくる。
 
 そこで知人の北外交官に単刀直入、聞いてみた。

 ――北朝鮮は異常なほど対南批判、対李明博政権罵倒呼ばわりを繰り返している。何があったのか。金総書記の訪中が成功しなかった腹いせか。

 「金総書記の訪中と今回の対南批判はまったく別問題だ。両者をリンクして考えるべきではない」

 ――それでは何が理由なのか。

 「明確なことは分らない。韓国軍がわが国の指導者の写真をターゲットに射撃訓練を実施しているという。許されない侮辱行為だ。明確な点は、わが国が李明博政権との交渉をもはや願っていないということだ」

 ――すなわち、現政権を見捨て、次期韓国大統領選(来年12月)に影響行使を考えているというわけか。

 「それに近いのではないか」

 ――中国の梁光烈国防相が今月7日、「(北に)冒険はさせない」と北当局に警告を発したという。この発言内容は、北側が何らかの軍事冒険を行う危険性が出てきた、という事を示唆している。

 「わが国が韓国と戦争状況に入ることはない。軍事衝突は双方に何も利益をもたらさないからだ」

 ――北がミサイル発射や3回目の核実験を実施するのではないかと予想されている。

 「核実験は金総書記と軍部の問題だから、何もいえない」

 ――ところで、北朝鮮は潘基文・国連事務総長の再選を支持したという。

 「当然だ。南北間は目下、険悪化しているが、同じ民族だ。わが国は潘基文氏の最初の立候補時にも率先して支持表明してきた」



【短信】ガネム氏、ウィーン入り

 リビア最高指導者カダフィ大佐の腹心の一人、ショクリ・ガネム(Shokri Ghanem)石油相は先月、カダフィ政権に決別し、リビアを出国してチュニジアに逃亡したが、同氏が先日、ローマからウィーン入りしたことが確認された。同氏の滞在目的は不明だが、同氏の息子が経営している会社と関係があるとみられている。リビア消息筋が明らかにした。
 同氏の周辺には数人のガードマンが常時いる。同氏は安保理決議制裁の資金凍結・渡航禁止対象リストには入っていない。