世界第2の経済大国・中国と欧州連合(EU)の盟主ドイツの共通点は何か、と聞かれればいろいろな答えが可能だが、一つは対リビア外交で「先見の目がなかった」ということかもしれない。
中国は、英仏の対リビア武装支援を拒否し、国連安保理決議でも反対してきた。その背後には、カダフィ大佐のリビアとの深い経済・外交関係があるからだ。例えば、中国はリビアから全原油輸入の3%を頼っている。その上、リビア国内でインフラ整備から原油開発まで50を超えるプロジェクトを推進してきた経緯があるからだ。
カダフィ大佐が首都トリポリから離れたというニュースが流れた直後、中国経済産業省の文仲亮・外国貿易局副局長は23日、「リビアの新政府が中国の投資を保護することを求める」という声明を明らかにしている。
それに先立ち、リビア反体制派関係者は、「カダフィ政権を支持した中国、ロシア、ブラジルは今後、新政権と難しい関係が生じるだろう」と警告を発している。
一方、メルケル独政権は英仏の対リビア武力支援を拒否するなど、対リビア外交では慎重な姿勢を取ってきた。その背景にには、アフガニスタンに連邦軍を派遣するメルケル政権にとって、対リビア武力行使まで手が回らないこと、カダフィ政権の崩壊を予測していなかったことなどが理由として考えられる。
ちなみに、メルケル政権の対リビア外交を静観してきたコール元首相は雑誌「国際政治」とのインタビューの中で愛弟子メルケル首相の名前こそ出さなかったが、「ドイツの現外交は明確な方向性に欠ける」と厳しく批判している。
それに対し、メルケル首相は、「コール元首相の歴史的功績は認めるが、コール首相時代と現代では全ての政治課題が異なる」(南ドイツ新聞)と述べ、即反論している、といった具合だ。
カダフィ政権の崩壊でもっとも元気のいいのは英国とフランス両国だろう。両国は新政権とリビアの原油資源開発問題について既に話し合いを持っている。中国とドイツ両国は、英仏の外交を見ながら、必死に巻き返し外交を模索しているところだ。
【短信】夏の日の国連の「停電」
福島原発事故とその結果、日本では「計画停電」が実施されているというが、ウィーンの国連でも今年、既に2回、停電が発生している。しかし、「計画停電」ではない。突然の停電だ。
2回目の停電は今月3日午前。仕事が始まった直後だ。当方も突然の停電にぶつかってしまった。
記者室の隣りの印刷事務所は真っ暗だ。職員が廊下に出て、なにやら囁いている。どうやら、国連建物全てが停電だという。
後で分ったが、会議場のあるMビルでは停電直後、緊急用電力が作動して一部、停電を回避できた。具体的には、「Mビルの25%は緊急用電力でカバーし、4分の3は停電だった」という。
原因は国連の電気回線が故障したのではなく、国連建物のあるウィーン市22区で何かが生じ、停電中という。道路工事などで電気回線が切れたのではないかという。
出勤してきたばかりの国連職員はエレベーターが動かないのでオフィスに行けない。もちろん、コンピューターもダメだ。そこで多くの職員は中庭で座って新聞を読んだり、談笑する姿が見られた。
1時間半後、電気は回復した。
なお、韓国の朝鮮日報は23日付電子版で、「東京は今月に入ってから3日間を除いて最高気温が30度を超える猛暑が続いたにもかかわらず、電力供給予備率が10%以下となった日は1日もなかった」と指摘、日本国民の節電への努力に脱帽している。当方も同じだ。
中国は、英仏の対リビア武装支援を拒否し、国連安保理決議でも反対してきた。その背後には、カダフィ大佐のリビアとの深い経済・外交関係があるからだ。例えば、中国はリビアから全原油輸入の3%を頼っている。その上、リビア国内でインフラ整備から原油開発まで50を超えるプロジェクトを推進してきた経緯があるからだ。
カダフィ大佐が首都トリポリから離れたというニュースが流れた直後、中国経済産業省の文仲亮・外国貿易局副局長は23日、「リビアの新政府が中国の投資を保護することを求める」という声明を明らかにしている。
それに先立ち、リビア反体制派関係者は、「カダフィ政権を支持した中国、ロシア、ブラジルは今後、新政権と難しい関係が生じるだろう」と警告を発している。
一方、メルケル独政権は英仏の対リビア武力支援を拒否するなど、対リビア外交では慎重な姿勢を取ってきた。その背景にには、アフガニスタンに連邦軍を派遣するメルケル政権にとって、対リビア武力行使まで手が回らないこと、カダフィ政権の崩壊を予測していなかったことなどが理由として考えられる。
ちなみに、メルケル政権の対リビア外交を静観してきたコール元首相は雑誌「国際政治」とのインタビューの中で愛弟子メルケル首相の名前こそ出さなかったが、「ドイツの現外交は明確な方向性に欠ける」と厳しく批判している。
それに対し、メルケル首相は、「コール元首相の歴史的功績は認めるが、コール首相時代と現代では全ての政治課題が異なる」(南ドイツ新聞)と述べ、即反論している、といった具合だ。
カダフィ政権の崩壊でもっとも元気のいいのは英国とフランス両国だろう。両国は新政権とリビアの原油資源開発問題について既に話し合いを持っている。中国とドイツ両国は、英仏の外交を見ながら、必死に巻き返し外交を模索しているところだ。
【短信】夏の日の国連の「停電」
福島原発事故とその結果、日本では「計画停電」が実施されているというが、ウィーンの国連でも今年、既に2回、停電が発生している。しかし、「計画停電」ではない。突然の停電だ。
2回目の停電は今月3日午前。仕事が始まった直後だ。当方も突然の停電にぶつかってしまった。
記者室の隣りの印刷事務所は真っ暗だ。職員が廊下に出て、なにやら囁いている。どうやら、国連建物全てが停電だという。
後で分ったが、会議場のあるMビルでは停電直後、緊急用電力が作動して一部、停電を回避できた。具体的には、「Mビルの25%は緊急用電力でカバーし、4分の3は停電だった」という。
原因は国連の電気回線が故障したのではなく、国連建物のあるウィーン市22区で何かが生じ、停電中という。道路工事などで電気回線が切れたのではないかという。
出勤してきたばかりの国連職員はエレベーターが動かないのでオフィスに行けない。もちろん、コンピューターもダメだ。そこで多くの職員は中庭で座って新聞を読んだり、談笑する姿が見られた。
1時間半後、電気は回復した。
なお、韓国の朝鮮日報は23日付電子版で、「東京は今月に入ってから3日間を除いて最高気温が30度を超える猛暑が続いたにもかかわらず、電力供給予備率が10%以下となった日は1日もなかった」と指摘、日本国民の節電への努力に脱帽している。当方も同じだ。