スペインの首都マドリードで16日から21日まで、若いカトリック信者たちの第26回「世界青年の日」(WYD)祭典が開催される。同祭典には192カ国から数十万人の青年たちが参加予定。
 祭典には800人のローマ・カトリック教会司教、数千人の神父たちも世界から集まる。18日には、ローマ法王ベネディクト16世がマドリード入りし、青年たちと共に歓迎礼拝を挙行する。同16世は21日までマドリードに滞在。
 WYD開催は前法王ヨハネ・パウロ2世のイニシャチブで始まり、3年毎に開催される。2005年の独ケルンでは110万人、豪シドニー大会では40万人が参加した。マドリード大会では開催期間中に総数150万人の信者たちの参加が予想される。
 今大会のテーマは「キリストに根ざして生きる」。会合では、世界の新福音化、生命の保護、家庭の強化などについて参加者たちが自由に討議すると共に、ローマ法王の記念礼拝が行われる。
 欧州のカトリック教国・スペイン(約72%の国民がカトリック信者)は目下、財政危機に陥り、青年層の失業率が欧州最高の40%を越えるなど、経済、社会的に難問を抱えている。
 このような時期に若いカトリック信者たちの集会を開催する事に対し、政府関係者ばかりか国民の間からも、「巨額な費用がかかる。浪費だ」といった批判の声が聞かれる。
 ちなみに、社会労働党政権サバテロ政権が2004年に発足して以来、政府と教会の間で対立が絶えない。政府は中絶の許可や同性愛者の権利認知問題でバチカンと対立を繰り返してきた経緯がある(「スペイン左派政権の危険な試み」2008年5月21日、「スペインの中絶法は社会の自殺だ」10年8月4日参照)。
 スペイン当局はWYD期間中のデモを禁止したが、ベネディクト16世がマドリード入りする前日(17日)、「無視論者・自由思想家団体」ら約140のグループが「われわれの税金をローマ法王訪問のために使うな」というモットーでデモをする予定だ。
 なお、カトリック教会の主催者側は、「経費約5000万ユーロの70%は参加費でカバーし、残りの30%は民間企業などの献金で賄う」と説明、国民の税金は一切使用されないと説明している。



【短信】コルベ神父の死後70年目
 ポーランド人の“アウシュビッツの聖者”マキシミリアノ・コルベ神父(Maximilian Kolbe)の話は読者の方も良くご存知だろう。当方もこのコラム欄で数回、紹介したことがある(「素晴らしき遺伝子」(2010年12月26日参照)。
 神父は1941年、アウシュビッツ収容所で1人のユダヤ人が逃亡した代価として、同収容所長が作成した「10人の死のリスト」に名前が載せられた1人の父親に代わり、自ら死の道を選び、独房で同年8月14日亡くなった。あれから今月14日で70年目を迎えた。アウシュビッツで同日、神父の追悼会が行われた。
 ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁は47年、列福のための調査を開始し、前法王ヨハネ・パウロ2世は1982年に神父を“聖者”とした。


http://blog.livedoor.jp/wien2006/archives/51701135.html