報告が遅れたが、当方はここ4日間、ギリシャを訪問していた。友人が招いてくれたこと、ギリシャが現在、欧州のユーロ経済の行方を握っていること、現地の国民の状況を肌で感じたいこと、などが理由で、突然だったが、飛んだ。
南欧ギリシャの国民経済は財政危機で破産寸前に陥り、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)などから緊急支援を受け、かろうじて破局を回避している。同国政府は先日、EUからの緊急支援を受ける前提条件、国有企業の民営化や増税などを発表したが、緊縮政策に対する与野党間のコンセンサスはまだ実現してない状況だ。
一方、EUの他国からは「労働時間を増やし、休暇日数を短縮すべきだ」(メルケル独首相)といった激を受けるなど、ギリシャはユーロ経済圏の劣等生扱いを受けている。
当方はアテネについてギリシャ第2の都市テサロニケ市にも足を運んだ。そこでは政府の緊縮政策に反対する市民のデモを目撃した。テサロニケ市の名所ホワイト・タワー(White Tower、 Lefkos Pyrgos)周辺で数千人の市民が政府の緊縮政策を批判していた。
デモに参加していた一人の青年は「ホワイト・タワーは19世紀、刑務所として利用され、長期囚人が処刑された場所だ。反政府デモの集会場所をホワイト・タワーにしたのも意味がある」と説明してくれた。
市内の Aristotelous 広場では朝早くから夜遅くまで多くのナイジェリア出身の移住者が物売りをしている。一人の公務員は「緊縮政策の為に犠牲となるのは公務員だ」と述べ、職場を失うのではなかいと心配していた。
それでも、といっては可笑しいが、友人を含めギリシャ国民は当方が考えていた以上に活気があった。当方が住んでいる音楽の都ウィーンの市民よりテサロニケ人は陽気だ。国民経済が破産寸前にもかかわらず、決して意気消沈していない。
「ギリシャ国民が明るいのは、南欧国民の気質だからだ」といわれればそれまでだが、それだけではないだろう。新約聖書の「テサロニケ人への手紙」を思い出したからだ。使徒パウロらがテサロニケ人に送った2通の手紙がある。その第一の手紙には「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい」(「テサロニケ人への第1の手紙」第5章16、17節)という有名な個所がある。
友人を含めテサロニケ人の大多数はギリシャ正教徒だ。彼らは国難のこの時、この聖句を思い出して「感謝しながら、喜びを失わないように努力している」のではないだろうか。少々、一方的な解釈だが、そうあってほしい。白髪が増えてきた友人の顔をみながら、そう思った次第だ。
以上、簡単だが、テサロニケからの報告だ。
ホワイト・タワー(テサロニケ市のシンボル)
デモを準備するテサロニケの青年たち
南欧ギリシャの国民経済は財政危機で破産寸前に陥り、欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)などから緊急支援を受け、かろうじて破局を回避している。同国政府は先日、EUからの緊急支援を受ける前提条件、国有企業の民営化や増税などを発表したが、緊縮政策に対する与野党間のコンセンサスはまだ実現してない状況だ。
一方、EUの他国からは「労働時間を増やし、休暇日数を短縮すべきだ」(メルケル独首相)といった激を受けるなど、ギリシャはユーロ経済圏の劣等生扱いを受けている。
当方はアテネについてギリシャ第2の都市テサロニケ市にも足を運んだ。そこでは政府の緊縮政策に反対する市民のデモを目撃した。テサロニケ市の名所ホワイト・タワー(White Tower、 Lefkos Pyrgos)周辺で数千人の市民が政府の緊縮政策を批判していた。
デモに参加していた一人の青年は「ホワイト・タワーは19世紀、刑務所として利用され、長期囚人が処刑された場所だ。反政府デモの集会場所をホワイト・タワーにしたのも意味がある」と説明してくれた。
市内の Aristotelous 広場では朝早くから夜遅くまで多くのナイジェリア出身の移住者が物売りをしている。一人の公務員は「緊縮政策の為に犠牲となるのは公務員だ」と述べ、職場を失うのではなかいと心配していた。
それでも、といっては可笑しいが、友人を含めギリシャ国民は当方が考えていた以上に活気があった。当方が住んでいる音楽の都ウィーンの市民よりテサロニケ人は陽気だ。国民経済が破産寸前にもかかわらず、決して意気消沈していない。
「ギリシャ国民が明るいのは、南欧国民の気質だからだ」といわれればそれまでだが、それだけではないだろう。新約聖書の「テサロニケ人への手紙」を思い出したからだ。使徒パウロらがテサロニケ人に送った2通の手紙がある。その第一の手紙には「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。すべての事について、感謝しなさい」(「テサロニケ人への第1の手紙」第5章16、17節)という有名な個所がある。
友人を含めテサロニケ人の大多数はギリシャ正教徒だ。彼らは国難のこの時、この聖句を思い出して「感謝しながら、喜びを失わないように努力している」のではないだろうか。少々、一方的な解釈だが、そうあってほしい。白髪が増えてきた友人の顔をみながら、そう思った次第だ。
以上、簡単だが、テサロニケからの報告だ。
ホワイト・タワー(テサロニケ市のシンボル)
デモを準備するテサロニケの青年たち