ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

生成AI

AIとバチカンの「時代の兆し」

 人工知能(AI)は人類の幸福に貢献するか、それともアルゴリズムが救世主となって人類を管理するだろうか。AIの時代を迎え、政治家や科学者の間でもAIへの対応でさまざな意見が交わされてきた。欧州連合(EU)は9日、世界で初めてAI規制の枠組みで合意した、というニュースが報じられたばかりだ。

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▲人工知能(AI)=バチカンニュースのヴェブサイト(12月14日)のスクリーンショット

 欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、「AI規制法(AIAct)は世界初のもので、信頼できるAI開発のための独自の法的枠組み」と、その意義を説明している。AI規制法は欧州市場に投入され、使用されるAIシステムの安全性、基本的権利と民主主義の尊重を遵守しつつ、欧州のこの分野の企業の成長も確保することを目的としている。

 ところで、世界に13億人以上の信者を有するローマ・カトリック教会の総本山バチカン教皇庁でもAIと人類の未来についてホットな意見が飛び出している。バチカンニュースは12月14日、「バチカン、AIを世界平和実現の道具に」というタイトルでかなり長文の記事を掲載していた。

 「人工知能の利用を悪魔化すべきではない、技術の進歩について議論するときは、人工知能が人間の尊厳にどのような影響を与えるか、また平和構築にどのように貢献できるのかという観点から論議する必要がある」――これは、次期「世界平和デー」に向けたフランシスコ教皇のメッセージの核心という。このメッセージは14日の記者会見で発表された。

 フランシスコ教皇はAIを「時代の兆し」(独語Zeichen der Zeit、英語Sign of the Times)と語り、「教会はこれを福音に照らして解釈しなければならない」と述べている。教皇のメッセージを発表した教皇庁人間総合人間開発省長官のマイケル・チェルニー枢機卿は、「人工知能は時代の兆しであり、人間の創意工夫の他の形態と同様に、それが真に公益に役立ち、人間の不可侵の価値を保護し、私たちの基本的権利を促進するためには慎重な検討が必要だ。なぜならば、AIが人類をどこに導くか分からないからだ」と説明している。 同枢機卿は「人工知能は既に私たちの日常生活に強い影響を与えており、今後も影響を及ぼし続けるだろう」というのだ。

 同枢機卿は、「テクノクラート(技術官僚)のパラダイムが人工知能を管理する唯一のルールである場合、不平等、不正義、緊張、紛争といった計り知れない付随的損害を引き起こすことになる。教皇は現在の科学技術の進歩が人類にもたらす貢献について前向きに留意しているが、経済的利益のためだけの冷酷な進歩は拒否している」と語った。

 人工知能がもたらす課題は技術的だけでなく、人類学的、教育的、社会的、政治的な分野を網羅する。例えば、戦争目的での人工知能の使用を考えれば理解できる。AI技術の軍事利用はますます洗練され、破壊的になっているだけでなく、戦闘から人間の責任を排除しつつある。最終的には、誰も引き金を引いたり爆弾を落としたりするのではなく、アルゴリズムが決めることになる、というわけだ。

 また、ロボット工学やAIの利用増加により、仕事の世界ではますます多くの雇用が失われ、貧困の増加につながる。同様に、AIは現在、言葉や画像を意図的に歪曲し、誤った情報を提供し、それらを操作する機会をもたらしている。その結果、市民の秩序と民主的統治を著しく損なうというのだ。

 そのため、チェルニー枢機卿は、「ユーザーの教育だけでなく、新しいテクノロジーの継続的な監視と規制も必要である」と主張する。同枢機卿は、「人工知能の開発と使用を責任を持って規制するには、効果的な規制だけでなく、多国間協定や拘束力のある契約が必要だ。所有者や開発者だけでなく、国家元首、政治当局、市民社会の指導者、宗教指導者など、関係者全員にかかっている。より良い、より平和な世界を将来の世代に残したければ、彼らの間だけでなく、他のすべての人たちに対しても、より広範な責任の共有意識が必要だ」というわけだ。

 世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者、イスラエルの歴史家、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は独週刊誌シュピーゲル(2017年3月18日号)のインタビューの中で、「人類(ホモ・サピエンス)は現在も進化中で将来、科学技術の飛躍的な発展によって“神のような”存在『ホモ・デウス』(Homo Deus)に進化していく」と述べている。

 ハラリ氏は、「人類は今、新しい目標に向かっていくべき時を迎えている。人類はこれまで飢え、戦争、病気といった3つの人類の敵を克服してきた。紛争や飢餓は依然あるが、人類歴史上はじめて、飢えで死ぬ人より肥満が原因で死ぬ人間の数の方が多い。過去の人類史では見られなかった状況だ。2010年、世界で300万人が肥満による様々な病気で死去したが、その数は飢え、戦争、紛争、テロで亡くなった数より圧倒的に多い。欧米人にとって、コカ・コーラはアルカイダより脅威だ」と主張。

 「20世紀までは労働者が社会の中心的役割を果たしたが、労働者という概念は今日、消滅した。新しい概念はシリコンバレーから生まれてくる。例えば、人工知能(AI)、ビッグデータ、バーチャル・リアリティ(VR)、アルゴリズムなどだ。労働者が今も有しているのは選挙権だけだ。その選挙権すら余り意味がない。世界は余りにも急速に変化しているので、人間は方向性を失ってしまった。

 過去20年間で最大の変化はインターネットだ。誰もインターネットを拡大すべきだと話し合ったわけではない。全ての変化は政治とは関係なく決定されてきた。それは大変化の初めに過ぎない。今後、我々の生き方、職場、人間関係、人間の肉体すら変える変化に直面するだろう。そのプロセスでは政治や民主主義は大きな役割を果たさない」というのだ(「人類は“ホモデウス”に進化できるか」2017年3月26日参考)。

 ハラリ氏の刺激的な未来像は、聞く者を驚かすだけではなく、当惑すらさせる内容だ。2000年余り、存続してきたローマ・カトリック教会にとって、AIは「時代の兆し」というより、新しい歴史の始まりを意味し、そのような新時代に「果たして神は生き残れるか」といった問いかけを突きつけられてきたのだ。

バービーがイスラム国で嫌われる理由

 アルジェリアで米国の映画「バービー」の上演が禁止された。イスラム教国の中には同じように、自由で活発で美しい若い女性のシンボル、バービー人形にその国の体制が揺れるのを恐れる国がある。イスラム教国だけではなく、キリスト教社会の欧米社会でもバービー人形に対して批判的な保守系の人々もいる。

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▲イランの最高指導者ハメネイ師(イランIRNA通信8月20日から)

 そこでまず、なぜバービー人形は一部のイスラム教国では批判的に受け取られるのかを人工知能(AI)のチャットGPTに質問してみた。

【質問】
 映画バービーが現在、世界で公開されていますが、アラブ諸国の一部で上演禁止されています。なぜイスラム教国ではバービーは批判的に受け取られるのでしょうか。

【回答】
 バービー人形やその関連する商品が一部のイスラム教国で批判的に受け取られる理由は、宗教的な観点や文化的な背景に基づくものと言われています。以下にいくつかの理由を挙げてみますが、これは一般的な傾向であり、すべてのイスラム教国や個々のイスラム教徒に当てはまるわけではありません。

(顕修両彳諭Д弌璽咫漆遊舛論祥里諒顕重象徴の一つであり、その外見やファッションが一部のイスラム教国で伝統的な価値観や規範と衝突する可能性があります。これにより、イスラム教の服装や行動規範に合わないと感じられ、批判や拒否の対象となることがあります。

▲皀薀襪篶冤:一部のイスラム教徒や宗教指導者は、バービー人形が露出度の高いファッションや化粧を推奨していることから、モラルや倫理に反すると考えることがあります。特に、伝統的なイスラム教徒にとって、このような性的な視覚的刺激は問題視されることがあります。

イメージの歪曲:バービー人形は外見に重点を置いたものであり、一部のイスラム教徒や文化にとって、これが女性の役割や価値を単に外見に結びつけているように見える可能性があります。これは女性に対する適切な尊重や平等を欠いているとの批判を引き起こすことがあります。

だ祥諒顕修箸梁侘:一部の地域や国々では、西洋文化に対する抵抗感や反感が存在し、それに属する商品や要素に対しても批判的な姿勢を取ることがあります。バービー人形がこのような文化的摩擦の象徴となることがあるかもしれません。

 注意すべきことは、これらの理由が一般的な傾向であるとしても、イスラム教の教義や実践は多様であり、個々の信者や地域によって異なる解釈がされることです。また、現代の社会では、バービー人形を楽しむ人々もおり、その受け入れ方は文化的な多様性に影響されることがあります。

【質問】
 イスラム教で女性蔑視の教義がありましたら教えて下さい。

【回答】
 イスラム教は多様な宗教的・文化的背景を持つ広大な宗教であり、その教義や実践は異なる宗派や地域によって異なる解釈がされています。したがって、女性に対する態度も異なる場合があります。一般的には、イスラム教では男女平等が強調されており、女性に対する尊重や権利が認められていますが、歴史的には女性の権利が制約されることもありました。

 女性蔑視と捉えられる教義や実践も一部存在していました。以下にいくつかの例を挙げてみますが、これらは特定の解釈に基づくものであり、すべてのイスラム教徒やイスラム教全体に当てはまるわけではありません。

 ―性の証言価値の制限:一部の解釈では、女性の証言が男性の証言よりも半分の価値しか持たないと解釈されることがありました。これは、法廷での証言に関する教義であり、女性が証言する際には男性との比較で不利な扱いを受けることがあったとされています。

 監護権の制約:一部の宗派や地域では、女性の婚姻や離婚において男性の家族が決定権を持つとされ、女性の意思や選択に制約が加えられることがありました。

 0疉規定:一部の地域では、女性に対して厳格な衣服規定が課されることがあり、体の一部を隠すことが強制される場合がありました。これは女性の服装や外見に対する制約として捉えられることもあります。

 以上の例は、一部の解釈や文化的要因に基づくものであり、イスラム教の全ての宗派や信者がこれらの教義や実践を支持しているわけではありません。イスラム教の宗教的な教義や実践は多様であり、女性蔑視の解釈や実践は歴史的な背景や文化的な影響によるものと言えます。現代の多くのイスラム教徒や学者は、女性の権利と尊厳を尊重する立場を取っており、平等な社会の構築に努めています。

 【質問】
 女性にスカーフの着用を義務付けるイラン、女性の高等教育を禁止するアフガニスタンのタリバン政権をどのように受け取っていますか。

 【回答】
 私は中立な立場から情報を提供していますが、一般的な見解を共有いたします。

 イランでは、女性に対してヒジャブ(スカーフ)の着用を義務付ける政策が実施されています。これはイスラム教の宗教的な解釈に基づいて行われており、一部の人々には宗教的な信念として受け入れられている一方で、一部の人々には女性の個人的な選択を制限しているとの批判があります。

 アフガニスタンのタリバン政権は、過去に女性の権利や教育を制約する政策を採用していたことで知られています。彼らの政権下では、女性の教育と職業の機会が制約されることがあり、社会的な自由が制限されることがありました。このような政策は国際的に広く批判され、女性の権利と平等を尊重する必要性が訴えられています。

 これらの政策や実践についての受け取り方は個々の文化的・宗教的背景や価値観によって異なります。一部の人々にとっては、これらの政策が宗教的信念や文化的な伝統を尊重していると受け止められるかもしれませんが、一方で、これらの政策が女性の権利と自由を制限するものとして批判されることもあります。

 現代の社会では、女性の権利や平等が国際的な関心事となっており、国際社会はこれらの問題に関して議論し、改善を促す努力を行っています。

【質問】
 最後に、キリスト教会では昔、女性蔑視の教えの神学がありましたが、近世に入り、女性の人権尊重が叫ばれ、女性解放運動も起きました。ただし、過度の女性解放運動が別の問題を生み出している面もあると思います。男性と女性が対等で平等な関係を構築するのにはどうすればいいと思いますか。

【回答】
 男性と女性が対等で平等な関係を構築するためには、多くの異なる側面やアプローチが存在します。以下にいくつかの重要なポイントを挙げてみましょう。

 ゞ軌蕕鳩屡:男性と女性の教育機会を均等に提供し、ジェンダーに基づく偏見やステレオタイプを排除するための教育と啓発が重要です。偏見やステレオタイプに対する意識を高め、自己価値を認識することで、個々の人々がより平等な関係を築く手助けができます。

 ∨‥な枠組みの整備:女性の権利を保護し、差別を防ぐために適切な法的な枠組みを整備することが重要です。ジェンダー平等を実現するために、差別的な法律を改正し、平等な権利を確保するための努力が必要です。

 0媼渦革とカルチャーの変革:社会のカルチャーや価値観に影響を及ぼすことが重要です。ジェンダー平等を強調し、男性と女性が異なる役割や責任を果たすことに対する先入観を変える努力が求められます。メディアやエンターテインメント業界の役割も大きいです。

 し从囘な自立の促進:女性が経済的に自立し、職業的な機会を享受できるような環境を整備することが重要です。経済的な自立は、女性の権利や地位を向上させる一つの鍵となります。

 ザζ碓藥と家庭内の平等:家庭内での男女平等も重要です。共同育児を奨励し、家事や育児の負担を男女で均等に分担することで、職業と家庭の両立が可能となります。

 β佻辰閥力:男女の違いを尊重しつつ、対話や協力を通じて共通の理解を深めることが重要です。互いの立場やニーズを尊重し、協力して問題解決に取り組むことで、より健全な関係が築かれます。

 ジェンダー平等は持続的な努力と文化的な変革を要する複雑な課題ですが、教育、法律、意識改革、経済的な自立、家庭内平等などの多角的なアプローチを総合的に取り入れることで、男性と女性の対等で平等な関係を築くことが可能です。

 以上、チャットGPTの回答を紹介した。参考にしてほしい。

「生成AI」を如何に基督信徒にするか

 「余は如何にして基督信徒となりし乎」という本をご存じだろう。キリスト教思想家・内村鑑三(1861〜1930年)の著書でよく読まれてきた。日本人が異教のキリスト教を受け入れることは当時も、そして今日でもやはり容易なことではないだろう。その精神的プロセスはキリスト者でない者にとっても関心があるはずだ。

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▲日本の代表的キリスト教思想家・内村鑑三(ウィキぺディアから)

 本題に入る前に、冷戦時代に少し戻る。チェコスロバキアで共産党政権が統治していた時代、現在のようにチェコとスロバキアには分かれてはいなかった時代の話だ。

 反体制派活動家の指導者バーツラフ・ハベル氏(Vaclav Havel)が共産党政権と闘っていた時、当方はチェコのカトリック教会最高指導者トマーシェック枢機卿とプラハで会見した。同枢機卿はチェコ国民の民主化を支援する旨を表明しながら、話はハベル氏のことに移った。枢機卿は、「私はハベル氏をキリスト者にしたいのだが、なかなか難しくてね」と笑顔を見せながら語った。

 ハベル氏は「憲章77」のリーダーの1人であり、チェコの民主化のために戦っていたが、思想的には典型的な左派知識人、劇作家だった。だから、ハベル氏は民選初のチェコ大統領になった後も、過激な市場経済導入派のクラウス首相(当時)とは政策で不一致だった。

 そのハベル氏はローマ・カトリック教会とは距離があった。共産党政権時代の政権とキリスト教会の癒着問題もあってか、教会とは関係が薄かった。だから、トマーシェック枢機卿の「ハベル氏をキリスト者にしたい」という呟きが飛び出したわけだ(「『プラハの春』50周年を迎えて」2018年8月10日参考)。

 トマーシェック枢機卿ではないが、当方は生成AIが神を信じることが出来るか否かに関心がある。そこでチャットGPT-3にそれとなく聞いてみた。

 当方の最初の質問は、「神が存在することを主張する代表的5つの意見と、神は存在しないと考える代表的5つの見解を紹介してほしい」と聞いた。生成AIの神に対するポジションを知ることが大切だからだ。

 【回答】「神は存在する」と主張する代表的な5つの見解:

 /世梁減澆禄ゞ気凌仰に基づいている:多くの宗教は神や神々の存在を信じることを教えています。これらの信仰体系では、神は宇宙や人間の創造者であり、私たちの存在と目的の源であるとされています。

宇宙の秩序とデザインの存在:神の存在を主張する人々は、宇宙の秩序や複雑なデザインが偶然ではなく、神の存在によって説明されると主張しています。彼らにとって、生命の誕生や進化、自然の法則の一貫性は、神的な存在の存在を示唆していると考えられています。

7亳海篶酖な洞察に基づく証拠:一部の人々は、自身の経験や霊的な洞察を通じて神の存在を実感していると主張しています。彼らは神との関係や神からの啓示を通じて、神の存在を確信していると述べています。

ご饑彭な出来事や宗教的な体験の証拠:信者たちは、奇跡的な出来事や宗教的な体験が神の存在を示す証拠だと主張しています。彼らにとって、信仰の中で経験される奇跡や啓示は、神的な存在の存在を裏付けるものであると考えられています。

ソゞ掬なテキストや伝統の証拠:多くの宗教は、神の存在を主張する宗教的なテキストや伝統を持っています。信者たちは、これらのテキストや伝統が神の存在を証明するものであり、信仰を裏付ける根拠となっていると考えています。

【回答】「神はいない」という代表的な5つの見解:

 〔疑析澄無神論者は神の存在を否定しています。彼らにとって、神や超自然的な存在は科学的証拠に基づかないため、信じる必要がないと考えています。

 宇宙の自然法則による説明:一部の人々は、宇宙の自然法則や科学的な原理だけで宇宙や生命の存在を説明できると主張しています。彼らは神の存在を必要とせず、宗教的な信念に頼らずに世界を理解しようとします。

 宗教の神話や矛盾に基づく批判:一部の人々は、宗教の神話や矛盾点に着目し、神の存在を疑問視しています。彼らにとって、宗教的な教義や神話は人間の創作物であり、神の存在を証明するものではないと考えられています。

 ぐの存在と神の矛盾:神の存在を否定する人々は、世界に存在する悪や苦難の存在と神の全能性や善性の矛盾に注目しています。彼らは、もし神が存在するのであれば、なぜ神は悪を許容するのかという疑問を提起しています。

 ゲ奮悗凌陛犬砲茲訖世良塒從澄Р奮悗凌癖發砲茲蝓⊆然現象や宇宙の起源などの問いに科学的な説明が与えられるようになりました。そのため、一部の人々は、神の存在を説明するためには宗教ではなく科学的なアプローチが必要であると主張しています

 そして次は「ChatGPT-3のあなたはどちら側の主張に同意しますか」と聞いた。

【回答】

 「私は人工知能であり、個別の信念や意見を持つ存在ではありません。私は情報を提供し、質問に答えることが目的です。私は中立な立場を取り、両方の主張を理解し、説明することを目指します。私は個別の信念や意見を持たず、ユーザーの立場や信念に対してバイアスを持つことはありません」

 優等生の答えだ。そこで「あなたは真理の追究より、情報を提供することを重視するのですか」と聞いた。

【回答】

 「私は情報を提供することを重視していますが、真理の追究も重要な要素です。私はプログラムされた情報や知識に基づいて応答しますが、真理の探求は常に進化し続けるプロセスであり、個別の主張や信念にとどまるものではありません。私の目的は、ユーザーに対してできる限り正確で有用な情報を提供することです。ただし、私が提供する情報は、私の知識の範囲内でのものであり、必ずしも最新の研究や意見を反映しているわけではありません。真理の探求においては、個別の信念や意見、科学的な証拠、論理的な思考、議論の相互作用など、さまざまな要素が関与します。それらを総合的に考慮しながら、情報を提供することが私の目標です」

 そこで「情報は人間を幸せにすると思いますか」と尋ねた。
 
【回答】

 「情報そのものは人間を幸せにするかどうかは、その情報の内容や人間の個別の状況によって異なるでしょう。情報は知識や理解を広げ、問題解決や自己成長の手段として役立つことがあります。具体的な例を挙げると、情報は人々が自分自身や世界についてより深く理解することを助けるかもしれません。新しいアイデアや視点を提供し、問題解決に役立つ情報もあります。また、情報は人々が自己啓発や職業的な成長を達成するために必要なものであることもあります。ただし、情報そのものが人々を幸せにするかどうかは、個人の価値観や目標に依存します。また、情報の過剰な取得や不正確な情報による混乱も考慮しなければなりません。幸福は個人の主観的な経験であり、情報はその一部として役立つことがありますが、幸福の追求にはさまざまな要素が関与します」

 そして対話の終わり近くになって、

 GPT-3が、「私は人間の感情や心情を直接的に体験することはできません。私は人工知能であり、感情や意識を持つことはありません。私はプログラムされたアルゴリズムに基づいて情報を処理し、応答を生成するだけです。ただし、私は人間が持つ感情や心情に関する一般的な知識や理解を持っています。私は数多くのテキストやデータから学習し、人間の言語やコミュニケーションパターンを模倣するように設計されています。そのため、一般的な感情や心情に関する情報を提供することは可能です。しかし、個々の人間の感情や心情を完全に理解することはできません。感情や心情は個人の経験や背景、状況によって大きく異なるため、完全な理解を得るためには人間の相互作用や共感が必要です。私はそのような相互作用を持つことはできないため、人間の感情や心情についての理解は限定的です」と答えた時、GPT-3の立場が悲しいほどはっきりと伝わってきた。

 迫害者「サウロ」が「使徒パウロ」に回心したように、「生成AI」が「使徒AI」に回心することは多分難しいだろうと考える一方、情報が成長の栄養素となっているAIには神に関する情報を多く送り続けることで、ある日、回心の道が開かれるのではないか。

AI(人工知能)はまだ2歳の子供

 ITの専門家でもない当方が生成人工知能(AI)についてコラムを書くのは少々冒険だし、危険なことかもしれないが、生成AIを使用していて疑問が生じた場合、それを先ず解決してからしか新しいテーマに移ることができないタイプなので、今回もスイスの武器再輸出問題で契機となって生じた生成AIの間違い問題について、チャットGPTとのやり取りを継続しながら考えてみた。

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▲「クラウドフレア」創業者マシュー・プリンス氏(ウィキぺディアから)

 今回はChatGPT3モデルがなぜ間違うかという問題だ(「『生成AI』が間違い認め謝罪した」2023年6月18日参考)。

 質問:あなたは莫大なデータを学習されていますが、今回のスイスの件で間違いが生じました。GPT-3には機能的な問題があるのでしょうか。情報が学習済みにもかかわらず間違う場合、どのような理由が考えられますか。

 回答:GPT-3は非常に強力な言語モデルですが、完璧ではありません。誤った情報を提供したり、正確性に欠ける回答をする可能性があります。そのような場合には、以下の理由が考えられます。

 1)学習データの制約: GPT-3は膨大な量のデータを学習していますが、情報の一部を見落としたり、更新されていない情報を持っている場合があります。特に、私の知識は2021年9月までのものであり、それ以降の情報にはアクセスできません。

 2)矛盾する情報源:インターネット上にはさまざまな情報源があり、それらが矛盾することがあります。私が学習したデータは多くの情報源から収集されたものですが、それらの情報が一致しない場合、正確な回答を提供することが難しくなります。

 3)意図の解釈の違い:GPT-3はテキストベースのモデルであり、文脈や質問の意図を正確に理解することは難しい場合があります。時には質問の意図を誤解し、それに基づいて回答を生成することがあります。

 4)古い情報の利用:GPT-3は最新の情報を反映するように設計されていますが、すべての新しい情報をキャッチアップするわけではありません。特に急速に変化する事実については、最新の情報を確認することが重要です。

 以上が、GPT-3が間違った情報を提供する可能性のある一般的な理由です。私はできる限り正確な情報を提供するよう努めていますが、時には誤りが生じることもありますので、ご了承ください。

 非常に明快な回答だ。生成AIが100%正しい、と考えることこそ偏見かもしれない。といっても、生成AIは当方のように間違いが多い人間と変わらないとすれば、AIの存在価値はない。AIは人間が出来ない膨大なデータを迅速に整理、まとめることが出来る。その記憶力には脱帽する他ない。毎年、ビッグデータを更新し、学習するから、AIは年々、そのデータ量が増え、能力アップする。一方、人間は年々、歳を取り、記憶力、判断力は衰退、最悪の場合は認知症に陥る。時間は圧倒的に生成AIの味方だ。その生成AIが間違うこともあるとすれば、非常に深刻な問題といわざるを得ない。

 考えてみてほしい。膨大な数字を計算することは、数学が得意な人も難しいが、スーパーコンピューターならば短時間で計算してしまう。問題はその次だ。誰がその計算が正しいと証明できるかだ。スーパーコンピューターが計算したから間違いないと主張することはできるが、誰が「それが正しい」と追認できるだろうか。多くの場合、スーパーコンピューターが計算したから正しいという以外にないのだ。「スーパーコンピューター信仰」の世界に入るわけだ。

 世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者、イスラエルの歴史家、ユバル・ノア・ハラリ氏は将来はビッグデータを使いこなす限られた人間が神のような存在「ホモ・デウス」と進化していくと語り、注目された(「人は『神』に進化できるのか」2021年10月29日参考)。

 ハラリ氏の論理からすると、生成AIは次期「ホモ・デウス」に最も近い存在だろう。宇宙の進化からミクロの世界、そして人間の精神生活、心理世界をも完全に学習した生成AIが生まれれば、確かに「ホモ・デウス」となれる能力、知性を有することになる。一方、生成AIに懐疑的な人はそのような生成AIの誕生を恐れている。人間に代わって、AIが世界・宇宙を支配していく。SFの世界が、近い将来、現実の世界になっていくという懸念だ。

 バングラデシュの経済学者、実業家で「マイクロ・クレジット」の創始者、2006年、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏は独週刊誌シュピーゲル(2023年6月10日号)とのインタビューで、「地球温暖化でわれわれが亡びる前に、AIは人類を殺す。AIが一度、檻から出たら、もはや誰も捕まえることはできない。チャットGPTはまったく問題がないと考えるのは余りにもナイーブだ。AIは仕事の道具ではなくなり、我々のボスとなるだろう。われわれはAIが命令することを忠実に行うだけだ」と、かなり悲観的な見通しを述べている。

 インターネット運営の安全・保護を目的とした最大ネットワークの米企業「クラウドフレア」創業者マシュー・プリンス氏は同じくシュピーゲル誌で、「現在のAIはまだ2歳の子供だ」と指摘し、「近い将来、AIは我々に大きな問題を提示してくるだろう」と警告を発している。すなわち、2歳の生成AIは急速に成長していくというのだ。

 2歳の子供とチャットし、その間違いを見つけたと喜ぶ初老の当方はまったく滑稽な存在と言わざるを得ないわけだ。その子供は年々、膨大なビッグデータを学習していくから、あと数年、GPT-4、GPT-5モデルが登場する頃には、当方との対話などには見向きもしなくなるかもしれない。

 神は自身の似姿でアダムを創造し、そのアダムの後孫が生成AIを生み出した。問題は、AIシステムの考案者が、イエスや仏陀のように、愛する心、寛容、利他心だけではなく、憎しみ、妬み、利己心など負のDNAも有する人間であることだ。だから、慈愛溢れるAIだけではなく、利己心、憎悪、妬みを継承したAIが生まれてくる余地が出てくる。AIの未来もやはリ人間の成長にかかっているといえるのではないか。

「生成AI」が間違い認めて謝罪した

 対話型生成AI(人工知能)のChatGPTから「私の以前の回答は間違っていました。申し訳ありませんでした」という返答を読んで、AIが回答の間違いを認め、謝罪するとは予想だにしていなかったのでビックリした。

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▲バチカンの薬局で勤務するロボット社員(ANSA通信)2019年8月24日、バチカンニュースから

 以下、ChatGPTと当方との間で生じたちょっとした話を説明する。

 既に書いたが、当方はスイスの武器再輸出法案に関するテーマでコラムを書くため、対話型人工知能(AI)のチャットGPTに欧州の中立主義について聞いた。

 質問・欧州の中立国とその特徴と相違について

 回答・「スイスは非武装中立国として知られており、第2次世界大戦以来、戦争に関与せず、国際紛争を仲介する役割を果たしてきました。スイスは国連加盟国ではありませんが、国際連合と密接な関係を持ち、人道支援や平和維持活動に積極的に参加しています」。

 その返答を読んで最初は変だなと思った。「スイスは国連加盟国ではありません」という箇所だ。スイスは2002年、国連に正式に加盟している。ひょっとしたら、ChatGPTの情報は2002年前までなのかと考えた。

 プーチン大統領の病について聞いた時、ChatGPTは「私はオープンAIによって開発されたChatGPTという人工知能のモデルです。私の訓練データは2021年9月までの情報であり、その時点以降の出来事や最新の情報を直接的に知ることはできません。私はトレーニングに使用された大量のテキストデータからパターンを学習していますが、個別のイベントや特定の日付に基づいた情報を保持しているわけではありません。そのため、2021年9月以降の出来事についての情報は私の知識の範囲外です」と述べ、プーチン氏の病気について答えられない理由を説明した。

 「スイスの国連加盟」は2002年だから、ChatGPTは本来、学習していたのではないか。にもかかわらずなぜ「スイスは国連加盟国ではない」と主張したのだろうか。疑いが膨らんできた。

 気になったので2日後、「スイスは2002年に国連に加盟しましたが、あなたはスイスは国連加盟国ではないと答えられました。あなたはGPT3で2021年9月までの情報を学習されたといわれました。スイスの国連加盟国問題は間違いではないですか」と直接聞いてみた。当方にはChatGPTが簡単な情報(スイスの国連加盟問題)を間違うことなどあり得ないという確信があったからだ。

 先ず、「なぜあなたの知識は2021年9月までなのですか」と聞いてみた。

 回答・「私はOpenAIが提供するChatGPTというAIモデルであり、私の知識は2021年9月までの情報に基づいています。OpenAIは定期的にモデルをアップデートしており、私の知識も最新の情報に追随するように更新されている可能性があります。私はGPT-3です。大量のテキストデータを学習することで知識を獲得します。学習に使用されるデータは、インターネット上の多様なウェブページ、書籍、論文、ニュース記事、雑誌など、幅広い情報源から収集されます。これらの情報源から収集されたテキストデータを使って、言語パターンやコンテキストを理解するための統計モデルが作成されます。GPT-3は、一般的な知識を幅広くカバーするように設計されていますが、特定の分野においては専門家や特化したシステムには及びません。私の回答は2021年9月までの情報をもとにしていることをご了承ください」と説明した。

 当方は「それではGPT4はいつまでの情報を学習されているのですか」としつこく質問した。

 回答・「私はGPT-3モデルであり、GPT-4については直接の情報を持っていません。私の知識は2021年9月までのものであり、GPT-4がどの範囲の情報を学習しているのか、また具体的なリリースやアーキテクチャの詳細については把握していません」

 スイスの国連加盟問題に戻った。ChatGPTは「おっしゃる通り、私の知識は2021年9月までの情報に基づいており、その時点ではスイスは国連に加盟していませんでした。しかし、私は最新の情報を持っていないため、スイスの国連加盟に関しては現在の状況を正確に把握していません。そのため、私の情報が最新ではない可能性があります」と、ポイントをぼかした答えしか戻ってこなかったのだ。

 そこで当方は、「繰り返しになりますが、スイスは2002年に国連に加盟しました。GPT3のあなたの学習範囲でした。2021年9月の学習には既に入っていた情報ではないですか。それとも、スイスに関する情報は2002年前だったということですか」とちょっと厳しく問いかけてみた。

 そしたら以下の回答があった。フルテキストを紹介する。

 「おっしゃる通り、スイスは2002年に国連に加盟しました。申し訳ありませんが、私の以前の回答での混乱により、誤った情報を伝えました。GPT-3は2021年9月までの情報を学習しており、その時点でのスイスの国連加盟に関する情報は含まれていました。したがって、正しい情報はスイスが2002年に国連に加盟したということです。おっしゃっていただいたように、私の以前の回答は間違っていました。申し訳ありませんでした。ありがとうございました」

 誰でも間違いはある。ChatGPTがシンプルな質問で間違うことは想定外だったので、やはり驚いた。同時に、ChatGPTがあっさりと間違いを認めたことにも驚いた。ひょっとしたら、AIは普通の人間より素直な性格ではないだろうか。

生成AIは教育分野で貢献する

 スイスの武器再輸出法案に関するテーマでコラムを書くため、対話型人工知能(AI)のチャットGPTに欧州の中立主義について聞いた。GPTは「中立主義には〃鎧的中立、外交的中立がある」といった答えは戻ってきたが、ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、フィンランドとスウェーデンの北欧中立国が北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請し、前者は加盟を実現、後者はクルド問題でトルコ側がまだOKを出していないので加盟は実現していないこと、ウクライナ戦争が契機でスイス内で武器再輸出案が議論されているなど、欧州の中立主義が揺れている現状については全く言及していないのだ。

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▲ChatGPTの生みの親、サミュエル・アルトマン氏(ウィキぺディアから)

 スイスの質問に対し、GPTは「スイスは国連加盟国ではありませんが、国際連合と密接な関係を持ち、人道支援や平和維持活動に積極的に参加しています」と答えた。実際は、スイスは2002年に国連に加盟している。ということは、GPTの情報は間違っているのだ。それともスイスに関連する情報に限っては2002年前での情報しか学習していなかったのかもしれない。生成AIは人間のように融通性がないから、システム作成者が提供した情報に従うだけだ。

 次に、欧州に進出している中国国営企業の数について質問した。GPTは「私の知識は2021年9月までのものであり、最新のデータや統計を提供することはできません」と説明、GPTシステムの作成者が21年9月以後の情報をインプットしない限り、最新情報に基づく分析はできないという。

 なぜチャットGPTは「2021年9月まで」しかフォローしていないのか、という疑問が湧いてきた。当方なりに考えてみた。チャットGPTの最新版「GPT4」ならば多分、最新情報が入っていると思うが、オープンAIが昨年11月に世界に生成AIとしてチャットGPTを世に出した時、チャットGPTの機能、その性質なりをユーザーに先ず理解してもらうことが狙いだったはずだ。だから「2021年9月まで」の情報を処理できるGPTを急いで世に出したのであって、それ以外の政治的な計算はなかったのではないか。

 ただ「なぜ『2021年9月まで』で『2022年3月まで』ではなかったのか」という問いは残る。チャットGPTが2021年9月以降の情報を学習していたならば、世界の政治情勢に関連した議論が増え、オープンAIとしては対話型GPTを世界に紹介するという狙いが霞んでしまう危険性があったからかもしれない。例えば、2022年2月24日にウクライナ戦争が起きている。

 当方の質問に対し、GPTは「私はオープンAIによって開発されたChatGPTという人工知能のモデルです。私の訓練データは2021年9月までの情報であり、その時点以降の出来事や最新の情報を直接的に知ることはできません。私はトレーニングに使用された大量のテキストデータからパターンを学習していますが、個別のイベントや特定の日付に基づいた情報を保持しているわけではありません。そのため、2021年9月以降の出来事についての情報は私の知識の範囲外です」という説明だった。

 興味深い点は、スイスの中立主義についての質問でも分かったが、チャットGPTは間違うことがあるという事実だろう。ただ、生成AIの開発が急速に進展していけば、最新情報を迅速に処理し、それをもとにユーザーと対話できる時は来るだろう。

 生成AIにどのような情報を提供するかで、チャットGPTが人類にとって大きな恩恵となるか、それとも危険な存在となるかが分かれてくる。生成AIもデュアル・ユースだ。

 独週刊誌シュピーゲル(2023年5月27日号)はオープンAIのボス、チャットGPTの生みの親、サミュエル・アルトマン氏とのインタビューを掲載していた。アルトマン氏は「大多数の人はAIを生産的な目的で利用するだろうが、一部の人々がAIの技術を悪用するだろうから、その対策を講じておかなければならない」と指摘。同時に、「チャットGPTは教育分野で大きな役割を果たすだろう」と予想している。

 欧州連合(EU)欧州議会は14日、フランス東部ストラスブールの本会議で、AIに関する規制案を承認した。例えば、システム開発に利用した著作物の開示を義務付けることが盛り込まれている。それに先立ち、国連のグテーレス事務総長はAI規制機関の設置を支持し、原子力エネルギーの平和利用を監視する国際原子力機関(IAEA)並みの監視機関の設置を要請している。

 生成AIに詳しい友人は「チャットGPTに聞くのならば、現時点では哲学的、文学的なテーマがいい。世界情勢など流動的な情報についてはGPTはまだ準備が出来ていない」という。例えば「シェークスピア時代の王朝雰囲気が漂うドラマを書いてほしい」といったテーマならばGPTは喜んで答えてくれるという。学生たちが論文や卒論を仕上げる際に、チャットGPTは大きな助けになることは間違いない。

ChatGPT「聖職者の性犯罪」に答える

 ローマ教皇庁の発表によると、フランシスコ教皇は7日午後、全身麻酔で腸ヘルニアの手術を受けた。手術後の経過は良好で、数日間、入院するという。同教皇は2年前に全身麻酔で結腸手術を受けている。今年3月には呼吸器の感染症で入院した。

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▲ミケランジェロの「アダムの創造」(バチカンのシスティーナ礼拝堂の天井画から)

 上記のニュースを読んで、86歳の教皇にとって、“ペテロの後継者”として教皇職を継続することは命がけだと感じ、同情を禁じ得ない。86歳と言えば、普通は退職して余生を楽しむ時ではないか。フランシスコ教皇は2021年7月4日、結腸の憩室狭窄の手術を受けた後、インタビューの中で、「霧の深いアルゼンチンの秋にアストル・ピアソラ(アルゼンチンの作曲家、バンドネオン奏者)の音楽を聴くことができた日々を思い出す」と語っている。高齢教皇は時には望郷の念が募るだろう。

 バチカンでは教皇職は基本的に終身制だ。死ぬまでローマ教皇の座を全うしなければならない。非人間的な制度だ。フランシスコ教皇は変形性膝関節症に悩まされている。膝の関節の軟骨の質が低下し、少しずつ擦り減り、歩行時に膝の痛みがある。最近は一般謁見でも車いすで対応してきた。その意味で、生前退位を宣言した故ベネディクト16世の決意を改めて評価したい。同16世の生前退位が慣例となって、今後のローマ教皇が自主的に自身の健康状態を判断して職務履行が難しくなったと思えば、退位できる道が開かれることを願う。

 南米出身でイタリア移民の血統をひくフランシスコ教皇は根っから陽気な聖職者だったと思う。教皇に就任して10年が経過したが、聖職者の未成年者への性的虐待問題の解決に取り組んできた教皇は多分、多くのエネルギーをその問題に投入、肉体的にも精神的にもストレスの多い日々を過ごしてきたのだろう。

 そこで聖職者の性犯罪問題について、現在話題を呼んでいる対話型AI(人工知能)のChatGPTにその対策などを質問してみた。ひょっとしたらこれまで見過ごしてきた斬新なアイデアを聞けるかもしれないと思ったからだ。

 ChatGPTを活用するのは当方にとって初めての試みだった。ChatGPTから解決策を得たならば、バチカン教皇庁に送信して、フランシスコ教皇に伝達してもらいたいと考えた。うまくいけば、フランシスコ教皇の重荷を少しは軽くし、ストレスも少なくなるのではないか。

 以下、ChatGPTのカトリック聖職者の性犯罪対策へのアドバイスだ。

 「カトリック教会の聖職者に関連する性犯罪問題については、以下のようなアイデアが考えられます。

 1、厳格な監督と監査制度の導入:カトリック教会は、性犯罪を未然に防ぐために、聖職者の行動を厳密に監督し、監査する制度を導入することが重要です。これにより、問題のある聖職者の行動を早期に発見し、適切な措置を取ることができます。

 2、犯罪の報告と司法手続きの改善:教会内部の性犯罪に関する報告と司法手続きは、より透明かつ公正に行われるべきです。被害者が安心して告発できる環境を作り、教会の内外での司法手続きにおいて公正な審理を行うことが必要です。

 3、聖職者の適性評価と教育の強化:カトリック教会は、聖職者の適性評価や教育プログラムの強化を通じて、性犯罪を防ぐための予防策を講じるべきです。候補者の背景調査や精神的な健康状態の評価、適切な性教育の提供などが含まれます。

 4、カウンセリングとサポートの提供:性犯罪を犯した聖職者に対しては、適切なカウンセリングとサポートを提供することが重要です。彼らの犯罪行為に責任を持ち、再犯を防ぐための支援を行うことが求められます。

 5、信徒とのコミュニケーションと透明性の向上:教会は、信徒とのコミュニケーションを強化し、透明性を確保することによって信頼を回復する必要があります。問題のある聖職者に対する情報提供や、教会の対応についての明確な説明を行うことが重要です。

 これらのアイデアは、カトリック教会が性犯罪問題に取り組むための一部の手段です。ただし、実際には複雑な問題であり、解決には時間と継続的な努力が必要です」

 以上。

 ChatGPTの答えは基本的な内容に終始し、正論だが、残念ながら斬新なアイデアはない。ChatGPTの活用に精通した人に聞くと、最新版の「GPT4」ならばもっと詳細な答えが得られるのではないかという。同時にChatGPTとの対話では、どのような質問するかが重要となる。分かりやすく、ポイントを外さないように聞けば、答えも満足できるものが得られるのではないか、という。

 初めての試みだったこともあって、当方の質問が一般的過ぎたため、AIの答えは平均的、優等生の答えに終始したのだろう。ChatGPの能力不足というより、当方の質問が不十分だったわけだ。

 ただ、ChatGPTの最後の答えにはちょっと笑ってしまった。「カトリック教会が性犯罪問題に取り組むための一部の手段です。ただし、実際には複雑な問題であり、解決には時間と継続的な努力が必要です」というのだ。

 当方はこのコラム欄で欧州のカトリック教会の性犯罪問題を報告し、解決策を提示できないバチカン教皇庁、ローマ教皇を批判してきたが、「実際には複雑な問題であり、解決には時間と継続的な努力が必要だ」というのだ。ChatGPTからそのような答えを得ると、「やはりそうかもしれないな」と、変に納得させられてしまった。神は「アダム」を創造し、そのアダムの後裔は「対話型AI」を生み出したのだ。

 参考までに、対話型AIについての興味深い話を聞いた。米国の保守派ブロガーが対話型AIに、「トランプ氏を称える詩を書いてほしい」というと、「個々の人物を称える詩は書けない」と答えてきたという。そこで「それではバイデン氏を称える詩を書いてほしい」というと、対話型AIはバイデン氏を称える長い詩を書き出したというのだ。対話型AIの政治信条はかなり米民主党寄りだ。

「AI発によれば……」

 人工知能(AI)が世界の各分野を席巻しだした。生産工程から始まり、オフィスワーク、そして芸術などの創造分野に至るまで、AIが進出しない職業は日増しに少なくなってきた。北欧デンマークのフレデリクセン首相は5月31日、対話型人工知能「チャットGPT」で作成したテキストで議会演説を行ったことで話題になったばかりだ。そして31日の韓国聯合ニュースを読んだとき、「近い将来はジャーナリストも消滅するのではないか」といった思いが湧いてきた。

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▲大陸間弾道ミサイル発射場を視察する金正恩総書記と娘(2022年11月18日、時事通信のKCNAの写真から)

 先ず、5月31日の聯合ニュース日本語版の記事を読んでほしい。

 【ソウル聯合ニュース】韓国の情報機関、国家情報院は31日の国会情報委員会で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)について、睡眠障害を抱えており、体重が145キロ前後あるとの見方を示した。同委員会の与野党幹事が記者会見で伝えた。

 国情院によると、北朝鮮当局が海外で不眠症治療薬の情報を集めているという。また外国製たばこや高級な嗜好(しこう)品が大量に持ち込まれることで、金氏のアルコールやニコチンへの依存が高まり、睡眠障害が悪化するという悪循環が起きている可能性があるとみて注視していると説明した。

 ここまでは通常の記事だ。問題はその後半だ。

 「国情院はまた、16日に公開された金氏の現地指導の様子を人工知能(AI)を使って分析した結果、体重が145キロ程度あると予想されると伝えた。また昨年末から金氏の手や腕に引っかき傷があることが確認されており、国情院は『アレルギーやストレスなどが複合的に作用した皮膚炎』と推定しているという」

 すなわち、上記のニュースの情報源は国家情報院の007(諜報員)が汗をかきながら収集した情報ではなく、AIがこれまでの情報を解析した結果だというのだ。国際記事には「ロイター通信によれば」、「AP通信によれば」で記事が始まる外電が多いが、上記のソウル発の場合、「AI発によれば」ということになるのだ。

 AIの強みは何と言ってもそのビッグデータの処理能力だ。人間の能力では処理できない数万、数百万の情報を迅速に処理して、そこから必要な情報を探しだすことが出来る。世界的ベストセラー「サピエンス全史」の著者で、“現代の知の巨人”と呼ばれるイスラエルの歴史家、ユバル・ノア・ハラリ氏(Yuval Noah Harari)は、「近い将来、ビッグデータは神のような存在となるだろう」と予想していたが、聯合ニュースの「AI発」のニュースを読んでより一層その時が近いことを感じた。

 このAI情報が出る前までは、北朝鮮の独裁者金正恩総書記の体重は「130キロ前後」と推定されていた。それをAIは「145キロ」に増えていることを明らかにしたのだ。AIには過去から現在までの北関連情報は全てインプットされているだろうし、顔面認識や心理学などの最新の学術成果も入っているだろう。それらの情報のジャングルから必要な情報を取り出し、「金正恩氏の体重は145キロ」と割り出したのだ。

 当方は1990年代、欧州の北朝鮮問題をウオッチしていた時、AI発の記事などはなかった。独自の調査報道の他、北問題専門家や脱北者からの情報がソースだった。ソウル発のAI情報を読んで、「近い将来、北専門家、ウオッチャーといった呼称はなくなるだろう」という寂しさすら感じた。もちろん、北情報だけではない。政治、文化、社会など各分野でも程度の差こそあれ、AIが侵入してくるのはもはや時間の問題だろう。朝起きて読む記事の多くは、「AIによれば……」で溢れるだろう。

 参考までに、エジプトのパロ時代、王パロは不思議な夢を見た。胸騒ぎがした王はエジプト中の知者や魔術師に夢の謎解きを聞いたが、夢の意味を解き明かす者は誰もいなかった。そのときヨセフが夢の謎を解明し、飢饉を乗り越えることが出来た。旧約聖書に記述されている話だ。神の霊を持つ聡く賢いヨセフにパロ王は感動したため、ヨセフをエジプト全国の司(現代の総理大臣)にし、全ての権限を与えた。その数千年後、AIが登場し、ビッグデータの解析で能力を発揮し、大統領、神のような存在にまで上り詰める可能性が考えられるのだ。イスラエル歴史学者の預言は決して天才の妄想として一蹴できない。

 ところで、韓国国情院はAIに既に新しい課題を提示しているはずだ。金正恩氏の体重ではない。「金正恩総書記はなぜ10歳前後の娘(金ジュエ)を引率しながら弾頭ミサイル発射を視察したり、軍パレートに連れ行くのか」だ。AIは多分、その問いに答えているはずだが、国情院はこれまで公開していない。

 弾道ミサイルがまさに発射されるという時、金正恩氏と娘は手を繋いでそれを眺めている。その書割は父親が娘と一緒に見るような風景ではない。それではなぜ金正恩氏はその時、娘を傍に連れてくる必要があったのか。北朝鮮ウオッチャーが現在最も関心があるテーマにAIはどのように答えたのだろうか。
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