ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

中国

中露外交官の「嘘」の比較論

 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は3日、インドの首都ニューデリーで開催された国際会議で「わが国は戦争を止めようとしている」、「(ウクライナ)戦争はウクライナの攻撃で始まった」と語った時、会場から笑いが漏れたという。その笑いの中には、「嘘」を平気で喋るロシア外相の厚顔無恥さに対する驚きも含まれていただろう。ラブロフ外相はロシア外交のトップだ。プーチン大統領の政策を外に向かってラッパを吹く役割だから、ラブロフ外相は自身の役割を忠実に果たしたとも言えるかもしれない。

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▲インドのニューデリーで開催された国際会議に参加したロシアのラブロフ外相(2023年3月3日、ロシア外務省公式サイトから)

 ウクライナ戦争は昨年2月24日、ロシア軍のウクライナ侵攻から始まったことは、多分、ロシア以外の世界の全ての国が知っている。そしてロシア軍の攻撃は今も激しく続いている。プーチン大統領自身、「戦争」という言葉を回避し、「特殊軍事行動」という表現を使用して以来、ラブロフ外相を含む全てのロシアの政治家は戦争をしながら、「戦争」という表現はタブー視される、といった奇妙な状況に置かれてきた。

 1972年にモスクワ国際関係大学を卒業した直後、ソ連外務省に入省した時、将来、ロシア外交のトップとなって世界を駆け巡る外交官になろうと夢見ていただろう。今月21日に73歳の誕生日を迎えるラブロフ外相は来年には外相就任20年目を迎える。その長期在任を誇るラブロフ外相は、「ウクライナ戦争が始まって以来、プーチン大統領の発言をそのまま語るマリオネット外交官になってしまった」と自身の変身ぶりに内心、忸怩たるものがあるかもしれない。それとも、ラブロフ氏はインドの国際会議で語ったことが本当に事実と信じているのだろうか。

 ラブロフ外相のインドでの発言は加害者を被害者とする論理(嘘)、すり替えだ。ある意味で典型的な「嘘」だ。残念ながら、この種の「嘘」はラブロフ氏の専売特許ではなく、世界至る所で耳にする。日本も例外ではない。加害者を被害者と見なし、被害者を加害者呼ばわりする傾向が結構、広がっているのだ。

 ラブロフ外相の「嘘」と好対照なのは中国外交官の「嘘」だ。中国武漢発「新型コロナウイルス」の起源問題で米エネルギー省が先日、「ウイルスは武漢ウイルス研究所から流出した可能性がある」と発表した。すると中国外務省は即、「米国は問題を政治化している」と反論した。ここまではまだ理解できるが、毛寧副報道局長は5日の定例会見で「中国はウイルスに関する全ての情報を世界保健機構=WHOと共有している」と述べたのだ。この発言は明らかに虚言だ。なぜならば、WHOのテドロス事務局長は3日、「情報の共有と必要な調査の実施を引き続き中国側に求めている」と述べているからだ。WHOは依然、中国から必要な情報を共有していないのだ。

 ちなみに、中国共産党政権から海外に派遣された外交官は一時期、「戦狼」(戦う狼、ウルフ・オブ・ウォー)であることを求められた。相手が中国側の要求を受け入れないとリングに上がったボクサーのように拳を直ぐに振るい始める中国外交官がいた。「戦狼外交」と呼ばれて恐れられたほどだ。流石にここにきてそのようなヤクザなみの中国人外交官は姿を消した(「世界で恥を広げる中国の『戦狼外交』」(2020年10月22日参考)。

 ラブロフ外相の「嘘」と中国外務省の「嘘」の違いは、ロシアの外相の「嘘」は全く事実に基づかないものであり、多くの場合、如何なる説明や弁明もない。一方、中国の「嘘」は批判に対して反論がつく。例えば、人権問題では、欧米諸国の人権と中国の人権では定義は異なるという説明がつく。「ウイグル人が強制収容所で弾圧されている」という欧米側の批判に対し、中国側は即、「強制収容所ではなく、再教育施設だ」といった具合だ。最近の例では、中国発気球問題だ。中国側は気球が中国製であると認めたが、米国が主張する「偵察気球」ではなく、「気象観察用気球」と言い張る。中国外交官たちの虚言はロシア外交官より一般的に凝っている一方、ロシアのそれは大国意識が独り歩きする「厚かましさ」だけが残る、といった感じだ。

 人は「嘘」を言う時、その表情、眼球、口周辺の筋肉に通常ではない動きが出てくる。それを見つけ出し、「嘘」を言っているのか、本当かを推理していく。その微妙な動き、表情を専門家たちは「マイクロ・エクスプレッション」(微表情)と呼んでいる。ラブロフ外相の「嘘」は精神分析官がその微表情を観察し、分析する必要はないだろう。

 ただ、丸裸の「嘘」が繰り返されることで、「嘘」が次第に本当のように感じられる、といった現象が生じる。ロシアの世論調査では、「ウクライナ戦争は欧米側が仕掛けたものだ」というプーチン大統領の説明を依然、過半数を上回るロシア国民が信じている、という現実を思い出す(「『嘘』を言ってごらん」2020年2月18日参考)。

 ラブロフ外相や中国外務省報道官を擁護する気はないが、「嘘」は有史以来、人類と共にあった。人類の歴史は「嘘」から始まったといえる。神がアダムとエバに「善悪を知る木の実を取って食べてはならない」と戒めたが、エバはヘビ(落ちた天使)の虚言に騙されて食べ、そしてアダムもエバに唆されて食べた。神がアダムに「なぜ食べたか」と追求すると、アダムはエバのせいにして自己弁明した。聖書の「失楽園」の話は「嘘」から始まった物語だ。

 アダムとエバの後孫に当たる私たちも常に「嘘」をついてきた。ラブロフ外相や中国外務省報道官だけではない。社会は出来るだけ「嘘」をつかないように、「嘘」は良くない、といった教育を施してきた。宗教もそのために少しは貢献した。「嘘」は表面的には減少してきたが、同時に、巧妙な「嘘」、本当のような「嘘」が幅をきかせてきた。

 参考までに、「嘘」の極致の世界を紹介する。イギリスの小説家ジョージ・オーウェルの小説「1984年」の世界だ。共産主義の世界では、ビック・ブラザーと呼ばれる人物から監視され、目の動き一つでも不信な動きがあったら即尋問される。そこでは思想警察(Thought Police)と呼ばれる監視員がいる。その任務は党のドクトリンに反する人間を監視することだ。例えば、党のドクトリンには「2+2=5」と書かれている。その計算が正しいと教えられる、それを受け入れず、拒否すれば射殺される。自由とは奴隷を意味し、戦争を扱う「平和省」と呼ばれる部門があり、「愛情省」は憎悪を扱う部門といった具合で、全ては180度意味が違う。ロゴスに別の意味を与えて支配する「嘘」の世界だ(「モスクワ版『1984年』の流刑地」2021年3月28日参考)。

中国発「ウクライナ和平案」12項目

 ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍を侵攻させて以来、24日で1年目を迎えた。プーチン氏は短期間でウクライナを制圧できると考えていたが、ウクライナ側の強い抵抗を受け、その野望は挫折。ウクライナ側は欧米諸国からの武器供与を受け、ロシア軍に激しく攻撃をかけ、戦いは長期化する気配が濃厚となってきた。プーチン大統領は自身の政治生命をかけ、ウクライナ戦争の勝利のために腐心する一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はクリミア半島を含み、ロシア軍の全面的撤退を要求しているため、現時点では和平交渉の見通しはない。

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▲「祖国防衛の日」に無名戦士の墓に花輪をささげるプーチン大統領(2023年2月23日、クレムリン公式サイトから)

 一方、中国はロシアのウクライナ侵攻1年目を迎えるにあたり、ロシアとウクライナ両国に対し、12項目からなる和平案を提示し、停戦に向け調停役を買って出てきた。中国外務省は24日、ウェブサイトで12項目の和平案を掲載し、両国に紛争の「政治的解決」を求めている。

 「ウクライナ危機への政治的解決のための中国の立場」とタイトルされた和平案では、両国にできるだけ早い時期に直接対話の再開を要求し、「紛争当事者は国際人権を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を回避しなければならない」と求めると共に、「核兵器の使用は絶対にあってはならない」と要求している。以下、中国の12項目からなるウクライナ和平案を紹介する。

 1)国家の主権を尊重:一般に認められている国際法と国連憲章は「厳密に」遵守されなければならない。
 2)冷戦の考え方を放棄、自国の安全のために他国を犠牲にしてはならない。
 3)敵対行為をやめる:全ての当事者は「合理性を保ち、自制を保ち」、紛争を煽ってはならない。
 4)和平交渉の再開:対話と交渉がウクライナ危機に対する唯一の実行可能な解決策だ。
 5)人道危機の解決:人道危機の緩和に貢献する全ての行動は「奨励され、支援されなければならない」
 6)民間人と戦争捕虜の保護:全ての紛争当事者は、国際法を遵守し、民間人や民間インフラへの攻撃を回避する必要がある。
 7)原子力発電所の安全確保:原子力発電所への武力攻撃を拒否する。
 8)戦略的リスクの軽減:核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない。
 9)穀物輸出の促進:全ての当事者は黒海穀物協定を実施する必要がある。
 10)一方的な制裁を止める:一方的な制裁と圧力は問題を解決できず、新しい問題を生み出すだけだ。
 11)サプライチェーンの安定化:全ての関係者は、既存の世界貿易システムを維持し、世界経済を政治目的の武器に使用してはならない。
 12)復興計画:国際社会は、影響を受けた地域で紛争後の復興を実施するための措置を講じるべきだ。

 12項目の中で、1)はウクライナに軍を侵攻させたプーチン大統領への批判になる一方、「台湾の軍事的統合」を図る中国共産党政権にとっては100%歓迎される内容とは言えない。ただし、紛争の和平案という以上、加害者側の国家主権蹂躙を指摘せざるを得なかったわけだ。6)のロシア軍の戦争犯罪行為を想起するならば、ロシア側にとっては歓迎されない項目だ。和平案では、民間人を安全な場所に連れて行くための人道的回廊の確立、および穀物輸出を確保するための措置も求めている。その一方、10)の「一方的制裁の中止」はロシアの願いに沿う内容だ。

 中国の習近平国家主席は中国外交のトップ、前外相の王毅・共産党政治局員を第59回「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)、ハンガリー、そしてロシアに派遣し、世界に向かって中国のウクライナ和平案を提示する考えを示唆し、大国・中国の存在感を誇示しようと腐心している。一方、ゼレンスキー大統領は23日、中国の和平計画について、「北京で政府関係者と話し合いたい。私はまだ和平案の文書を見ていない」と指摘、「中国がウクライナについて話し始めたことは原則として良いことだ」と述べている。

 中国の12項目の和平案をみると、覇権争いをする米国を意識した内容がある。2)はその代表だ。中国の発展を阻止し、人権問題などで干渉し、圧力を行使する米国への批判だ。それを中国側は「冷戦の思想」と呼んでいる。10)の制裁の解除要求はロシアへの西側の経済制裁だけではなく、中国への制裁解除要求と受け取れる。

 中国はロシアにとって数少ない緊密なパートナーシップを維持している国だ。中国はウクライナ戦争でも可能な限り中立を守り、ロシアの侵略を批判する言葉を避けてきた。西側諸国がウクライナに武器を供給していることに対しも、「火に油を注いでいる。戦争を意図的にエスカレートさせている」と繰り返し非難してきた経緯がある。

 ウクライナを支援する欧米諸国は中国がロシアに軍需品などを支援するのではないかと懸念している。そのため、ブリンケン米国務長官は「中国のロシアへの武器支援が発覚すれば、厳しい制裁を科す」と警告してきた。

 北京にとって、対北米貿易はロシアとの経済関係を上回るものだから、ロシアに武器支援をし、米国から更なる厳しい経済制裁を受ければ、中国経済にとって大きなマイナスとなることは明らかだ。北京はそのリスクを犯してまでロシアを支援するだろうか。独週刊誌シュピーゲルは、ロシアが既に中国と無人機について交渉していると報道している。

 いずれにしても、中国発の和平案に対し、プーチン氏の反応が注目される。なお、ドイツのショルツ首相は23日、中国のウクライナ和平仲介に対して、「幻想を抱くべきではない」と警告を発している。

中・イランは「収益性高い価値連鎖」?

 共産主義は「宗教はアヘン」と主張してきた。中国共産党政権も例外ではない。ただ、習近平国家主席は宗教を完全には抹殺できないことを知っているので、「宗教の中国化」に腐心している。一方、イランでは1978年、79年のイスラム革命を通じて欧米社会に傾斜していたパフラヴィー朝が打倒され、イスラム法を国是とした現在のイラン聖職者政権が誕生した。その両国は今日、「友好関係は深まり、相互信頼に値する真のパートナー」(イランのライシ大統領)となっているのだ。

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▲訪中したライシ大統領を迎える習近平国家主席(IRNA通信、2023年2月14日)

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▲ライシ大統領、訪中2日目の15日、北京の東四清真寺(モスク)を訪問し、演説する(IRNA通信、2023年2月15日)

 思想的にみれば、中国共産党政権は無神論国家であり、イランはイスラム教国(シーア派)だ。水と油の関係のようにみえるが、現実の政治の世界では両国は「真のパートナー」だという。

 イランのライシ大統領は14日から3日間の日程で習近平主席の招きを受け北京を訪問し、16日、テヘランのメヘラーバード国際空港に帰国したばかりだ。イラン大統領の中国訪問は20年ぶりだった。ちなみに、習近平主席は2016年1月23日、テヘランを訪問し、最高指導者ハメネイ師と会談し、両国間の25年間の「戦略的協定」を締結するなど、中国とイラン間の関係の土台を構築している。今回のライシ大統領の訪中はその「戦略的協定」の更なる推進を確認する目的があった。

 もう少し説明すれば、両国の核心的利益を双方が支持表明し、連帯を示す狙いがあったはずだ。イランにとっては、国連安保理常任理事国5カ国とドイツを加えたイラン核合意(共同包括的行動計画=JCPOA)の再建と制裁解除、国民経済が厳しいイランへの北京からの貿易、農業、インフラなどの経済支援だ。一方、中国にとっては、台湾問題で「一つの中国原則」の確認、エネルギー問題のほか、人権問題に対する欧米側の批判への共同防衛体制の強化だろう。

 習近平主席は14日、ライシ大統領との首脳会談の中で、女性のスカーフ着用問題で大規模な抗議デモに直面するイランに対し「如何なる外部勢力もイランの内政に干渉し、安全や安定を損なうことに強く反対する」とエールを送っている。中国とイランを結ぶもっと強い絆は「反米」だ。換言すれば、「共通の敵」が中国とイラン両国をパートナーにしているわけだ。

 興味深い点は、ライシ大統領は15日、北京の東四清真寺(モスク)でイスラム教徒を前に演説していることだ。同師は「米国はタクフィリテロリスト(ムスリム同盟団の反主流派組織)を形成することで、西アジアの政治を不安定化させようとしている」と米国を批判し、「イランに対する米国の敵意は、イスラム共和国が独立国であるためだ。しかし、イランは以前よりも強くなった」と付け加え、イスラム革命後の中国との関係拡大を歓迎し、「両国にはさまざまな分野で関係を発展させる多くの能力がある」と述べている。

 参考までに、米国は中国新疆ウイグル自治区のウイグルへの弾圧・同化政策を「ジェノサイド」と批判しているが、ウイグル人は主にイスラム教徒でスンニ派が多い。イラン(シーア派)にとってはイスラム教の兄弟だ。そのウイグル人を中国共産党政権は弾圧し、強制的に再教育キャンプに送り、同化政策を展開させていることに対し、ライシ大統領は一言も批判らしい声を発していない。そして悪いのは米国であり、タクフィリ勢力だと批判しているだけだ。

 エフサーン・ハーンドージー経済・財務相(「イラン・中国合同経済委員会」イラン代表)は14日、イラン・デイリー紙とのインタビューで、イランと中国両国関係について、「2つの古代文明国は、さまざまな歴史的時期に常に双方にとって好都合なアプローチと戦略を採用してきた。ある日にはシルクロードのような商業ルートで機能し、別の日にはお互いの補完的な経済的および戦略的ニーズを満たしてきた」と描写し、「ライバルと敵の破壊的な作戦がエスカレートしても、両国は潜在的な同盟国となり、互いの発展のコストを効果的に削減できるだけでなく、協力の成功モデルを作成することにより、より広範な協力の中核を形成してきた。収益性の高いバリューチェーン(価値連鎖)の構築につながる」と報じている。なるほど、無神論国家の共産国とイスラム教国の連携は「収益性の高いバリューチェーンの創造」(the creation of profitable value chains)という新しい成功モデルをつくる試みというわけだ。

 なお、テヘランからの情報によると、ライシ大統領は習近平主席をイランに招請、同主席は「都合のいい時期に訪問したい」と答えたという。 

中国人民軍「気球艦隊」が世界を偵察?

 米国、そしてカナダ上空などで発見された未確認物体を巡って、米国と中国が互いに批判合戦を展開している。米国は今月4日、米上空に現れた巨大な気球を撃墜し、回収した物の検査から「中国製偵察スパイ気球だった」と批判、それに対し、中国側は猛烈に反論し、「米国の気球も昨年、わが国の上空を不法侵入していた」と指摘するなど、米中両国は「気球」問題で再び緊迫感を増してきた。

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▲米サウスカロライナ州沖で撃墜された中国の気球を回収する米水兵(2023年2月4日、写真UPI通信)

 一方、ブリンケン米国務長官は17日から開幕するミュンヘン安全保障会議(2月17日から19日)に参加するが、中国の外交トップ、前外相の王毅・共産党政治局員も出席することから、「気球問題」発生後初の米中高官会議が開かれるのではないかという情報が流れている。

そこで以下、これまで発見され、撃墜された謎の「気球」について、情報を整理したい。

 最初に発見された気球はバス2台分の大きさで白色をしていた。バイデン米大統領は「米国の安全を脅かす危険がある」として気球の撃墜を命令し、戦闘機が2月4日、米国のサウスカロライナ州沖で撃墜した。気球は1月末に米領空に入り、北西から南東まで米国の大部分を横断、その途中、重要な軍事施設の上空を飛行していた疑いがもたれている。

 その後、3つの小さな未確認飛行物体が次々と発見された。2月10日にアラスカ州デッドホース付近で、翌日11日にはカナダのユーコン上空で、12日、ヒューロン湖上の米国とカナダの国境上空で発見され、それぞれ撃墜された。これらの3つの気球は、最初の気球よりはるかに小さいものだった。2月上旬からこれまでに、合計4つの飛行物体が北米上空で目撃され、撃墜されたことになる。

 最初の気球が中国製のものであることが明らかになって以来、米国側は「高高度に飛行する気球を発見するためにレーダーの設定を変え、気球のように移動する物体を探してきたこともあって、これまで見つからなかった多くの未確認物体が見つかった」と説明している。

 中国政府は、2月4日に撃墜された大型気球は自国の気球と認めたが、「コースを外れた民間の気象観測気球だ」と説明。それに対し、米国側は「大型気球は米国を監視目的としたスパイ気球」と指摘、中国を非難した。米国側の説明によると、「今回撃墜された気球は40カ国以上を偵察するために運営されてきた気球艦隊の一部だ」という。米国務省は3日、5日に予定されていたブリンケン国務長官の中国訪問を延期すると発表した。
 
 米国防総省の報道官、パット・ライダー将軍は3日、中国製気球は進路をコントロールできる能力(操縦可能な監視気球)を持っていると述べていたが、米海軍が撃墜した中国製気球の一部を海底から回収し、調査した結果、気球は「複数のアンテナ」を備えており、通信を収集して位置を特定できる能力を有していたことが判明したという。

 ということは、気球に生物・化学兵器などが搭載されていたならば、立派な大量破壊兵器だ。ひょっとしたら、米国とカナダ上空で発見された中国製「気球」は軍事目的で使用する最初の試みではなかったか、という疑いが出てくるわけだ。米国側の気球への反応が非常に敏感である理由だろう。

 ロイター通信は15日、米政府関係者筋として、「4日撃墜された気球の本来の軌道はグアム、ハワイ経由だったが、強い風に流されて軌道を外れた」という。

 米国防総省によれば、10日以後撃墜された3つの気球は「小さく、操縦することはできないものであった」という。だから、「何らかの種類の監視を行っていたと信じる明確な理由はない」と受け取られている。それゆえに、「2月10日以後、撃墜された3つの飛行物体は、4日に撃墜された中国製気球と明確に区別する必要がある」というわけだ(アラスカの悪天候のため、3つの小さな気球の破片はまだ未回収)。

 ちなみに、中国製気球は民間航空機の飛行高度より高いところを飛行していたが、その後撃墜された3つの未確認物体の飛行高度は約6000kmと低く、民間航空機にとって危険だった。

 軍事関係者の話によると、偵察気球は監視衛星より安価で製造できるうえ、地球の軌道に制限されることがなく、機動性があり、特定の地域を監視し、情報を収集するうえで適しているという。未発見の偵察気球が現在、どれだけ飛行しているかは不明だという。

 「偵察気球」問題は米中間を一層険悪化させている。中国は米国側のスパイ疑惑説を否定。中国外務省の汪文斌副報道局長は14日、「米国は昨年、高高度気球を十数回中国領空に不法に侵入させていた」と米国を逆に非難。中国全国人民代表大会外事委員会は16日、米下院が9日に中国気球の米上空飛行を非難する決議を採択したことに対し、反論声明を発表するなど、情報戦を展開させてきた。

 南米でも既に未確認物体(気球)が目撃されているが、「中国の気球が2020年、21年に日本の仙台市など東北地方でも目撃されていた」ということが明らかになり、日本政府は米国らと情報を交換している。また、ウクライナ空軍は16日、ロシアからキーウに侵入してきた複数の偵察気球を撃墜したという。未確認物体、気球の出現は世界の安保情勢を変える様相を見せてきている。

イランを怒らせた習近平主席の発言

 一人のイスラム教スンニ派の信者が「ユダヤ教徒やキリスト信者とは何とかやっていけるが、絶対一緒にやりたくない相手はシーア派信者だ」と語ったことがある。イスラム教はスンニ派とシーア派に分かれ、前者は多数派だ。具体的には、アラブの盟主サウジアラビアはスンニ派に属し、その中でも戒律が厳しいワッハーブ派だ。少数派の代表はイランだ。

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▲習近平主席の発言に怒りを吐露するイランのアミラブドラヒアン外相(2022年12月12日、IRNA通信から)

 中国の習近平主席は9日、サウジの首都リヤドで開催された第1回中国・アラブ諸国首脳会談と第1回湾岸協力会議(GCC)首脳会談に出席した。同首脳会談後、公表されたコミュニケによると、アラブ諸国と中国双方は戦略的パートナーの関係を強化することで一致したという。習近平主席は「アラブと中国の新しい歴史が始まった」とその成果を強調した。

 その数日後、イランのテヘランから中国に警告ともいえるニュースが流れてきた。イランのホセイン・アミラブドラヒアン外相は12日、中国政府に対し、イラン・イスラム共和国の領土保全を尊重するよう求めるツイッターを更新した。同外相は中国語で「アブムーサ島、レッサートゥンブ島、グレータートゥンブ島の3つの島(Abu Musa, the Lesser Tunb, and the Greater Tunb)はイランの切り離せない部分であり、永遠に祖国に属する」と書いている。

 何のことかといえば、習近平国家主席が湾岸協力会議(GCC) 加盟国のアラブ指導者とともに声明を発表し、上記の3島の帰属権問題についてイランとアラブ首長国連邦(UAE)両国が協議するよう促したのだ。その後、イランの外相はIRNA通信を通じて「イランの領土保全を尊重するように」と間接的ながら習近平国家主席に抗議したわけだ。

 IRNA通信のイラン外相の発言を読んだとき、先のイスラム教スンニ派信者の話を思い出した。アブラハムから派生したユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3兄弟宗教があるが、イスラム教内のスンニ派とシーア派間の対立はイスラム教とユダヤ教、キリスト教とのそれより根が深いという。

 習近平主席はスンニ派の盟主サウジで戦略的には同盟国のイラン(シーア派)にイランが自国の領土を宣言している3島の帰属権について、紛争中のUAEと協議すべきだと受け取られるような発言をしたわけだ。習近平主席は大国意識もあって仲介役を演じたのかもしれないが、イラン側が気分を悪くするどころか、「習近平、何を言うのか」と怒りが沸き上がっても不思議ではない。

 例えば、イランが自国領土と宣言しているアブムサ島は、ペルシャ湾東部に浮かぶ島でホルムズ海峡入り口付近にある。UAEも領有権を主張している。島は古代からイランの一部であった。20世紀に入ると、イギリスが支配した後、同国は1968年、島の統治権を放棄。その後、イランが同島を再併合したが、UAEとの間で島の主権問題でこれまで紛争してきた経緯がある。

 国営サウジ通信が公表したコミュニケによると、アラブ諸国は台湾をめぐる中国の「一つの中国」原則、香港の統制政策を支持。同時に、人権問題の政治化を拒否することで合意している。例えば、中国では新疆ウイグル自治区のウイグル人弾圧問題、サウジでは同国の反体制ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏(59)殺人事件で国際社会から激しく批判されてきた。サウジは中国共産党政権と同様、人権分野では大きな問題を抱えている。同国は欧米メディアで人権弾圧を糾弾されるたびに「内政干渉」と反論してきた。中東の盟主サウジと中国共産党政権は人権問題では共同戦線を敷く余地があるわけだ。

 中国の王毅外相は昨年3月24日〜30日、6カ国の中東(サウジ、トルコ、イラン、UAE、オマーン、バーレーン)を歴訪し、中国と中東諸国との外交関係強化に動き出してきた。

 中国は過去、中東諸国との外交関係で躊躇してきたのは、それなりの理由がある。サウジを含む中東はイスラム教という宗教が大きな影響を持つ地域であり、人権問題で共同戦線が出来ても、遅かれ早かれ宗教問題で中国共産党政権と衝突する可能性があるためだ。例えば、ウイグル自治区のウイグル人の多くはイスラム教徒(主にスンニ派)だ。そのウイグル人への弾圧を中東諸国はいつまでも黙認できないし、中国共産党政権の宗教政策を批判せざるを得なくなるだろう。ちなみに、トルコは中国から逃げてきたウイグル人を受け入れている。

 そして今回、習近平主席はサウジを訪問し、そこでイランに対し、同国の島の領土問題でUAEと協議するように助言した。同主席にはシーア派のイラン側が中国側の提案をどのように受け取るか、といった配慮が欠けていたわけだ。アブラハムの3大宗教が広がる中東地域での中国の外交の前には、常に「宗教」というハードルが控えている。

独首相訪中はタイムリーだったか

 ショルツ独首相は4日、中国を公式訪問し、習近平国家主席と会談した。北京滞在11時間余りの訪問だが、ドイツ国内ばかりか、欧米諸国では「ショルツ首相の訪中タイミングは良くない」と批判的な声が聞かれる。ここでいう「タイミング」とは、習近平国家主席が中国共産党第20回党大会で3期目の任期を獲得、いよいよ習近平独裁体制が始まった直後という時期に、“欧州の盟主”ドイツの首相が北京を訪問し、習近平主席と昼食を共にすることで、習近平独裁体制に祝福を与えた印象が出てくることへの懸念だ。

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▲首脳会談前のショルツ首相と習近平国家主席(独日刊紙ヴェルト動画のスクリーンショットから、2022年11月4日、北京)

 ショルツ首相は政治センスのない政治家ではない。国内外の批判的な声を知っている。首相は訪中前に独代表紙「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング」(FAZ)に寄稿し、「従来の対中関係ではなく、新しい世界情勢に合致した両国関係を構築したい」という意向を表明している。ショルツ首相は「過去3年間で世界の情勢は変わった。欧州も中国も同様だ。だから新しい状況に合致した対中政策が必要となる」と強調している。ただ、言葉だけでは十分ではない。だから「北京滞在中に中国共産党政権の少数民族ウイグル人への弾圧政策などの人権問題を習近平主席との会談の場で話す」と述べ、欧米社会の関心が大きいウィグル人問題を中国側に質す姿勢を明らかにした。

 そういえば、16年間の任期中、12回訪中したメルケル前首相は訪中前後に常に「経済関係の強化と共に、人権問題も話し合った」とコメントを出すのが慣例だった。一種のアリバイ工作だが、メルケル首相の訪中を公の場で批判する国や政治家はなかった。

 ドイツは輸出大国であり、中国はドイツにとって最大の貿易相手国だ。例えば、ドイツの主要産業、自動車製造業ではドイツ車の3分の1が中国で販売されている。2019年、フォルクスワーゲン(VW)は中国で車両の40%近くを販売し、メルセデスベンツは約70万台の乗用車を販売している。

 ドイツ連邦統計局が昨年2月22日に発表したデータによると、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、2020年の中国とドイツの二国間貿易額は前年比3%増の約2121億ユーロに達し、中国は5年連続でドイツにとって最も重要な貿易パートナーとなっている。ドイツの対中輸入額は前年比5・6%増の約1163億ユーロ、対中輸出額は約959億ユーロだった(中国国営新華社)。

 メルケル首相の訪中のたびに、大規模な経済使節団が随伴した。ショルツ首相の訪中でも同じだ。滞在は11時間と短時間だが、経済使節団が同伴している。それだけドイツ企業にとって中国市場は重要だ(「輸出大国ドイツの『対中政策』の行方」2021年11月11日参考)。

 2番目の「訪中のタイミング」について。ショルツ連立政権は先月26日、ドイツ最大の港、ハンブルク湾港の4つあるターミナルの一つの株式を中国国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が取得することを承認する閣議決定を行った直後だ。同決定に対し、「中国国有企業の買収は欧州の経済安全保障への脅威だ」という警戒論がショルツ政権内ばかりか、欧州連合(EU)内でも聞かれた。

 同商談が国内の反対で破綻した場合、ショルツ首相の訪中は延期されていたかもしれない。それ故に、ショルツ首相は中国側の株式35%取得を25%未満に縮小し、人事権などを渡さないという条件を提示し、ハベック経済相(兼副首相)やリントナー財務相らを説得、閣議決定したわけだ。ショルツ首相は初の訪中を「プレゼントなしでは行けない」と考えていたわけではないだろうが、ハンブルク港の件ではショルツ首相の強引さが目立った(「ハンブルク湾岸に触手を伸ばす中国」2022年10月22日参考)。

 そして3番目の「タイミング」問題だ。ロシアがウクライナに侵攻し、プーチン大統領が産業インフラを破壊、天然ガス、原油を武器に欧州諸国に圧力を行使し、エネルギー価格、食料価格は急騰し、欧州国民を苦しめている。そこでEUはエネルギーのロシア依存の見直しに乗り出している時だ。具体的には、再生可能なエネルギーの開発促進、エネルギー供給先の多様化などを図っている。これがロシアのウクライナ戦争での欧州側の教訓だった。

 同じことが対中関係でもいえる。サプライチェーンで中国依存が大きな問題となってきた。新型コロナウイルスの感染問題でもマスクや医療保護服などはすべて中国産だった。そこで中国依存のサプライチェーンからの脱皮が欧州の課題となってきた時だ。にもかかわらず、ショルツ首相がコスコ社との商談を承認し、中国を訪問し、経済関係をさらに深めようとしている。「ドイツはウクライナ戦争での教訓を忘れて、中国との経済関係を深めようとしている」という批判が飛び出すわけだ。

 以上、ショルツ独首相の「11時間の訪中」のタイミングは、―近平主席の独裁体制が確立された直後、▲魯鵐屮襯港のターミナル商談が閣議決定した直後、ロシアのウクライナ戦争の結果、欧州の対中依存のサプライチェーンの見直しが始まった時、等々で決して理想的な時期とは言えなかったわけだ。

 ドイツでも中国共産党政権に対する警戒論がないわけではない。ドイツの産業用ロボット製造大手「クーカ」が2016年、中国企業に買収されたことから、ドイツは先端科学技術をもつ企業の買収阻止に本腰を入れ始めている。ドイツのシンクタンク、メルカートア中国問題研究所とベルリンのグローバル・パブリック政策研究所(GPPi)は2018年1月5日、「欧州でのロシアの影響はフェイクニュース止まりだが、中国の場合、急速に発展する国民経済を背景に欧州政治の意思決定機関に直接食い込んできた。中国は欧州の扉を叩くだけではなく、既に入り込み、EUの政策決定を操作してきた」と警告してきた。

 ショルツ首相の訪中時期は、タイムリーではなかったが、ドイツの新しい対中政策を北京側に伝える最初の機会となったことは間違いないだろう。ショルツ政権がメルケル政権時代と同様、経済重視の融和政策を継続するか、人権問題や安保問題に重きを置く対中強硬政策に切り替えるか、今後の動向を注視していかなければならない。なお、ショルツ首相はFAZへの寄稿で、米国の対中デカップリング政策については反対の立場を表明している。

 (蛇足だが、ドイツ政府機が北京に到着すると、コロナ検査官が機内に入ってショルツ首相を含む全ての搭乗員、使節団を検査し、陰性が確認されてからしか機外に出ることを認めなかったという。ショルツ首相は中国当局の厳格な「ゼロコロナ」政策を身をもって体験したわけだ)

中国、海外にも自国警察署を設置か

 中国共産党政権が海外に自国の警察署を設置、自国の反体制派活動家を監視しているというニュースが流れている。中国が海外に住む自国民を監視していること自体は新しいことではないが、その監視体制が強化されてきている点で注目される。

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▲中国共産党第20回党大会で演説する習近平国家主席(英ガーディアン紙のスクリーンショットから、2022年10月22日)

 BBCは26日、オランダのRTLニュースと非政府機関NGO「セーフガード・デフェンダース」の情報として、「オランダで少なくとも2カ所の不法な中国警察拠点がある。非公式な警察の拠点を設置することは違反だ。オランダ外務省は中国側に抗議した」と大きく報道した。

 スペインに拠点を置く「セーフガード・デファンダース」は「中国の国境外で警察活動は野放しになっている」として、「中国は世界21カ国、54箇所に 『海外警察サービスセンター』を設立している。それらのほとんどはヨーロッパにあって、スペイン9箇所、イタリア4箇所 、英国では、ロンドン2箇所、グラスゴー1箇所が発見されている」という。

 中国側がオランダの批判を否定し、「海外に住む中国人へのサービスセンターだ」という。例えば、運転免許の更新などを手助けするというのだ。それに対し、「セーフガード・デファンダース」は、「中国共産党政権を批判する海外居住国民を監視し、必要ならば強制的に帰国させる機関だ」という。海外拠点の中国警察関係者から嫌がらせの電話や脅迫を受けた海外居住中国人が少なくないという。

 オランダ外務省報道官マキシム・ホーベンカンプ氏はBBCに対し、「オランダ政府は、中国政府との外交ルートを通じてこれらの活動について知らされてこなかった。それは違法行為だ」と語っている。

 パスポートの更新やビザの申請などのサービスは、ウィーン条約の規定に基づき、通常、大使館または領事館によって処理される。中国が非難されているような警察の前哨基地は、ホスト国の領土保全を侵害する可能性すら出てくる。

 中国の外交問題スポークスマン、王文彬氏は26日、「海外の警察署と呼ばれていたものは実際は海外の中国市民のためのサービスステーションだ。中国政府は他国の司法主権を完全に尊重している」と反論している。

 このBBCの報道を読んでいて 当方は2005年11月3日、 シドニー中国総領事館の元領事で同年夏、オーストラリアに政治亡命した中国外交官の陳用林氏(当時、37歳)と会見したことを思い出した。同氏は「610公室」のメンバーだった。江沢民国家主席(当時)が1999年に創設した「610公室」は超法規的権限を有し、法輪功の根絶を最終目標としている。中国反体制派活動家たちは「610公室」を中国版ゲシュタポ(秘密国家警察)と呼んでいる(「江沢民前国家主席と『610公室』」2011年7月13日参考)。

 陳用林氏はオーストラリアにいる中国人社会を監視し、法輪功メンバーがいたらマークするのが任務だった。彼は自身の任務に疲れ、その職務に疑問を感じて亡命した。彼は決して例外ではない。海外駐在の中国外交官の中から今後、多くの外交官が自身の職務に懐疑的になり、政治亡命するケースが増えるのではないか、と予想していた。(「欧州駐在の悲しき中国外交官」2020年9月4日参考)

 陳用林氏はシドニーに住む中国人、特に法輪功メンバーの動向を監視し、その情報を中国に送っていた。中国側がいう「海外サービスセンター」での業務は何かを説明した実例だ。

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▲インタビューに答える陳用林氏(2005年11月3日、ウィーンにて撮影)

 参考までに、同氏は当方とのインタビューの中で以下のように答えている。

 ――政治亡命の動機は

 「一つは自由を求めてだ。14年間、外交官として生きてきたが、真の自由はなかった。いつも監視下にあったからだ。また、自分が政治亡命することで母国の民主化を促進させたいという願いがあった。駐シドニー総領事館では中国出身の同胞国民を監視することが私の任務だったが、それが耐えられなくなった。中国政府は政治亡命した私を『祖国の裏切り者』と批判するが、私は祖国から逃亡したのではなく、中国共産党から逃亡しただけだ」

 ――駐シドニー領事としての任務は具体的に何だったのか。

 「オーストラリアに居住する中国人を監視し、反政府活動する中国人の言動を北京に報告することだ。私は気功集団『法輪功』信者の監視を担当してきた。ちなみに、中国秘密警察『610号』高官がシドニーを視察した時、同高官は『約3万人の法輪功信者が収容所に入れられている』と語っていた」

 陳用林氏の証言は、BBCらが報じた「中国共産党政権が治安関係者を海外に派遣し、海外に住む国民を監視している」との報道内容を裏付けるとともに、習近平国家主席時代に入り、海外で自国の警察署を設置するなど、海外居住の反体制派中国人監視が一層、強化されだしてきたことが分かる。

 中国共産党政権は2014年、「社会信用システム構築の計画概要(2014〜2020年)」を発表した。それによれば、国民の個人情報をデータベース化し、国民の信用ランクを作成、中国共産党政権を批判した言動の有無、反体制デモの参加有無、違法行為の有無などをスコア化し、一定のスコアが溜まると「危険分子」「反体制分子」としてブラックリストに記載し、リストに掲載された国民は「社会信用スコア」の低い二等国民とみなされ、社会的優遇や保護を失うことになる、というわけだ。

 共産党政権下で監視社会の出現を予言した英国の作家ジョージ・オーウェルの小説「1984年」を思い出す読者も多いだろう。中国では顔認証システムが搭載された監視カメラが既に機能しているから、「社会信用スコア」の低い危険人物がどこにいてもその所在は直ぐに判明する。その監視システムの対象が海外に住む中国人にまで広がられてきているわけだ。中国は今、国民のDNAを集めている。

独学者「武漢研究所が起因」

Sars-CoV-2 に遺伝子操作の痕跡

 ドイツ民間ニュース専門局「ntv」を視ていた時、「ドイツの学者が新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所(WIV)発生説を確認」といったテロップが流れてきた。中国武漢発の新型コロナウイルスの発生源問題では「自然発生説」と「WIV流出説」の2通りがある。前者を支持するウイルス学者が多いが、後者を主張する学者も少なくない。それだけに、3人の独学者チームの今回の発表に驚いた。何を見つけたのだろうか。

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▲中国武漢ウイルス研究所(WIV)ウィキぺディアから 

 そこで早速、ntvのウエブ・サイトから上記の報道関連記事(10月23日付)を探して読んだ。記事の見出しは「Deutscher Forscher: Sars-CoV-2 kommt zu 99.9 Prozent aus Labor」(ドイツの学者、Sars−CoV2(新型コロナウイルス)は99・9%研究所から起因」とかなりセンセーショナルだ。

 記事は、「ウイルスのゲノムにおける遺伝子操作の『指紋』を発見した。ウイルスは中国のWIVからきた可能性が高い」というのだ。オンラインに公表された研究内容のプレプリント(査読前論文)によると、3人の学者はSars-CoV-2が特別に遺伝子組み換えされて出てきたウイルスであるという。すなわち、自然のウイルスではなく、人工ウイルスというわけだ。

 独チームの3人のうち、中心的学者、ヴュルツブルク大学病院に勤めるヴァレンティン・ブルッテル博士は同僚と共に、ドイツのバイオテクノロジーの日で今年のイノベーション賞を受賞した学者だ。同博士は昨年の夏にはSars-CoV-2 のゲノムの異常に気づいたという。

 ブルッテル氏は、「他の分子的手がかりと組み合わせると、このウイルスが 99・9%人工的で、おそらく操作された天然ウイルスのコピーであることを示している」と、「ntv」局とのインタビューの中で語った。ウイルスのコピー方法は、個々のウイルス研究所が合成ウイルスを作成するために使用するものと類似している。これらの技術は日常の業務でも使用されているやりかただ。同博士自身、自己免疫疾患のための「完全に無害な」タンパク質ベースの薬を開発するためにこの技術を利用しているという。

 研究者チームは、Sars-CoV-2のゲノムに一種の「指紋」を発見した。 ブルッテル氏 によると、これはウイルスのゲノムで定期的に繰り返されるパターンだ。Sars-CoV-2 などのRNAウイルスを遺伝子操作する研究所は、最初に個々のDNAビルディングブロックからゲノムを組み立てる。目に見える「認識部位」が構成要素の接合部近くのゲノムに残る。独特の規則的なパターンだ。

 研究者チームは、人工的に作成されたウイルスとそれらの自然な「モデルウイルス」のゲノムを比較した。「自然界のウイルスでは、認識部位は完全にランダムに分布している。しかし、遺伝子操作で構成されたウイルスの場合、生産に関連した特定のパターンで現れる。このパターンはSars-CoV-2にも見られる。自然の進化が偶然にこのパターンを生み出す確率は、せいぜい100分の1であり、おそらくそれよりはるかに少ない」という。

 ブルッテル氏によると、「研究結果からSars-CoV-2 が実験室での事故によって放出された可能性があり、それが最終的に世界的なパンデミックを引き起こした可能性が考えられるわけだ。米国でも高セキュリティの研究所で危険な事故がほぼ毎週発生している。WIVはパンデミックが始まる前は安全性の低い条件下でコロナウイルスに取り組んでいた。口と鼻の保護は義務付けられていなかった。研究者がネズミに噛まれたり、何かが落ちたり、エアロゾルが発生したりする可能性があった。 若い従業員が無意識のうちに感染し、症状がなく、他の人に感染させた可能性は十分考えられる。理論的には、無症候性のウイルス感染者が他に感染を広め、数カ月後に武漢の華南生鮮市場で初めてアウトブレイクが発生した可能性がある」というのだ。

 同研究内容が報じられると、世界のウイルス学者たちから批判にさらされている。WIV流出説に対して最も批判的な学者の1人、カリフォルニア州ラ・ホーヤにあるスクリプス研究所の有名な免疫学者クリスチャン・アンダーセン氏はドイツの免疫学者の研究を「ばかげている」と一蹴し、「分子生物学の幼稚園を通過することさえできないほど欠陥がある。 Sars-CoV-2ゲノムにはランダムノイズのみが見られるのだ」と指摘している。

 また、ドイツのウイルス学者、ギーセン大学ウイルス研究所を率いているフリーデマン・ウェーバー氏は(ブルッテル氏らが言及した)痕跡を残さずにウイルスを遺伝子操作することは「可能だ」と強調している。ちなみに、遺伝子操作の痕跡排除技術は米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授らが開発し、それを「コウモリの女」と呼ばれている新型コロナウイルス研究の第一人者、WIVの石正麗氏が取得した経緯がある。

 ブルッテル氏は、「人工ウイルスによって偶発的に引き起こされたパンデミックのリスクは過小評価されている。人工的に生成された多くのウイルスは、Sars-CoV-2 よりも何倍も致命的だ」と指摘し、一部のウイルス学者たちが研究している「機能獲得研究」の危険性について警告している。

胡錦濤の「芝居説」が浮上?

 中国共産党第20回党大会(10月16日〜22日)をテレビニュースで見ていて驚いた読者も多かっただろう。北京の人民大会堂で行われた中国共産党党大会閉会式の22日、習近平総書記(国家主席)の左隣に座っていた胡錦濤前総書記(79)が突然退席するというシーンがあった。外電によると、胡錦涛氏は自身の意思に反して退場を強いられたのではないか、という。

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▲党大会の閉会式前に退席する胡錦濤前総書記(2022年10月22日、オーストリア国営放送のスクリーンショットから)

 党大会でのハプニングについて、3つの憶測が流れている。仝婉單鵑痢嵒袖だ癲廖↓⊇近平の「権力誇示説」、8婉單鵑痢崋乃鐇癲廚澄

 そこで人の表情、眼球、口周辺の筋肉の動きからその精神状況を読み取る「マイクロ・エクスプレッション」(微表情)の専門家、精神行動分析学者カル・ライトマン(ティム・ロス主演)に登場してもらって、人民大会の演壇上で演じられた胡錦涛氏の行動、習近平氏らの反応などを分析してもらう(ライトマンは米Foxの心理サスペンス番組「Lie to me」(邦題「ライ・トゥ・ミー」嘘は真実を語る)の主人公)。

(人間は嘘を言う時必ずある共通の動き、表情を見せる。人間が政治的理由から嘘を言うとき、そこには必ず共通する動きがあるから、それを探し出すことで、その時の心理状況、発言内容の真偽を見分けていく。抑制されてきた本当の感情、怒り、悲しみ、幸福感などが瞬間だが視覚的に現れてくるから、その微表情を分析することで、事件の謎を解いていく)

 以下は、当方の憶測に基づいたナラティブ(物語)だ。

 中国語のリップリーディング(読唇術)が出来たならば、栗戦書・全国人民代表大会(全人代)常務委員長が胡錦涛氏に退席を求めたシーン、胡氏に係員が語った内容、胡錦涛前総書記と習近平総書記との小会話、そして今回、最高指導部から退く李克強首相の表情、最後に閉会式前のハプニングを目撃した約2300人の党員代表たちの反応等々、事件の核心に迫ることが出来る材料は結構あるから、中国共産党党大会の出来事をひょっとしたら解読できるかもしれない。

 仝婉單鵑痢嵒袖だ癲廖3こ庵羚颯瓮妊ア「大紀元」によると、胡錦涛は長い間パーキンソン病を患ってきた。だから、浙江省麗水市党委書記を務める息子(胡海峰)は父親が党大会に参席することを心配していた。息子たちの懸念が当たり、閉会式前、胡氏は気分が悪くなった。息子から何かあったら即退席させてほしいと要請されていた党大会の係員が素早く前総書記の席に行って、本人が抵抗したとしても退席させたという。

 胡氏「俺は大丈夫だと息子に言ってくれよ」
 係員「総書記、分かっておりますが、ここは退席されたほうがよろしいかと思います」

 数秒間、胡氏と係員の間で言い争い。傍にいた栗戦書は「早く退席させたほうがいいよ」と口添える。

 退席することになった胡錦涛は自分のポストを継承した習近平に「君、何か言ってくれないか」と頼むと、習近平「お大事にしてください」と答え、それ以上何も言わない。胡氏は諦めて退席する前に、最高指導部(常務委員)から外された李克強首相の肩をたたき、同情の意を伝える。同首相は少し笑顔を見せ、頷くだけだ。

 ⊇近平の「権力誇示説」。党大会で3期の総書記ポストに就任し、長期政権の基盤を築きたい習近平は党内に自分の独裁体制に強く反発する党幹部たちがいることを知っている。実際、習近平落とし、暗殺未遂事件が過去、何度か発生した。党大会前の13日、北京市海淀区の高架橋で「習近平を追放せよ」といった横断幕が掲げられたばかりだ。そこで習近平は自身が党を完全に掌握していることをアピールするために、外国メディアのカメラの前で演劇をした。すなわち、全党員代表が拍手している時、胡錦涛がテーブルの上の書類に目を通し、拍手を忘れた姿を目撃した習近平は係員に退席させるように命令。それを受け、係員が胡錦涛を退席させようとした。胡錦涛は習近平に「これは何の目的か」と怒ると、習近平は「黙って出て行け」と一言。胡氏は李克強に「君も気を付けたほうがいいよ」と言い残して舞台から去っていった。習近平はこのシーンによって「如何なる者も自分に抵抗すればこのようになる」ということを党、世界に向かってアピールしたわけだ。習近平の高等戦略だ。

 8婉單鵑痢崋乃鐇癲廖E淆膕饂に68歳以上なら引退するとの不文律がある。69歳の習近平がこれを破って続投を決め独裁者になってきたことに対し、党内では強い反発があることを知っていた胡氏は党大会で芝居をした。公に批判すれば、自分ばかりか息子たちの将来も厳しくなるからできない。そこで世界が注目する党大会、そして習近平が正式に3期目に就任する前に一芝居した。自身が病気だということは知られていたから、突然、退席する。しかし、外的には嫌々退席させられたと党員たちが受けとれるように係員に少し抵抗する。檜舞台の党大会閉会式の党規約改正案などの採決前のハプニングを快く思わない習近平の横を行くとき、「申し訳ないが退席するよ」と声をかけ、習近平から追放された李克強の肩をたたきながら、「君も大変だな」と同情の意をそれとなく伝える。

 胡氏は、この芝居を中継したメディア関係者たちがこのハプニングに驚くとともに、さっそく憶測を開始するだろうと考えた。習近平の独裁体制、それに反対する党員たちがいるのではないか、といった憶測が大量に流れるだろうと予想したわけだ。習近平は自身の自負心を傷つけられる。反習近平派は胡錦涛の一芝居ハプニングを喜ぶ、というわけだ。

(なお、中国共産党第20期中央委員会第1回総会が23日、北京で開かれ、最高指導部メンバーの政治局常務委員を選出し、習近平総書記の3期目続投が正式決定した)

 以上、3シナリオだ。読者の皆さんはどのシナリオに最も納得されるだろうか。ライトマンがどのような診断を下すか、当方はワクワクしながら待っているところだ。

中国「ゼロコロナ」は何を意味するか

 10月に入り、本格的な秋となった。季節感が乏しくなったといわれるこの頃だが、秋はやはり到来している。早朝の駅周辺は仕事に行く労働者の姿が薄闇の中でよく見えなくなった。1カ月前だったら彼らの姿は朝の光で浮かび上がったが、10月に入ると暗闇に早足で歩く音しか聞こえない。もう1カ月もすれば、朝5時頃は真っ暗だろう。気温も下がってきた。

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▲新型コロナウイルス(covid-19)オーストリア保健・食品安全局(AGES)公式サイトから

 テレビのニュース番組を観ていると、よく知られるウイルス学者が登場し、新型コロナウイルスの新規感染者が増加してきていると指摘、FFP2マスクの着用を推奨していたが、コロナ元年の2020年や昨年のように強いアピールではなく、自己責任でマスクを着用することを勧める、といった少々腰が引けたメッセージだ。

 もちろん、それなりの理由はある。欧州を席巻しているオミクロン株は感染力はあるが、致死力は低く、感染しても重症化しないといったデータがあるからだ。気の早い学者は「コロナ感染はインフルエンザと同じ」と主張している。ロックダウン(都市封鎖)の日々を体験した国民はそれを聞いて安堵する。

 ところで、新型コロナウイルスの発祥地ともいうべき中国では習近平国家主席が「ゼロコロナ」政策を依然実施している。世界第2の経済大国に発展した中国共産党政権にとって国民経済の発展は不可欠だ。「ゼロコロナ」政策はその経済発展にはマイナスとなることは明らかだ。欧州諸国がここにきてコロナ規制の全面撤回を決定したのは、コロナ規制が国民経済の発展を阻害するからだ。経済界、ビジネス界からコロナ規制の撤回の声は久しく聞かれた。

 中国でもオミクロン株が主流と思うが、なぜ習近平主席は「ゼロコロナ」に拘るのだろうか。習近平主席はコロナ元年から2年間あまり外遊を控えてきた。ここにきてようやく必要最小限の海外訪問をこなしだしたが、主流は依然オンライン会議、ビデオ演説だ。対面会議を避けているのだ(「外遊できない国家元首の様々な理由」2021年10月17日参考)。

 ロイター通信が上海発で13日報じたところによると、「中国では新型コロナウイルスの新規感染者が9月の2倍に増加しており、ゼロコロナ政策は当面続くとみられている」という。国家衛生健康委員会によると、12日の新規感染者(無症状感染者を含む)は1624人。前日は1890人で、9月後半の平均900人から倍増している。欧州の新規感染者数と比較すると、中国の数字は限りなくゼロに近い。

 習近平主席が人並み外れて用心深いのかもしれないが、当方は「ひょっとしたら習近平主席は武漢発の新型コロナの正体を知っているのではないか」といった疑問をもっている。中国共産党政権は過去、武漢ウイルス研究所(WIV)のウイルス流出説に対しては必死に否定してきた。欧米諸国でオミクロン株は重症化リスクが少ないというデータに基づいてコロナ規制を緩和したが、中国側には別のデータがあるのではないか、といった憶測が流れている。

 人口14億人の中国では感染力のあるオミクロン株が急速に拡散する危険性は大きい。そして重症化リスクが少ないとはいえ、感染が広がることで新しいタイプのコロナウイルスが生まれてくる危険性は大きい。致死力のあるデルタ株に感染力のあるオミクロン株が合流し、ワクチン接種を無効化する新コロナウイルスが近い将来、登場してくるかもしれない、という声はウイルス学者の中には少数派だが聞かれる。

 習近平主席は黙っているが、コロナウイルスはこれからその牙を剥き出す段階に入ってきているのではないか。それゆえに、国民経済のブレーキと分かっていても「ゼロコロナ」政策を継続していかなければならないのではないか。

 欧米諸国のメディアはロシアのウクライナ侵攻問題に集中し、コロナウイルスの起源問題は忘れてしまった。中国側のプロパガンダと偽情報工作の効果もあって、もはやコロナウイルスの起源問題を真剣に調査している学者、メディアは少なくなった。それゆえに、中国共産党政権、習近平主席の「ゼロコロナ」政策が逆に不気味となってくるのだ。世界の覇権を狙う中国は本来、国民経済のさらなる発展に力を注ぐべきにもかかわらず、そして国民から「ゼロコロナ」政策への不満の声が高まっているにもかかわらず、「ゼロコロナ」政策に固執しているのだ。その頑固さに疑問をもつべきだろう。

 ドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授(シャリテ・ベルリン医科大学ウイルス研究所所長)は、「武漢から公表されたプロジェクトから危険な実験が行われたことが分かるが、その実験でSars−2が生まれてはこない。科学者たちはコウモリに新しい特性を組み込んだだけで、それをSarsCov−2の前身とみなすことは出来ない。遺伝子工学を使用して新しいスパイクタンパク質がコウモリウイルスに組み込まれた機能獲得実験で、ウイルスはよりよく増殖する可能性があることを示している。コロナウイルスはスパイクタンパク質にフューリン切断部位(PRRAR)を持っている。コロナウイルスの発生源問題では自然起源がはるかに可能性は高い。WIV起源説を完全に除外したくはないが、それは現在時点では一つの可能性だ。いずれにせよ、中国が全面的に協力した場合にのみ、全容が明らかになるが、残念ながら、中国側は実験内容の全容を隠蔽している」と述べている(南ドイツ新聞とのインタビュー=2月9日の中で答えたもの)。

 コロナ感染3年目を迎えた今日、WHO(世界保健機関)は今こそ中国共産党政権にWIVでの実験データの全容開示を強く要求すべきだ。メディアもコロナウイルスの発生問題を解決済みとはせず、機会あるたびに追及すべきだ。コロナウイルスは14日の時点で世界で6億2400万人が感染し、657万人以上の犠牲者が出ている(「武漢ウイルス発生源解明は可能だ」2021年11月2日参考)。 
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