ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

ウクライナ

イスラエル、ウクライナへ武器支援

 2011年3月に始まったシリア内戦では、アサド大統領を支援するロシアのプーチン大統領はロシア軍が保有する通常兵器だけではなく、新たに開発した武器の効果を確認するためにシリア内戦に投入したことはよく知られている。シリアはロシア軍の「武器の実験所」と呼ばれていたから、国際刑事裁判所(オランダ・ハーグ=ICC)がシリア内戦時のロシア軍の戦争犯罪を調査すれば、その段階でプーチン氏に逮捕状が出ただろう。ただ、世界の政情はロシアにとって有利だった。ウクライナ戦争とは違い、どの国もロシア軍の戦争犯罪をICCに提訴しなかっただけだ。

at_banner_image
▲SIPRI報告書「欧州向けの武器輸出が急増し、世界の武器貿易における米国の優位性高まる」(SIPRI公式サイトから)

 どのような武器も実際戦場で使用されるまではその能力を評価できない、という点では正しい。ロシア軍が開発したミサイルをシリアの反体制派勢力の領地に打ち込まなければ分からない。表現が良くないかもしれないが、新規開発の兵器には戦争が必要となるわけだ。

 最近の例を挙げてみる。イスラエル政府が対ドローン電子システムのウクライナへの納入を承認したというニュースが入ってきた。イスラエルはウクライナ戦争勃発後、モスクワとキーウの間の等距離外交を実施してきた。イスラエル空軍がロシア軍が管理するシリア空域でシリアで空爆できた背景には、プーチン大統領の暗黙の了承があったからだ。だから、イスラエルはロシアを挑発したくはなかったのだ。

 しかし、状況は変わった。ネタニヤフ首相は、「イスラエルはロシアとの決別を求めていない。わが国が提供する対ドローン電子システムはあくまでもウクライナへの防衛支援だ。もう一つは、ロシアがウクライナで使用しているイラン製無人偵察機に対して、イスラエルの防衛システムがどのような効果をもたらすかを知る上でも絶好の機会となる」とウクライナへの武器支援が自国の利益にも合致していると強調している。

 もう少し戦略的みれば、ウクライナ戦争で消耗してきたロシア軍はシリアへの軍事的関与を減らさざるを得ないだろう。独代表紙「フランクフルト・アルゲマイネ・ツァイトゥング」(FAZ)は3月18日付で、「ウクライナ戦争がロシアに負わせている多くの代償の1つは、中東でのロシアの地位の弱体化であり、それはロシアがこれまで努力して築き上げてきたものだ」と指摘している。

 スウェ―デンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は13日、最新の「国際武器移転に関する報告書」を公表したが、ロシアのウクライナ侵攻以来、欧州諸国の武器輸入が急増していることが明らかになった。

 報告書によると、2018年から2022年の期間、世界レベルでは前年同期比(2013年から2017年)で5・1%減少したが、地域別を見ると、欧州では武器の輸入は、47%増加し、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国ではさらに65%増加した。

 欧州の武器輸入急増の最大の受益国は米国だ。世界の武器移転に関する新しいデータによると、世界の武器輸出に占める米国の割合は33%から40%に増加した。米国は、日本(米国の武器輸出全体の8・6%)、オーストラリア(8・4%)、韓国(6・5%)に最も多くの武器を供給した。中国共産党政権の台湾進攻を防止する狙いがある。一方、2018年から22年の間に米国の武器輸出の合計23%が欧州諸国に向けられた。それ以前の4年間は11%だったから、欧州向けの武器輸出が急増している。その背景には、ウクライナ戦争の影響があることは明らかだ。

 一方、世界第2番目の武器輸出国ロシアは前年同期比で世界全体の輸出の22%から16%に減少した。その理由について、報告書は、.蹈轡△自国の軍隊の供給を優先していること、▲Εライナ戦争でロシアに対する風当たりが強く、ロシアに対する制裁と、米国とその同盟国からの圧力などから、ロシア製兵器の需要が低調となったと分析している。

 なお、中国の習近平国家主席が20日からロシアを公式訪問する。プーチン大統領との間ではウクライナ戦争問題が議題となるだろうが、その中にはロシアへの武器支援が出てくるだろう。欧米企業との取引が断絶したロシアにとって半導体などの先端機材が必要だ。中国製の無人機も必要だ。通常の兵器用の弾薬も乏しくなっている。問題は、習近平主席が米国の警告を無視してロシアへの武器支援に踏み切るかどうかが大きな焦点だ。

 戦争には武器が必要だ。武器は戦争を通じてその性能を確認する必要がある。両者は共存関係だ。うまくいけば、「シリア戦で効果があった」「ウクライナ戦で実証された」という宣伝文句を掲げて、国際武器商人が世界の紛争地を駆け巡るわけだ。

親ウクライナ派の破壊工作か…

 米紙ニューヨークタイムズや独紙ツァイトは7日、昨年9月に発生したバルト海の「ノルド・ストリーム」ガスパイプライン爆発の背後について、「米政府は親ウクライナ・グループが関与していると考えている」と報じた。ニューヨーク・タイムズは数人の匿名の米国政府関係者を引用して報じた。ドイツのメディアは、「爆発にウクライナの関与があった」と報じた。

abo
▲「ノルド−ストリーム」のパイプライン(「ノルド・ストリーム」公式サイトから)

17-09-08
▲「ノルド・ストリーム2」のルート図(ガスプロム公式サイトから)

 ロシアからバルト海峡を経由してドイツに天然ガスを送るパイプライン「ノルド・ストリーム1」と「ノルド・ストリーム2」で昨年9月、爆発が生じ、亀裂が生じてガス漏れが発覚した。デンマークとスウェーデン両国では自国の排他的経済水域(EEZ)内でガスの流出が確認された。爆発当時、パイプラインは稼働していなかったが、ガスが含まれていた。スウェーデン政府筋は当時、爆発の背後には破壊工作があり、爆発物の残留物が検出されたと発表した。

 パイプラインの爆発直後、ウクライナとポーランド両国は「ロシアが爆発させた」と主張してきた。2005年、ドイツのシュレーダー首相(当時)とロシアのプーチン大統領がロシアの天然ガスをドイツまで海底パイプラインで繋ぐ「ノルド・ストリーム」計画で合意した時、ポーランドのラドスワフ・シコルスキ国防相(当時)は、「ヒトラー・スターリン協定」(独ソ不可侵条約)の再現だと批判したことがあった。

 ただし、パイプラインを破壊できる軍事的、技術的能力(潜水艦や特殊部隊)を有している国はロシアだけではない。ロシアのペスコフ大統領報道官は当時、「米国の破壊工作の可能性がある」と指摘し、「欧州がロシアのエネルギーに依存しないように、両パイプラインを破壊したい国がある」と述べ、米国の仕業を示唆した。

 ちなみに、米国は欧州のロシア産天然ガス依存を回避するためにショルツ独政府に「ノルド・ストリーム2」の操業開始を断念するように圧力を行使。ショルツ首相は昨年2月22日、「ノルド・ストリーム2の操業開始を停止する」と公表した。パイプライン建設は昨年秋に既に完成し、関係国の承認待ちだった。

 米独メディアの報道によると、9月26日夜の犯行に使用された可能性のあるヨットはポーランドに本拠を置く会社がレンタルしたもので「ヨットは2人のウクライナ人の所有だった」という。そして「船長、ダイバー2名、潜水助手2名、医師1名からなるチームが爆発物を犯罪現場に持ち込んだ。ただし、彼らがどの国籍に属していたかは不明。偽造パスポートを使用していた可能性もある」という。しかし同破壊工作にウクライナのゼレンスキー大統領、または彼の側近が関与したという証拠はないという。

 ニューヨークタイムズによると、匿名の米国政府関係者は「解体を正確に実行したのは誰か、誰が命令したか、誰が資金を提供したか等、多くの点がまだ不明だ」と認めている。ツァイトによると、「捜査官は、加害者の疑いのあるグループを誰が依頼したかをまだ突き止めていない」という。 独公共放送ARDによると、「爆発事件をウクライナ側の仕業とするために故意に痕跡を残した可能性も排除できない」と慎重な姿勢を崩していない。

 ウクライナ大統領府高官はウクライナの関与を報じた米独報道の内容を否定した。一方、ドイツ首相府のスポークスマンは、「米紙の報告に注目している」と語った。情報が確認された場合、ドイツのウクライナ支援に深刻な影響を与える可能性が出てくる。ニューヨークタイムズは「ウクライナの関与の兆候は、直接的であれ間接的であれ、ウクライナとドイツのデリケートな関係に影響を与える可能性がある」と報じている。

 16年間のメルケル前独政権時代の対ロシア融和政策、ロシアのプーチン大統領の蛮行を追認した「ミンスク合意」(独仏ロシア・ウクライナ)などもあって、ゼレンスキー大統領のドイツ観は批判的だった。メルケル政権時代の外相だったシュタインマイヤー独大統領のキーウ訪問をウクライナ側が拒否するなど、ドイツ・ウクライナ両国関係はウクライナ戦争後、一時期険悪だった。「ノルド・ストリーム」の破壊工作がウクライナ人、ないしは親ウクライナ勢力となれば、ドイツ国内でウクライナ支援に批判的な声が高まり、他の欧州連合(EU)加盟国にもマイナスの影響を与えることが予想される。

 なお、ショルツ首相は3日、ワシントンに飛び、バイデン大統領と会談したばかりだ。訪米ではショルツ首相はほぼ単独で随伴者もなく、会談後の共同記者会見もなかった。両首脳の会談内容は非公開だったが、バイデン大統領は、欧州のウクライナ支援に大きな影響を与えるかもしれない「ノルド・ストリーム破壊工作」に関する「新しい情報」をショルツ首相に知らせ、その対応について話し合った可能性が考えられる。

ゼレンスキー大統領の「春欝」の原因

 ウクライナのゼレンスキー大統領は少し憂鬱になってきているのを感じる。ウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムトの動向を考えて、というわけではないだろう。この戦争をどのような形で幕を閉じることができるかで頭を悩ましているのだ。

92849a4239c0417f2bc149e7854d7e23_1677868348_extra_large
▲リヴィウで開催された国際会議(United for Justice)で語るゼレンスキー大統領(2023年3月3日、ウクライナ大統領府公式サイトから)

 ゼレンスキー大統領はこれまでクリミア半島を含むロシア軍の占領地を全て奪回するまで戦い続けると何度か表明してきた。そしてロシアのプーチン大統領との停戦交渉については拒否の姿勢を保ってきた。しかし、ここにきてゼレンスキー大統領は自身の考えを変えてきたのではないか。ロシア軍の攻勢がこれまで以上に激しくなってきたから、という理由ではない。

 バイデン米大統領、欧州連合(EU)、北大西洋条約機構(NATO)の3本の柱のウクライナ支援団の結束が緩んできたわけではない。彼らは異口同音に首脳会談を開催する度に「ウクライナへ今後も支援を続けていく」と表明している。重火器供給で躊躇してきたドイツの同国軍事産業ラインメタル社はウクライナ国内で武器生産に乗り出す考えがあることを明らかにしたばかりだ。ただ、欧米諸国がウクライナ支援の続行を繰り返せば繰り返すほど、ゼレンスキー氏は「いつかは支援が来なくなるだろう」といった強迫観念が強まってくるのだ。

 ゼレンスキー大統領は5日夜のビデオ演説の中で、「ウクライナ戦争の責任を負っているロシア人には、正当な処罰が待っていることを固く確信している。ロシアの全ての殺人者、この侵略の全ての主催者、何らかの形でわが国に対する戦争と国民に対するテロを引き起こした人間は、罰せられなければならない」と語った。そして「そのための土台は、リヴィウ(ウクライナ西部の都市)で開催された国際会議(United for Justice)で敷かれてきた。ウクライナに対する戦争の責任者を処罰することは、単なる正義の夢ではない。すでに進行中の作業だ。世界は戦争でロシアを罰するのに十分強い。私たちは罰を実行する勇気と手段を世界に与えている」と強調している。

 なお、リヴィウ会議では、とりわけ、戦争犯罪の起訴のための新しい国際センターを設立することが合意された。ウクライナは何カ月もの間、ナチス戦争犯罪者のためのニュルンベルク法廷をモデルにした国際法廷をその支持者とともに設立しようとしてきた。

 ロシア軍がウクライナに侵攻して2年目に入っている。停戦の見通しは立っていない。ウクライナは欧米からの武器供与を受ける一方、ロシアは軍の再編成後、攻勢に乗り出す動きを見せている。そのような中、ゼレンスキー大統領はロシアの戦争犯罪を問う国際法廷の設置に力を入れているわけだ。

 ゼレンスキー大統領の5日夜のビデオ演説を読んだ時、同大統領はクリミア半島の解放まで停戦に応じないという自身の考えを修正せざるを得なくなっているように感じた。なぜなら、戦争犯罪に対する国際法廷の設置は戦争が終わってからの課題だ。ゼレンスキー大統領は戦争の完全な勝利を目指すというより、戦争犯罪者への公平な処罰を重要視してきたのだ。

 戦争の長期化はウクライナに不利と言われてきた。ゼレンスキー大統領自身も今年に入り、「戦争は今年終わる」と述べている。例えば、来年は米大統領選だ。再選を目指すバイデン大統領はウクライナ戦争をこれ以上長期化させたならば、戦争に反対する声が国内で高まることを恐れている。実際、共和党のトランプ前大統領、フロリダ州のロン・デサンティス知事は「国内で苦しむ多くの国民がいるなか、巨額の資金を米国内ではなく、ウクライナに投入している」とバイデン政権のウクライナ支援政策を批判している。ドイツ国内では左派系活動家たちが「戦争の代わりに平和を」といった集会を開いている。また、ロシア制裁下で苦しむ国際大手企業からは「制裁を続ければ、世界経済は大変になる」といった警告の声が聞かれる。その声はバイデン大統領の耳だけではなく、キーウのゼレンスキー氏の耳にも届いているはずだ。

 ゼレンスキー氏はロシアとの戦いで勝利を信じているが、ロシアのプーチン大統領は勝利するまで戦い続ける姿勢を崩していない。それゆえクリミア半島を議題から外し、可能な限りロシア軍を撤退させながら、停戦に追い込む以外に道がないという判断が出てきたのではないか。

 戦争犯罪を裁く国際法廷の設置はゼレンスキー氏にとってこれまで以上に重要だ。「クリミア半島の解放」に代わって、「ロシア軍の戦争犯罪を裁く国際法廷の設置」を掲げることで、ゼレンスキー大統領は主権を守るために亡くなった多くの国民、兵士の名誉を回復させたいと願っても不思議ではない。同大統領にとって、国際法廷の設置は絶対に譲れない条件となってきたわけだ。

 もちろん、その前にロシア軍をウクライナ東部からどれだけ撤退させるかの交渉が出てくるが、ロシア側も自身の国家メンツを失わないためには、譲歩も必要となるだろう。ひょっとしたら、ウクライナ東部に国連和平監視部隊を派遣し、停戦を監視するという案も出てくるかもしれない。

 米国の著名な歴史学者、プリンストン大学のスティーブン・コトキン教授やブルガリアの政治学者イヴァン・クラステフ氏は和平協定の締結なくして休戦状況にある朝鮮半島の停戦モデルを主張している。ウクライナ戦争を終わらせるためには、戦勝国も敗戦国もなく、ただ両者の間に休戦ラインしかない朝鮮型モデルが考えられるのだ。

 ウクライナ国民の愛国心を鼓舞し、軍を指揮してきたゼレンスキー大統領は現在、ロシア軍との戦いでの勝利ではなく、休戦ラインをどこに敷くかを考えざるを得なくなってきたわけだ。同大統領の憂鬱(春うつ)はその辺にあるのではないか。

ウクライナ人の悪夢「ホロドモール」

 2日連続映画の話で恐縮だが、スターリン時代の1930年代のソ連を描いた2019年制作映画「Mr.Jones」を観た。日本語タイトルは「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」だ。監督はアグニェシュカ・ホランド、主役はジェームズ・ノートンが演じている。物語は1930年代、スターリン時代のソビエト連邦に決死の潜入取材し、スターリン共産政権の実態を暴露した英国人ジャーナリスト、ガレス・ジョーンズの姿を描いた伝記物語だ。

c19c68e8a2eb805239f477543b0e62c4_1669483357_extra_large
▲ホロドモール(大飢饉)90年目の追悼式に参加したゼレンスキー大統領とオレナ夫人(2022年11月26日、ウクライナ大統領府公式サイトから)

 欧州では当時、ナチス・ドイツの台頭を恐れる声が支配的であった一方、世界恐慌の中でも経済発展するソ連のスターリン政権に欧州の未来の姿を感じる声が強かった時代だ。ヒトラーをインタビューしたジョーンズは今度はスターリンと会見したいと考えていた。ジョーンズは当時、スターリンのソ連共産政権は「労働者の天国」という話を信じていた。世界の穀倉地ウクライナで100万人以上の飢餓者が出ているという情報を信じられなかったので、自分の目で確かめたかった。そこでソ連を訪問、西側人には足を踏む入れることが禁止されていたウクライナに潜入し、そこで飢餓で死んでいく多くのウクライナ人を目撃してショックを受ける。

 (スターリンのソ連共産政権の世界を「労働者の天国」と当時多くの欧米メディアが報じていたが、日本でも朝日新聞らが北朝鮮を「労働者の天国」と報じ、それを真に受けて多くの在日朝鮮人(韓国人、その日本人妻も含む)が北朝鮮に渡っていったことを思い出す。北朝鮮に入国した多くの人は日本に再び戻ることができず、自由のない苦しい生活を強いられた)

 モスクワの英国大使館関係者はスターリンの意向に沿って「ソ連は労働者の天国だ」というプロパガンダを支持し、ウクライナへ入ろうとしている若いジャーナリストの冒険に警告を発した。モスクワ駐在の欧米メディア特派員もソ連共産党に飼いならされ、放縦な生活を送り、スターリンのソ連共産党政権の実態を調査報道するといった考えはなかった。

 映画では猛吹雪の中、空腹で苦しむウクライナ人たち、パンの配給に群がる人々、路上には空腹で亡くなった人々の死体が転がっている。画面は白黒映画を観ているような殺伐とした風景を見せ、そこに生きるウクライナ人の姿を描いていた。ウクライナは当時から穀倉地だったが、収穫された穀物はモスクワに送られ、ウクライナ人には与えられなかった。歴史家が後日、「ホロドモール」と呼ぶ大飢餓で数百万人以上のウクライナ人が亡くなった。スターリンの食糧政策の失策による人災ということから、「スターリン飢餓」とも呼ばれている。

 ジョーンズはウクライナで取材中、治安関係者に逮捕されたが、ウクライナで目撃した内容を記事にしないという条件で釈放され、英国に帰国する。そして危険を知りながら、ウクライナ人の地獄のような状況を世界に伝えなければならないと決意した。多くの批判、反発はあったが、最終的にはメディアに彼のルポ記事が掲載された。その後、ジョーンズは1935年頃、日本を訪問し、満州国の内モンゴルを取材中、盗賊に誘拐され、殺された。まだ30歳の若さだった(ソ連の秘密警察の仕業とも言われている)。

 なぜ、この映画の話をするのかは、現在のウクライナ情勢を理解するうえで何かヒントが得られるのではないかと思ったからだ。ゼレンスキー大統領が昨年11月26日、オレナ夫人と共に1932年〜33年のホロドモール90年目の追悼式に参加した写真をこのコラムでも掲載した。ホロドモール時代のウクライナを描いた「Mr.Jones」を観たいと思った次第だ(「プーチン氏『冬将軍』の到来に期待?」2022年11月28日参考)。

 ウィーンにはウクライナ移民たちのコミュニティがあるが、年配のウクライナ人は「大飢餓の出来事は現在のウクライナ人にもトラウマとなっている」という。共産政権時代に生じたチェルノブイリ原発事故、そしてロシア軍のウクライナ侵攻と、ウクライナ人は過去、多くの苦境に直面してきた。プーチン大統領は「ウクライナ人はロシア人と同じ民族だ」と主張する。実際、ロシア人とウクライナ人の婚姻が多い。一方、ウクライナ人はロシア民族によって苦しめられ記憶を忘れることができない。多くのウクライナ人はプーチン大統領を「21世紀のスターリン」と受け取っている。

 プーチン大統領はウラジーミル・セルゲイェヴィチ・ソロヴィヨフ(1853年〜1900年)のキリスト教世界観に共感し、自身を堕落した西側キリスト教社会の救済者と意識している。同氏は自分をキーウの聖ウラジーミルの生まれ変わりと感じ、ロシア民族を救い、世界を救うキリスト的使命感を感じているという。一方、ウクライナ国民はソ連共産政権下の「ホロドモール」の悪夢を払拭できずにいる。「プーチン氏の世界」と「ウクライナの歴史」の間には深い溝、“赤い闇”が横たわっている(「プーチン氏に影響与えた思想家たち」2022年4月16日参考)。

「朝鮮モデル」でウクライナ停戦を?

 ウクライナ戦争は2年目に入った。メディアは過去1年間の戦争の総括を報道する一方、異口同音に「停戦の見通しは現時点では見えない」という近未来の予想を付け加えた。

2152c87700bd7d3aabc808b1bff497a9_1677255663_slider_large
▲先進7か国首脳会議(G7)にビデオ参加するゼレンスキー大統領(2023年2月24日、ウクライナ大統領府公式サイトから)

 その近未来像は間違いではない。中国外務省は24日、12項目からなる中国発ウクライナ和平案を発表したが、同12項目に実質的な和平の可能性が潜んでいると受け取る政治家、専門家は少ない。12項目の和平案を提示する一方、神風無人機をロシアに供与する話を中国側が進めていると聞けば、誰でもそう考えざるを得ないだろう。中国製偵察気球を気象観測気球と堂々と嘘をついてきた中国共産党政権だから、ウクライナ和平案に対しても世界が懐疑的に受け取るのは極自然だ。

 ウクライナ戦争の停戦、ないしは和平の実現は現時点では確かに難しい。なぜなら、ウクライナのゼレンスキー大統領はクリミア半島を含むロシアが占領している領土の奪回を目指しているからだ。ゼレンスキー氏は、この前提条件が実現されない限り、ロシアとは如何なる停戦も和平交渉も応じないというのだ。同大統領は、「われわれはミンスク合意の過ちを繰り返さない」と繰り返し述べている(「ミンスク合意」とは、ロシアとウクライナが2015年2月、調停役のドイツとフランスの2国を交え、ウクライナ東部の紛争の包括的停戦内容)

 ロシアは現在、ウクライナ領土(主に東部と南部)の約20%を占領している。その占領領土をウクライナ側が奪回し、ロシア軍がウクライナ領土から完全に撤退することを停戦・和平交渉の条件としている限り、ウクライナ戦争は長期戦となり、消耗戦となることが避けられない。

 消耗戦となれば、国民経済を戦争経済に再編し、武器製造に乗り出すロシアに対し、欧米諸国からの武器供与に依存するウクライナは不利だ。欧米諸国では攻撃用戦車の供与などを決定し、戦闘機、長射程ミサイルの供与が次のテーマとなっているが、武器弾薬やミサイルなど軍需品の補給、製造体制はまだ整っていない。欧米諸国は現在、ウクライナへの全面的支援で結束しているが、長期化すれば、支援疲れが出てくることが予想される。

 それでは停戦・和平交渉は不可能かといえば、決してそうとは言えない。ゼレンスキー大統領が和平交渉の前提条件を放棄し、ウクライナ領土の80%、ないしは90%を確保する一方、欧州連合(EU)に早期加盟することができれば、ウクライナの安全保障は確保できる。そして朝鮮戦争後の南北分断された朝鮮半島のような休戦状況を実現すればいいという。これは米国の著名な歴史学者でロシア専門家のスティーブン・コトキン教授が紹介している内容だ。オーストリア日刊紙スタンダートが24日、報じていた。

 プリンストン大学のコトキン教授は雑誌ニューヨーカーとのインタビューの中で、「対ロシア制裁は今日まで有効に機能せず、クレムリン宮殿クーデターは発生していない。一方、ゼレンスキー氏の戦争終結へのビジョン、奪われた領土の回復、戦争犯罪の調査、賠償金の支払いなどは希望的観測に過ぎない。ドニエプル川沿いの国をさらに荒廃させ、居住不能にするだけだ。戦争の終結は、ウクライナが領土の一部を失う事を甘受する代わりに、EUに加盟することだ。過去の実例として朝鮮戦争の解決策がある。そのためには非武装地帯の設置と休戦が必要となる」と主張している。

 ウクライナの「朝鮮戦争後の休戦」案はコトキン教授だけの見解ではない。ブルガリアの政治学者イヴァン・クラステフ氏は20日、オーストリア国営放送とのインタビューの中で、「戦争の行方は分からない。サプライズもあり得る」と指摘し、「例えば、朝鮮半島の場合、朝鮮戦争(1950年6月〜53年7月)後も南北両国は和平協定が締結されていないが、休戦状況は続いている。同じように、ロシアとウクライナ両国は(双方の譲歩と妥協が不可欠の)停戦・和平協定の締結は難しいとしても、戦場での戦いを休止し、その状況が続く、といった朝鮮半島的休戦シナリオは考えられる」というのだ。米国と欧州のロシア問題エキスパートがウクライナ戦争の停戦・和平案として「朝鮮戦争後の休戦」をモデルと考えているということは興味深い(「ウクライナ戦争と『24年選挙イヤー』」2023年2月22日参考)。

 ウクライナ領土80%、ないしは90%をキーウに、残りをロシアに分割する休戦案は、プーチン大統領の野望の一部を受け入れることになるから、ウクライナ側には強い反発が出てくるだろう。ただ、戦争を長期化し、消耗戦となれば、ウクライナ側にも負担は大きい。領土の一部をロシア側に譲る一方、ウクライナが早期EU加盟を実現できれば、北大西洋条約機構(NATO)の加盟とは違い、ロシアの反発は少ない。そして南北分断国家の朝鮮半島で、韓国が経済的に繁栄していったように、EU加盟国のウクライナが経済国として発展していくというシナリオだ。

 コトキン教授は、「アイゼンハワー米大統領が1950年代の朝鮮戦争中に韓国を訪れたように、ジョー・バイデン米大統領もキエフを訪れた」と述べ、「朝鮮モデル」がウクライナの休戦実現にも適応できると考えている。

 ただ、ロシア側が占領しているウクライナ東部、南部は黒海周辺の重要なエリアだ。また、イスラエルとパレスチナの現状を見ても分かるように、国家の分断は決して停戦を意味せず、紛争が再開する危険性は常にある。その意味で、「朝鮮モデル」をウクライナの休戦に適応する案は和平協定を締結するまでの暫定的な解決策というべきだ。

 問題は、ロシアは核兵器だけではなく、生物・化学兵器といった大量破壊兵器を保有していることだ。コトキン教授やクラステフ氏には、「ロシアの化学兵器または生物兵器がキーウの水供給を汚染したり、ロシアの特殊部隊がヨーロッパに多大な損害を与える可能性がある。プーチン大統領が大量破壊兵器に手をかける前に、ウクライナ戦争を早期停戦し、休戦状況に持ち込まなければ危ない」といった現実的判断が働いているのだろう。

中国発「ウクライナ和平案」12項目

 ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍を侵攻させて以来、24日で1年目を迎えた。プーチン氏は短期間でウクライナを制圧できると考えていたが、ウクライナ側の強い抵抗を受け、その野望は挫折。ウクライナ側は欧米諸国からの武器供与を受け、ロシア軍に激しく攻撃をかけ、戦いは長期化する気配が濃厚となってきた。プーチン大統領は自身の政治生命をかけ、ウクライナ戦争の勝利のために腐心する一方、ウクライナのゼレンスキー大統領はクリミア半島を含み、ロシア軍の全面的撤退を要求しているため、現時点では和平交渉の見通しはない。

kn1wKyql7h4V5nwFB0dAJJp8n9mvZyxN
▲「祖国防衛の日」に無名戦士の墓に花輪をささげるプーチン大統領(2023年2月23日、クレムリン公式サイトから)

 一方、中国はロシアのウクライナ侵攻1年目を迎えるにあたり、ロシアとウクライナ両国に対し、12項目からなる和平案を提示し、停戦に向け調停役を買って出てきた。中国外務省は24日、ウェブサイトで12項目の和平案を掲載し、両国に紛争の「政治的解決」を求めている。

 「ウクライナ危機への政治的解決のための中国の立場」とタイトルされた和平案では、両国にできるだけ早い時期に直接対話の再開を要求し、「紛争当事者は国際人権を厳守し、民間人や民間施設への攻撃を回避しなければならない」と求めると共に、「核兵器の使用は絶対にあってはならない」と要求している。以下、中国の12項目からなるウクライナ和平案を紹介する。

 1)国家の主権を尊重:一般に認められている国際法と国連憲章は「厳密に」遵守されなければならない。
 2)冷戦の考え方を放棄、自国の安全のために他国を犠牲にしてはならない。
 3)敵対行為をやめる:全ての当事者は「合理性を保ち、自制を保ち」、紛争を煽ってはならない。
 4)和平交渉の再開:対話と交渉がウクライナ危機に対する唯一の実行可能な解決策だ。
 5)人道危機の解決:人道危機の緩和に貢献する全ての行動は「奨励され、支援されなければならない」
 6)民間人と戦争捕虜の保護:全ての紛争当事者は、国際法を遵守し、民間人や民間インフラへの攻撃を回避する必要がある。
 7)原子力発電所の安全確保:原子力発電所への武力攻撃を拒否する。
 8)戦略的リスクの軽減:核兵器は使用されるべきではなく、核戦争は行われるべきではない。
 9)穀物輸出の促進:全ての当事者は黒海穀物協定を実施する必要がある。
 10)一方的な制裁を止める:一方的な制裁と圧力は問題を解決できず、新しい問題を生み出すだけだ。
 11)サプライチェーンの安定化:全ての関係者は、既存の世界貿易システムを維持し、世界経済を政治目的の武器に使用してはならない。
 12)復興計画:国際社会は、影響を受けた地域で紛争後の復興を実施するための措置を講じるべきだ。

 12項目の中で、1)はウクライナに軍を侵攻させたプーチン大統領への批判になる一方、「台湾の軍事的統合」を図る中国共産党政権にとっては100%歓迎される内容とは言えない。ただし、紛争の和平案という以上、加害者側の国家主権蹂躙を指摘せざるを得なかったわけだ。6)のロシア軍の戦争犯罪行為を想起するならば、ロシア側にとっては歓迎されない項目だ。和平案では、民間人を安全な場所に連れて行くための人道的回廊の確立、および穀物輸出を確保するための措置も求めている。その一方、10)の「一方的制裁の中止」はロシアの願いに沿う内容だ。

 中国の習近平国家主席は中国外交のトップ、前外相の王毅・共産党政治局員を第59回「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)、ハンガリー、そしてロシアに派遣し、世界に向かって中国のウクライナ和平案を提示する考えを示唆し、大国・中国の存在感を誇示しようと腐心している。一方、ゼレンスキー大統領は23日、中国の和平計画について、「北京で政府関係者と話し合いたい。私はまだ和平案の文書を見ていない」と指摘、「中国がウクライナについて話し始めたことは原則として良いことだ」と述べている。

 中国の12項目の和平案をみると、覇権争いをする米国を意識した内容がある。2)はその代表だ。中国の発展を阻止し、人権問題などで干渉し、圧力を行使する米国への批判だ。それを中国側は「冷戦の思想」と呼んでいる。10)の制裁の解除要求はロシアへの西側の経済制裁だけではなく、中国への制裁解除要求と受け取れる。

 中国はロシアにとって数少ない緊密なパートナーシップを維持している国だ。中国はウクライナ戦争でも可能な限り中立を守り、ロシアの侵略を批判する言葉を避けてきた。西側諸国がウクライナに武器を供給していることに対しも、「火に油を注いでいる。戦争を意図的にエスカレートさせている」と繰り返し非難してきた経緯がある。

 ウクライナを支援する欧米諸国は中国がロシアに軍需品などを支援するのではないかと懸念している。そのため、ブリンケン米国務長官は「中国のロシアへの武器支援が発覚すれば、厳しい制裁を科す」と警告してきた。

 北京にとって、対北米貿易はロシアとの経済関係を上回るものだから、ロシアに武器支援をし、米国から更なる厳しい経済制裁を受ければ、中国経済にとって大きなマイナスとなることは明らかだ。北京はそのリスクを犯してまでロシアを支援するだろうか。独週刊誌シュピーゲルは、ロシアが既に中国と無人機について交渉していると報道している。

 いずれにしても、中国発の和平案に対し、プーチン氏の反応が注目される。なお、ドイツのショルツ首相は23日、中国のウクライナ和平仲介に対して、「幻想を抱くべきではない」と警告を発している。

プーチン氏、宇宙の神聖さから学べ

 ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍を侵攻させて今月24日で1年目を迎えた。ウクライナでは1000万以上の国外難民、国内避難民が出てきた。兵士だけではなく、多くの民間人が亡くなった。ロシア側も無傷ではなく、数万人の若い兵士が亡くなり、負傷した。

23-5mb
▲ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が配信した最初の画像(2022年7月12日、NASA提供)

 プーチン大統領によれば、ロシア軍のウクライナ侵攻はウクライナの非ナチ化、非武装化が目的の「特殊軍事行動」だったが、現在は「ロシアと西側」との戦いになってきたという。プーチン大統領はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟阻止が狙いだったが、プーチン氏が始めた戦争の結果、これまで中立国だった北欧のスウェーデンとフィンランド2国がNATO加盟を申請し、ウクライナは欧州連合(EU)の加盟候補国になった。プーチン氏の狙いはウクライナ東部の一部領土の獲得以外は悉く外れた。

 プーチン大統領は21日、年次教書演説の中で戦争の責任を西側にあるとし、「ロシアは戦いに勝利しなければならない」と檄を飛ばした。一方キーウ、ワルシャワを訪問したバイデン米大統領は「ロシアを勝利させてはならない」として、欧米諸国の結束とウクライナへの全面的支援を呼び掛けた。同時期に、中国の習近平国家主席は中国外交のトップ、前外相の王毅・共産党政治局員を第59回「ミュンヘン安全保障会議」(MSC)、ハンガリー、そしてロシアに派遣し、世界に向かって中国のウクライナ和平案を提示する考えを示唆し、大国・中国の存在感を誇示しようと腐心した。

 米国、ロシア、そして中国の3大国の指導者たちはウクライナ戦争勃発1年目を前に、それぞれの立場を表明したわけだ。世界の政治情勢はウクライナ戦争を契機として緊迫度を深め、世界的なレベルの危機となってきたことは確かだろう。エネルギー価格の急騰、食糧不足などで人間の基本的生活基盤が揺れ出し、多くの人は未来に対して不安を感じてきた。第3次世界大戦の勃発を懸念する声すら聞かれる。

 ウクライナ戦争1年目を迎え、ロシアやウクライナの戦争当事国だけではなく、大きく言えば、人類が今最も必要としているのは地球の重力から解放された思考、世界観の確立ではないか。

 2012年2月、スペインのラサグラ天文台が発見した小惑星「2012DA14」が地球に接近しているというニュースが流れた時だ。米航空宇宙局(NASA)によると、小惑星は地球から約2万7000キロメートルまで接近するから、静止人工衛星より地球に近いところを通過するという。小惑星は大きさが45〜50メートルで推定13万トン。地球に衝突し、海面に落ちた場合、津波が生じるだろうし、都市に落下した場合、かなりの被害が考えられたが、幸い、小惑星は地球に衝突せずに通過した。

 小惑星の衝突は過去にもあったし、将来も考えられるが、惑星の軌道を正確に計算できない限り、予測が難しい。小惑星の急接近は、一時的にせよ地球上の紛争やいがみ合いを忘れさせ、私たちの目を宇宙に向けさせる機会となった(「『思考』を地球の重力から解放せよ」2013年2月9日参考)。

 ハップル(Hubble)の後継者、ジェームズ・ウェッブ(James・Webb)宇宙望遠鏡から配信された最初の写真を見た時、感動が大きかった。30年間、約2万人のエンジニア、プランナー、研究者が参加し100億ドルをかけて建築されたジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡から送られた画像を始めてみたボルチモアの宇宙望遠鏡科学研究所のクラウス・ポントピダン氏は、「天文学の新しい時代が始まろうとしていることに誰もが気づくだろう」とその感動を語ったほどだ(「戦争報道写真と宇宙からの『画像』」2022年7月13日参考)。

 ウェッブの使命は、宇宙の果てまで見ることだ。若い宇宙の真っ暗闇の中で最初の星が発火した瞬間を撮影する、という目的だ。独週刊誌シュピーゲル電子版は、「聖書の創世記第1章『神は光あれと言われた、すると光があった』という瞬間をキャッチすることだ」と説明している。

 オーストラリアのスウィンバーン工科大などの国際研究チームが今月22日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表したところによると、「地球から131億光年以上離れた遠い宇宙に、質量が非常に大きな銀河とみられる6個の天体を発見した」という。この発見もジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の成果だ。

 ウェッブ宇宙望遠鏡から届く画像やデータを見ると、眩暈を覚えるほどだ。その無限な天体に圧倒される。人類は過去から現在に至るまでいがみ合い、戦争を繰り返してきた。そのことが地球という惑星に住む人類の汚点と感じるほど、宇宙は無限な神聖さを秘めている。

 プーチン大統領はクリミア半島もドンバス地方もロシア領土と主張して戦争を始めたが、そのナラティブ(物語)にどれだけの真理があるのか。習近平主席は一つの中国を主張し、「台湾は中国領土」と豪語しても、その世界観は余りにも小さい。

 人類の生活、思考も地球の重力の影響を受けてきた。トランプ前米大統領はアメリカン・ファーストを宣言したが、地球オンリー的な思考から抜け出すことができないでいる。ウェッブ宇宙望遠鏡がもたらす天体の画像は、私たちに地球オンリーの思考、世界観から脱皮すべき時を迎えていると告げている。プーチン氏よ、宇宙に目を向け、新たなナラティブを学べ。

ウクライナ戦争と「24年選挙イヤー」

 ロシア軍がウクライナに侵攻すると予想した政治家、エキスパートはほとんどいなかった。その意味で多くの人にとってサプライズだった。プーチン大統領は2月24日、ウクライナにロシア軍を進めた時、短期間でウクライナを制圧するだろうと予想していたが、現状はこれまた想定外だった。世界はウクライナ国民の結束力、軍の強さを目撃して驚愕した。

lkw6B0AOqrnBVMpW3BdshtGlAOHPAD6R
▲ウクライナ侵攻1年目を控え、年次教書演説するロシアのプーチン大統領(クレムリン公式サイトから、2023年2月21日)

 ウクライナ軍が欧米諸国からの武器の提供を受け、戦場で善戦し、奪われた領土を一部取り返してきた。ロシア軍の規律のなさ、戦闘意欲の減退などを挙げて、欧米メディアではウクライナ軍の勝利を予想する声さえ出てきたが、ロシア軍が今後巻き返してくるかもしれない。ブルガリアの著名な政治学者イヴァン・クラステフ氏は20日、オーストリア国営放送とのインタビューの中で、「戦争の行方は分からない。サプライズもあり得る」と指摘している。

 プーチン氏は戦争勃発直後、ロシア軍の侵攻をウクライナの「非ナチ化、非武装化」を理由に挙げ、「戦争」ではなく、「特殊軍事行動」と位置付けてきたが、ここにきて「ウクライナとの戦争ではなく、ロシアと西側諸国との戦いだ」とその戦闘の意味を修正している。

 クラステフ氏はウクライナ戦争の今後の動向に影響を与える要因として、2点を挙げている。一番目の要因は、戦いの勝敗は戦場での動向だけではなく、経済、特に、戦争経済体制が重要となるというのだ。

 プーチン大統領は既に国民経済を戦争経済体制に転換している。欧米諸国では攻撃用戦車の供与などを決定し、戦闘機、長射程ミサイルの供与が次のテーマとなっているが、武器弾薬やミサイルなど軍需品の補給、製造体制はまだ整っていない。

 第2次世界大戦後、80年余り、戦争を体験せず、平和産業が繁栄する一方、軍需産業を縮小してきた欧州諸国にとって、戦争が長期化すれば、軍需品の補給が大きなテーマとなる。一方、ロシアはソ連解体後もグルジア戦争(ジョージア)、チェチェン紛争など隣国と戦争を経験してきたから、ロシアの軍事産業は常に戦時体制下にある(ロシアは中国、イラン、北朝鮮から軍需品、武器の供与を受けている)。

 クラステフ氏によると、ウクライナ戦争の動向に影響を与える2番目の要因は、「2024年に実施予定の選挙」だ。2024年には3月にロシア大統領選、5月にウクライナ大統領選、11月に米大統領選が実施される。そのほか、欧州議会選挙が24年上半期には実施され、アジアの安保情勢に大きな影響を与える台湾総統選が24年1月に実施される。すなわち、2024年は「選挙イヤー」だ。その選挙の年の前年にあたる2023年の今年は選挙に勝利するための重要な期間となる。

 プーチン大統領は既に24年の選挙に向けて動き出している。プーチン大統領は再選を目指すなら絶対にウクライナ戦争では敗北できない。奪った領土をウクライナに取り返されるなどがあったら、厳しくなる。ウクライナ戦争の1年間、ロシアは死者、負傷者が20万人に近いといわれる。ロシア国内の反戦運動が高まることも考えられるから、プーチン氏の再選は決して確実ではない。

 ゼレンスキー大統領の場合、2019年にコメディアンから大統領に当選した当初、「大統領職は1期だけ」と述べていたが、キーウからの情報では再選を目指す意向だという。となれば、ゼレンスキー大統領もロシアとの戦いでは欧米諸国からの武器供与を受け、勝利しなければならない。プーチン氏もゼレンスキー氏も2024年の大統領選に勝利するためには戦争に勝利するか、敗北しないことが絶対に必要となるわけだ。だから、「選挙イヤー」(2024年)を控え、クラステフ氏は、「ウクライナ戦争はデ・エスカレーションではなく、エスカレートすることが予想される」と見ているわけだ。ちなみに、プーチン大統領は21日、年次教書演説の中で米国との核軍縮条約「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を発表し、ウクライナ戦争での核カードをちらつかせている。

 ウクライナを全面支援してきたバイデン大統領の場合、米国の国内情勢が重要となる。例えば、米国の中国政策は米国の国内問題といわれるように、ウクライナ戦争も米国内の有権者の動向が大きな影響を与える。戦争が長期化し、軍事支援の見直しを要求する声が高まってきた場合、バイデン大統領はウクライナ政策の修正を余儀なくされる。大統領選で再選を果たすために、政治家は国民受けする政治を優先するからだ。バイデン大統領がウクライナ抜きでプーチン氏と停戦交渉を行う、といったシナリオもあり得るだろう。

 エネルギー危機、物価高騰などで悩む欧州諸国もウクライナ戦争が長期化すればさまざまなマイナス現象が出てくるだろう。反戦運動も出てくるだろう。明らかな点は、ウクライナ戦争の長期化はプーチン氏の独裁政治に揺れがない限り、ロシア側に有利であり、欧米諸国にとって次第に負担が重くなってくる。

 ロシアとウクライナは現時点では停戦に応じる考えはない。それでは停戦のチャンスは皆無かというと、そうとも言えない。クラステフ氏は、「例えば、朝鮮半島の場合、朝鮮戦争(1950年6月〜53年7月)後も南北両国は和平協定が締結されていないが、休戦状況は続いている。同じように、ロシアとウクライナ両国は(双方の譲歩と妥協が不可欠の)停戦・和平協定の締結は難しいとしても、戦場での戦いを休止し、その状況が続く、といった(朝鮮半島的)休戦シナリオは考えられる」という。

激戦地バフムトのカラスたち

 ロシア軍がウクライナ東部、南部で攻勢をかけてきた。プーチン露大統領がウクライナ侵攻を命じて今月24日で1年目を迎えることから、プーチン大統領は戦争で成果を上げることに躍起となってきている。ウクライナ東部ドネツク州のバフムト近郊ではロシア民間軍事会社ワグネルの傭兵隊がクラスナヤゴラを制圧したという情報が流れている。

wien99
▲改築された国民議会の天井ガラスにひびが入った(2023年1月17日、ウィーン市「区報」サイトから)

 ところで、独週刊誌シュピーゲル(2023年2月4日号)はウクライナ東部バフムトの情勢を報じていたが、その中で驚くような記事があった。ウクライナ東部を棲家にするカラスたちは近くで爆弾が炸裂しても飛び去らないというのだ。砲弾の音が市内で響き渡り、兵士たちの銃撃戦が行われている。普通の鳥たち、といっては変だが、鳥ならば1発の銃声を聞いただけでも直ぐに飛び去るのが普通だが、戦場地域バフムトに住むカラスたちは銃声や砲弾の音が炸裂したとしても、“ビジネス・アズ・ユージュアル”で、枯木に留まり続け、エサを探すことに忙しく、飛び立つカラスはほとんどいなかったのだ。シュピーゲル記者は「カラスたちは全く動かず、無反応だ」と記している。

 詳細なことはカラスの専門学者に聞かなければ分からないが、戦場のカラスたちはひょっとして鼓膜が壊れて聞こえなくなったのだろうか、それとも本当に危機が差し迫った時以外はもはや動揺しないのだろうか。鳥を含め全ての存在は経験を通じて学習するから、戦場に適応したカラスが現れてきても不思議ではない。それとも、人間たちの蛮行を目撃し、カラスたちは自暴自棄になっているのだろうか。

 欧州では人々は12月31日のシルベスター(大晦日)には大騒ぎをして新年を迎える。その日には花火が夜空に打ち上げられる。その花火の音を怖がる犬たちが少なくない。飼い主は「住宅地周辺では花火をしないで」と訴えるほどだ。犬や鳥たちは本来、音には非常に敏感だ。

 「バフムトのカラスたち」といえば「ウィーンのハトたち」を思い出した。中国発新型コロナウイルスが欧州を襲撃した直後、ウィーンでもコロナ感染防止のためにロックダウン(都市封鎖)が実施された。人間社会の「異変」に気がついたのは街のハトたちだった。

 街のハトたちは毎朝、年金生活を送る老人たちからパンくずや穀物をもらう生活に慣れてきたが、新型コロナウイルスが広がり、高齢者は感染の危険が高いため外出を控えるようになって、路上でハトたちにエサを与える人がいなくなった。その結果、街のハトたちは空腹に悩まされ、死んでいく。動物愛護グループは「街の衛生上にも良くないことだ」とし、市当局に街のハトたちのエサ場を作るべきだと主張していたほどだ。

 ハトは本来、自由に空を飛び、エサを見つけて食べるが、駅前や路上で長い間、人間が与えるエサで生きてきたハトたちにとって野生の生活に戻れ、といっても簡単ではないのだ。老人のエサを待って、人気のない道の上で腹を空かして死んでしまうハトたちが出てきたわけだ(「人間社会の『異変』に戸惑う動物たち」2020年4月2日参考)。

 最後に、「バフムトのカラスたち」のついでに「ウィーンのカラスたち」の最新情報を報告しておく。

 オーストリアの国民議会議事堂が先月12日、改築後再オープンされた。新議会の特徴は屋根のドームがガラス張りということだ。直径は28メートルで、面積は約550平方メートルだ。天井がガラス張りだから議会内は明るい。国民議会の公式サイトにはガラス張りのドームについて、「わが国の政治の透明性を象徴するものだ」とその意義が説明されている。

 ところが、オープンしたばかりの議会のドームのガラスにひびが入っていることが判明したのだ。巨額な資金を投入して建設されたオーストリア政治のシンボル、議事堂のドームのガラスを壊したのは誰か。議会関係者は犯人捜しを始めたが、幸い、犯人は直ぐに見つかった。議会建物周辺を棲家とする「ウィーンのカラスたち」が石を落としてガラスを壊したというのだ。

 ウィーンのメトロ新聞「ホイテ」は早速、「民主主義の殿堂、国民議会のドームのガラスが壊された」と大げさに騒ぎ、犯人のカラスたちを「民主主義の敵」と報じた。一方、口の悪いウィーン子は、「カラスは国会議員たちの腐敗に抗議しただけだ」と、カラスたちを庇う。ドームのガラスにひびをつけた「ウィーンのカラスたち」はこれまでもよく知られてきた。議会に駐車していた議員の高級車が石などで傷つけられたことが過去、何度かあったが、犯人はカラスたちだったからだ。

 ウクライナの戦場「バフムトのカラスたち」と音楽の都「ウィーンのカラスたち」ではその生活環境は大きく違う。どちらがカラスにとって幸せかは明らかだろう。ワルツの曲に乗って石ころ遊びしている「ウィーンのカラスたち」を「バフムトのカラスたち」はやはり羨ましいだろう。

ウクライナ支援で蘇った英国の外交

 ロシア軍のウクライナ侵攻から今月24日で1年目を迎える。ロシアのプーチン大統領は軍の再編成を終え、大規模な軍攻勢を仕掛けてくるのではないかと予想されている。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は今月8日からロシア軍侵攻以来2回目の海外訪問に出かけ、英国、フランス、欧州連合(EU)の本部ブリュッセルを次々と訪問し、軍事支援を訴えてきた。

Webaufnahme_11-2-2023_91024_www.gov.uk
▲ゼレンスキー大統領を歓迎するスーナク英首相(2023年2月8日、英首相官邸公式サイトから)

 興味深い点は、ゼレンスキー大統領が最初の欧州訪問先に英国を選んだことだ。ある意味で当然の選択ともいえる。ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、英国は欧米諸国の中で最も早く支援を実施し、キーウが願う軍事支援を迅速に応じてきたからだ。攻撃用戦車の供与が問題となった時、ドイツのショルツ首相が世界最強の戦車「レオパルト2」の供与問題で国内のコンセンサスを得るのに時間がかかった。スーナク英首相は1月14日、同国の主力戦車「チャレンジャー2」の供与をいち早く申し出ている。ショルツ首相が「レオパルト2」の供与を決定したのはそれから11日後の1月25日だ。

 軍事的観点からいえば、ウクライナ軍にとって北大西洋条約機構軍(NATO)で最も広く配備されているドイツ製「レオパルト2」が最適だったが、英国の攻撃用戦車の供与はショルツ独政権や他の同盟国に戦車供与への圧力となったことは間違いない。その意味で、ゼレンスキー大統領は欧米諸国の中で常に先頭を切って支援を実施してくれる英国に感謝しているはずだ。

 一方、EU離脱(ブレグジット、2020年1月31日以降)後、英国は厳しい経済事情、国内問題を抱えていた時、ウクライナ戦争が勃発した。ジョンソン首相(当時)はいち早くキーウを訪問し、ウクライナへの軍事支援を世界に向かってアピール。ジョンソン氏は辞職後もキーウを再度訪問し、ゼレンスキー大統領と会談している。表現は不適切かもしれないが、ウクライナ戦争はEU離脱後の英国の外交を復活させる絶好の機会となったわけだ。

 インスブルック大学の政治学者、ゲルハルト・マンゴット教授はオーストリア国営放送とのインタビューで、「英国はウクライナ戦争に深く関与することで、往年の英国の外交力を回復させようとしている」と述べている。

 英国にとって対ロシア関係は久しく険悪な関係だったこともあって、英国の外交は全面的にウクライナ支援に傾斜していった。英国で2018年3月4日、亡命中の元ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)スクリパリ大佐と娘が、英ソールズベリーで意識を失って倒れているところを発見された通称スクリパリ事件が起きた。調査の結果、毒性の強い神経剤、ロシア製の「ノビチョク」が犯行に使用されたことが判明し、英国側はロシア側の仕業と判断し、ロシア側の情報機関の蛮行に対して、強く反発してきた経緯がある。

 英国の外交にとって有利な点は、EUの盟主ドイツが第2次世界大戦時のナチス・ドイツ軍の戦争犯罪という歴史的な負い目もあって、紛争地への軍事支援が難しい事情があることだ。ショルツ首相が「レオパルト2」をウクライナに供与するかどうかで多くの時間をかけた姿が世界に流れ、「ドイツはウクライナ支援にブレーキをかけている」といったドイツ批判がメディアで報道された。

 一方、ドイツの過去の負い目を巧みに利用し、欧州外交の主導権を狙うマクロン仏大統領にとってドイツ抜きでは経済支援を含めウクライナ支援は難しい。27カ国から構成されたEU加盟国の中には、フランス主導のパフォーマンスを中心としたEU外交を良しとしない国が少なくない。慎重だが、経済力を持つドイツ抜きではEUの問題を解決できないからだ。

 ゼレンスキー大統領は8日、ロンドンでスーナク英首相と会談し、議会で演説を行った。そこで同大統領は、「ウクライナの勝利のために戦闘機の供与を」と訴えた。スーナク首相はキーウの願いに対して快諾したわけでないが、検討を約束している。

 攻撃用戦車の供与問題でもそうだったが、欧州諸国が決定するまで時間がかかることを学んだゼレンスキー大統領は攻撃用戦車の供与が決定した直後、時間を置かず素早く「次は長射程ミサイルと戦闘機の供与を」と要求した。ゼレンスキー大統領がその最初のアドバルーンを英国で上げたのは当然だった。

 EU加盟国の間では、ウクライナを支援する点でコンセンサスはできているが、ハンガリーのオルバン政権はロシアのプーチン大統領に親密感を持ち、その人脈で低価のロシア産天然ガスを獲得するなど、加盟国内で対ロシア政策、制裁では一致はしていない。

 ちなみに、マクロン仏大統領がEU首脳会議の前日の8日、欧州歴訪中のゼレンスキー大統領をパリに招き、ショルツ独首相と共に会談し夕食会まで開催したことについて、招待されなかったイタリアのメローニ首相は9日、「不適切だ」と批判している。EUの首脳陣の中には、いがみ合い、嫉妬、嫌悪といった感情が皆無ではないわけだ。

 なお、EUのフォンデアライエン欧州委員長によると、EUは過去1年でウクライナ支援に670億ユーロ(約9兆4300億円)を拠出したという。EUは9日、対ロシア追加制裁として100億ユーロ(約1兆4000億円)超相当の輸出禁止措置を盛り込むことを明らかにしたばかりだ。

 英国はEUから離脱したこともあってブリュッセルの意向に拘束されず、フリーハンドでウクライナ支援を決定できる。これは、英国がウクライナ支援でEUのドイツやフランスより一歩先行している大きな理由だ。

 ウクライナで戦争が続く限り、英国の外交はEUの外交を上回るスピードと決断力を発揮するだろう。戦争が終わり、「ウクライナの復興」問題が前面に出てきた時、ドイツを中心としたEUの外交が英国に代わって主導的な役割を果たすのではないか。
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

Recent Comments
Archives
記事検索
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ