ウィーン発 『コンフィデンシャル』

 ウィーンに居住する筆者が国連記者室から、ウィーンの街角から、国際政治にはじまって宗教、民族、日常の出来事までを思いつくままに書き送ります。

時事問題

中国人民軍「気球艦隊」が世界を偵察?

 米国、そしてカナダ上空などで発見された未確認物体を巡って、米国と中国が互いに批判合戦を展開している。米国は今月4日、米上空に現れた巨大な気球を撃墜し、回収した物の検査から「中国製偵察スパイ気球だった」と批判、それに対し、中国側は猛烈に反論し、「米国の気球も昨年、わが国の上空を不法侵入していた」と指摘するなど、米中両国は「気球」問題で再び緊迫感を増してきた。

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▲米サウスカロライナ州沖で撃墜された中国の気球を回収する米水兵(2023年2月4日、写真UPI通信)

 一方、ブリンケン米国務長官は17日から開幕するミュンヘン安全保障会議(2月17日から19日)に参加するが、中国の外交トップ、前外相の王毅・共産党政治局員も出席することから、「気球問題」発生後初の米中高官会議が開かれるのではないかという情報が流れている。

そこで以下、これまで発見され、撃墜された謎の「気球」について、情報を整理したい。

 最初に発見された気球はバス2台分の大きさで白色をしていた。バイデン米大統領は「米国の安全を脅かす危険がある」として気球の撃墜を命令し、戦闘機が2月4日、米国のサウスカロライナ州沖で撃墜した。気球は1月末に米領空に入り、北西から南東まで米国の大部分を横断、その途中、重要な軍事施設の上空を飛行していた疑いがもたれている。

 その後、3つの小さな未確認飛行物体が次々と発見された。2月10日にアラスカ州デッドホース付近で、翌日11日にはカナダのユーコン上空で、12日、ヒューロン湖上の米国とカナダの国境上空で発見され、それぞれ撃墜された。これらの3つの気球は、最初の気球よりはるかに小さいものだった。2月上旬からこれまでに、合計4つの飛行物体が北米上空で目撃され、撃墜されたことになる。

 最初の気球が中国製のものであることが明らかになって以来、米国側は「高高度に飛行する気球を発見するためにレーダーの設定を変え、気球のように移動する物体を探してきたこともあって、これまで見つからなかった多くの未確認物体が見つかった」と説明している。

 中国政府は、2月4日に撃墜された大型気球は自国の気球と認めたが、「コースを外れた民間の気象観測気球だ」と説明。それに対し、米国側は「大型気球は米国を監視目的としたスパイ気球」と指摘、中国を非難した。米国側の説明によると、「今回撃墜された気球は40カ国以上を偵察するために運営されてきた気球艦隊の一部だ」という。米国務省は3日、5日に予定されていたブリンケン国務長官の中国訪問を延期すると発表した。
 
 米国防総省の報道官、パット・ライダー将軍は3日、中国製気球は進路をコントロールできる能力(操縦可能な監視気球)を持っていると述べていたが、米海軍が撃墜した中国製気球の一部を海底から回収し、調査した結果、気球は「複数のアンテナ」を備えており、通信を収集して位置を特定できる能力を有していたことが判明したという。

 ということは、気球に生物・化学兵器などが搭載されていたならば、立派な大量破壊兵器だ。ひょっとしたら、米国とカナダ上空で発見された中国製「気球」は軍事目的で使用する最初の試みではなかったか、という疑いが出てくるわけだ。米国側の気球への反応が非常に敏感である理由だろう。

 ロイター通信は15日、米政府関係者筋として、「4日撃墜された気球の本来の軌道はグアム、ハワイ経由だったが、強い風に流されて軌道を外れた」という。

 米国防総省によれば、10日以後撃墜された3つの気球は「小さく、操縦することはできないものであった」という。だから、「何らかの種類の監視を行っていたと信じる明確な理由はない」と受け取られている。それゆえに、「2月10日以後、撃墜された3つの飛行物体は、4日に撃墜された中国製気球と明確に区別する必要がある」というわけだ(アラスカの悪天候のため、3つの小さな気球の破片はまだ未回収)。

 ちなみに、中国製気球は民間航空機の飛行高度より高いところを飛行していたが、その後撃墜された3つの未確認物体の飛行高度は約6000kmと低く、民間航空機にとって危険だった。

 軍事関係者の話によると、偵察気球は監視衛星より安価で製造できるうえ、地球の軌道に制限されることがなく、機動性があり、特定の地域を監視し、情報を収集するうえで適しているという。未発見の偵察気球が現在、どれだけ飛行しているかは不明だという。

 「偵察気球」問題は米中間を一層険悪化させている。中国は米国側のスパイ疑惑説を否定。中国外務省の汪文斌副報道局長は14日、「米国は昨年、高高度気球を十数回中国領空に不法に侵入させていた」と米国を逆に非難。中国全国人民代表大会外事委員会は16日、米下院が9日に中国気球の米上空飛行を非難する決議を採択したことに対し、反論声明を発表するなど、情報戦を展開させてきた。

 南米でも既に未確認物体(気球)が目撃されているが、「中国の気球が2020年、21年に日本の仙台市など東北地方でも目撃されていた」ということが明らかになり、日本政府は米国らと情報を交換している。また、ウクライナ空軍は16日、ロシアからキーウに侵入してきた複数の偵察気球を撃墜したという。未確認物体、気球の出現は世界の安保情勢を変える様相を見せてきている。

地震は“Acts of God”(神の業)か

 トルコのコカ保健相によると、トルコ南部で6日未明に発生したM7・8の大地震で11日現在、トルコ側で2万2327人、シリア側で3553人の死亡が確認され、負傷者は約8万5000人だ。世界から68カ国、8000人以上の救援隊が現地の救助隊と共に生存者の捜索活動を進めている。犠牲者の数は今後さらに増えると見られている。特に、内戦下にあったシリア北西部イドリブ県は反体制派の支配地域で大きな被害が出ているが、救助作業が遅れている。シリアのアサド政権は10日、トルコ大地震で甚大な被害が出たシリア国内での支援について、政府支配地域外を含む被災地に物資を提供することを認めたばかりだ。

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▲地震の被災地シャンルウルファを視察するエルドアン大統領夫妻(2023年2月11日、トルコ大統領府公式サイトから)

 トルコ大地震でこれまで100万人以上の住民が家を失い、夜は外やテントで過ごせざるを得ない状況だ。現地では夜には気温が氷点以下となる。11日現在、2000回の余震が記録されている。崩壊するビルや住居は建築当局の許可なく建設されたケースが多いというから、人災の面もあるわけだ。トルコからの情報では、違法建築の容疑で建設関係者が逮捕されたというニュースが流れている。捜査が進めば、さまざまな欠陥や原因が浮かび上がってくるだろう。

 オーストリア国営放送の夜のニュース番組で地震の様子を放送していた。画面はシリアの状況に移った。1人の男性が地べたに座って、「家族ががれきの下にいるが、救援する道具がない」と泣き声で救援隊の到着を待っていた。別の男性は、「内戦で砲丸が降る中も私たちは生き延びてきたが、今回は地震で家も家族も失った」という。男は「9人の子供のうち幸い3人は生き延びたが……」と呟き、「戦争は人間の責任だが、地震は神の業だ・」というと、それ以上言わずに、泣き出した。男性の口から「神の業だ」という言葉が飛び出した時、驚いた。敬虔なイスラム教徒なのだろう。彼の呟きからは神を糾弾するような響きは感じなかった。男は事実を呟いただけだったのだろう。

 地震は天災だ。神の行為と呼べるかもしれない。トルコ南部とシリア北西部の震源地周辺には複数のプレートが衝突している。「神の業」という言葉を聞いて、「国連の『地球近傍天体(Near Earth Objects=NEO)に関する作業会報告書』の中で、「NEOの動向は人類が完全には予測できない“Acts of God”(神の業)と呼ばれてきた」と記述されていたことを思い出した。どの惑星が将来、地球に衝突するか、人間は予測できない。その意味で、惑星の地球衝突も地震と同様、神の業といえるわけだ。

 トルコでは今年上旬に大統領選が実施される。「史上最悪の地震」とエルドアン大統領は被災地を視察して語ったが、同大統領の危機管理の欠如を批判する声が高まってきているという。今回の地震の被災地エリアには2600万人以上の国民が住んでいる。地震対策が久しく叫ばれてきたが、エルドアン大統領は何も実施してこなかった、という批判だ。

 ウクライナでは昨年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、多数のウクライナ国民が命を失い、家族を亡くし、家屋、財産を失っている。敬虔なウクライナ正教徒ならば「神よ、なぜあなたはロシア軍の蛮行を止められないのか」、「私の子供が死んだ時、あなたはどこにおられたのか」と祈りの中で神に問う人もいるだろう。ポーランドやルーマニアなどに避難してきたウクライナ人女性たちは国に残って戦っている夫や避難できなかった高齢の両親の身を案じながら涙する。ただ、戦争は天災ではなく、人災だ。ウクライナの多くの国民は戦争はロシアのプーチン大統領の仕業と受け取っている。

 人は有史以来、大地震や洪水に襲われ、家族や住居を失う度に、「なぜ」と呟いてきた。神を信じる者はその「なぜ」を神に向けてきた。貧者の救済に一生を捧げた「マザー・テレサ」と呼ばれたカトリック教会修道女テレサもそうだった。「なぜ、神はコルカタ(カラカッタ)で死に行く多くの貧者を見捨てるのか」、「なぜ、全能な神は苦しむ人々を救わないのか」等、問い掛けた(「マザー・テレサの苦悩」2007年8月28日参考)。第2次世界大戦では約600万人のユダヤ人が殺された。多くのユダヤ人は強制収容所で神に問いかけた。「われわれがアウシュヴィッツにいた時、義の神は何をしていたのか」、「なぜ我々を救ってくれないのか」という深刻な問いかけだ(「アウシュヴィッツ以降の『神』」2016年7月20日参考)。

 旧約聖書には「ヨブ記」がある。ヨブの話は当時のユダヤ人たちを驚かせた。ヨブは正しい人だったが、試練を受けたからだ。イェール大学の聖書学者、クリスティーネ・ヘイス教授は、「ユダヤ教では、神の戒めを守り、いいことをすれば神の報酬を受け、そうではない場合、神から罰せられるといった信仰観が支配的だったが、ヨブ記は悪いことをしていない人間も試練を受けることがあることを記述することで、従来のユダヤ教の信仰に大きな衝撃を与えた」と述べていた(「『神』はなぜ世界を救えないのか」2022年5月2日参考)。

 ドイツ民間放送のニュース番組で1人の地震救援隊のドイツ人が、「被災地では、涙を流していない人は1人もいない」と述べていた。人は天災でも人災でも受難した時は涙を流して生きてきた。ちなみに、地震国の日本でも被災者は涙を見せるが、「なぜ」という声を発する前に、運命として諦観する人が多いのではないか。

増え続ける「性的少数派」カテゴリー

 まず、以下の記事を読んでほしい。
 
 「公明党の北側一雄中央幹事会会長は9日の記者会見で、『婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立』するとの憲法24条の規定について、『意味があるのは両性ではなく、両性の合意に基づいてのみ(ということだ)』と指摘した。その上で『他者から強制されて婚姻は成立するわけではないとの趣旨だ。同性婚を排除する規定ではないと理解している』と述べた」

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▲ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した海王星(2022年9月21日、NASA提供)

 ここで憲法論争をするつもりもないし、当方にはその能力はない。ただ、公明党中央幹事会会長の憲法24条に対する解釈はかなり牽強付会ではないかと感じるのだ。「同性婚を排除する規定ではない」ことを主張したいための解釈、といった印象を受けるのだ。

 憲法24条を素直に読めば、やはり「憲法24条は両性の合意」という点を前提としたもので、それ以上でもそれ以下でもない。憲法24条が施行された時には、同性婚という問題は政治議題ではなかったし、同性婚を前提に憲法24条が作成されてないのは明らかだ。婚姻は当時、「両性」の間というのが社会の通念であったからだ。

 北側中央幹事会会長は「合意に基づいてのみ」の「のみ」に希望を感じ、「憲法24条の趣旨は、『両性』に重点があるのではなく、『両性の合意に基づいてのみ』というフレーズにある」と主張し、「憲法24条は同性婚を排除する規定ではない」という解釈に落ち着いたのだろう。

 社会の流れが、同性婚支持に傾いていることもあって、その流れに逆らうことは容易ではないが、同性婚の認知は一過性ではなく、後世にも大きな影響を与える。日本の伝統的な家庭像にも影響が出てくるだろう。それだけに、如何なる政党も時流に押されず、真剣に、時間をかけて検討すべきだ。政治家は党益や次期選挙のことを忘れ、一人の哲学者として「結婚とは」、「家庭の在り方とは」等々を静かに考えるべき時が必要だろう。その意味で、政治家の先生たちには「時には哲学者となれ!」とアピールしたい。

 このコラム欄でも書いたばかりだが、人間は生物学的にみて「男」と「女」の2性の存在だ。そして「男」の性の中には、男性的な要素と共に女性的な性質も内包されている。同じように、「女」の性の中にも「男性的な要素が強い女性」がいる。全ての存在は「2性」であると共に、各「性」にその2性的要素が含まれているといえるわけだ。

 ジェンダーの問題では、生物学的な「男」と「女」の2性間の問題を扱うだけではなく、セクシュアル・アイデンティティ(性的指向)とジェンダー・アイデンティティ(性自認)が含まれてきた。具体的には、ゲイやレスビアン、バイセクシュアルなどの性的少数派を意味する一方、トランスジェンダー、シスジェンダー、ジェンダーフレキシブルといった性自認が含まれている。

 いま国会で議論されている性的少数派(LGBT)差別是正法案などは、性的指向を主に扱っている問題だ。その性的指向は今日、LGBTだけではなく、50以上、多いところでは70以上のジェンダー定義があるのだ。LGBT関連法案を作成するならば、70余りの性的少数派の性的指向について明確な定義が先ず必要となるだろう。

 自分は「男」でも「女」でもないという「ノンバイナリー」の人がいる。メディアは「第3の性」と報じて話題を呼んだ。ウィーンの行政裁判所は、性別エントリーの登録の際、「男」と「女」の2性だけのエントリーは間違っているとして、「男」でも「女」でもない「第3の性」、ノンバイナリーの登録を容認している。それに先立ち、同国の憲法裁判所は2018年、「性別が男性か女性かが明確でない人々は、中央の市民登録簿と書類に登録される権利を有する」との判決を下した。

 ノンバイナリーは厳密にいえば、「第3の性」ではなく、性的指向のカテゴリーに入るものだ。すなわち、ノンバイナリーも「2性」の世界の一つの性的指向、性自認として扱うべきだろう。

 参考までに、実業家として活躍され、世界の経済界に通じられている松本徹三氏がSF小説「2022年地軸大変動」を発表されたが、その中に登場する異星人は「3性生殖の生物」というイメージで描かれている(カトリック教義のトリ二ティ=三位一体を想起させる)。ただ、「3性」の存在がどのように生殖するかは小説の中では何も言及されていない。いずれにしても、「3性」の世界は男と女の「2性」からなる世界とは全く違った世界ということになる。その意味で異星人と呼ぶ以外にないわけだ。ただ、もちろん、同性婚を支持する人々を「異星人」と呼ぶつもりはないことを断っておく。

「同性婚」議論を少し整理してみたら…

 日本の「同性婚」論議はいよいよ最終コーナーに入ってきている。岸田文雄政権下の同性愛問題に関連する問題発言がその流れをプッシュしている感じだ。ジュネーブの国連人権理事会で先月31日、「普遍的・定期的審査」(UPR)作業部会の日本人権セッションが開かれたが、そこでも加盟国から日本の同性婚の認知が遅れている、といった批判の声が聞かれた。

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▲ミケランジェロの作品「アダムの創造」(ウィキぺディアから)

 そこで「同性婚」問題について少し頭を整理したい。

 第1は人間の「性」は生物学的にみれば「男」と「女」の2性だ。1960年代に世界的に広がった<ウーマンリブ運動>は、歴史的に男性支配の世界で様々な被害を受けてきた性「女性」の解放運動だった。それに引きずられ「性」革命が時代のうねりとなっていった。フランスのシモーヌ・ド・ボーヴォワールは、「人は女性に生まれるのではなく、女になるのだ」と主張し、「第二の性」で男性主導の社会での女性差別の撤回を訴えてきた。

 女性の権利が次第に回復されてきた頃、今度は<ジェンダーフリー運動>が台頭してきた。性的少数派(LGBT)がその権利をアピールしてきた。ジェンダーの問題では、生物学的な「男」と「女」の2性間の問題を扱うだけではなく、セクシュアル・アイデンティティ(性的指向)とジェンダー・アイデンティティ(性自認)を合わせた意味合いが含まれてきた。具体的には、ゲイやレスビアン、バイセクシュアルなどの性的少数派を意味する一方、トランスジェンダー、シスジェンダー、ジェンダーフレキシブルといった性自認が含まれている。

 その結果、性的指向と性自認には様々なジェンダーが浮かび上がってきた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、2014年の段階でその性的指向と性自認のジェンダーの数は70を超えている。近い将来、その数は更に増えることが予想されている。

 ウーマンリブ運動、それに続くジェンダー運動は性差、性的指向への差別是正を目的としてきたと言えるだろう。ただ、両者は密接な関連がある。男と女の生物学的な「性」の中には、生まれた時から男性的と女性的な指向、傾向が埋め込まれているからだ。

 霊長類学の世界的第一人者、オランダ出身フランス・ドゥ・ヴァール氏(Frans de Waal)はチンパンジーの赤ちゃんを研究して明らかにしている内容だ。生まれた時から、雌のチンパンジーの赤ちゃんは女性的な仕草や行動をし、雄のチンパージーは男性的な行動を見せたというのだ。「性」の中に男と女の「2性」の性的指向が埋め込まれているというのだ(おもちゃの人形を置いておくと雌の赤ちゃんはそれを抱っこしたりしてかわいがるが、オスは壊して中をみたりする)

 問題は次だ。議論を呼んでいる同性婚問題は上記の2つの運動とは異なり、「差別撤回」を最終目標としてはいない。社会的認知だ。生物学的な「性」、それから派生する「性的指向」は基本的には男と女という「2性」の世界での問題を扱う一方、同性婚はその「2性」の枠組みを変えていこうとしているのだ。岸田首相が「同性婚は社会を大きく変える」という趣旨の発言をしたが、同性婚は社会だけではなく、人間の在り方を根本的に変える試みだ。

 神が自身の似姿として男と女を創造された、それを見て良しとされたという旧約聖書の「創世記」を読む限りでは、全ての存在は「2性」によって生存し、反応し、繁殖している。だから、同性婚が本来の姿ではないと説明することは容易だ。しかし、無神論者や聖書に関心のない人にとっては説得力のある説明とは言えない。神の助けを借りずに同性婚が間違いであると説明しない限り、同性婚支持者を説得することは難しいだろう。

 ちなみに、同性愛自体は20世紀以降見られる新しい社会現象ではなく、大昔からあった。聖書の中でも同性愛者は登場している。「同性愛者は歴史的に男と女の2性の世界の調停役を演じてきた」と主張する学者もいるほどだ。「2性」の世界にどうして「同性愛者」が存在するかを説明するための懸命な論理だ

 まず、男と女から成る「2性」の世界では、同性の婚姻は生物学的には認められない。人が鳥のように空を飛べないのは、人が空を飛べる生物ではないからだ。ローマ教皇フランシスコは「同性愛は犯罪ではないから、差別してはならない」と指摘する一方、「同性間の性的行動は認められない」とはっきりと述べている。なぜならば、人間はさまざまな性的指向を有しているとしても、それは「2性」の世界の多様性だが、同性婚は「2性」の枠組みを超える行為となるからだ。

 神の創造論では人間は男と女の「2性」から創造された。それが神の似姿というから、神も2性の存在という結論になる。そして人間が繁殖するために2性間の性的行為が行われる。一方、同性婚は繁殖できないうえ、生物的には同性間の性的行為は様々な疾患を生み出す危険性がある。すなわち、同性婚は「2性」の世界でのレッドラインを越えているのだ。人間社会はそのレッドラインを無意識にもこれまで遵守してきた。そして異性婚の「2性」の世界、社会を構築してきたわけだ。

 実際、同性婚を要求し、同性間の性的行為をする同性愛者の数は少数派に留まるだろう。大多数派は異性間の婚姻をする。同性婚を支持する左派系知識人、メディアは寛容、多様性という言葉を駆使し、同性婚をあたかも性の多様性という観点から論じているが、性的行為を含む同性婚は全く次元が異なる問題だ。大げさに表現するならば、同性婚は「2性」の調和で成り立つ宇宙の秩序に反しているのだ。これを喜ぶのは「この世の神」(悪魔)だけだろう。

オフレコ破りを容認するのか

 荒井勝喜首相秘書官は4日、LGBTなど性的少数者や同性婚を巡り「隣に住んでいたら嫌だ、見るのも嫌だ」と差別発言をしたという理由で岸田文雄首相から更迭させられた。その経緯を読んで驚いた。一つは公職の立場にある秘書官が性的少数派差別の発言をしたことだ。それだけではない。その差別発言が秘書官と記者団とのオフレコで飛び出したものだった、ということにそれ以上に驚いた。

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▲総理秘書官発言について語る岸田首相(首相官邸公式サイトから、2023年2月4日)

 誰でも自分の意見や考えを表現する権利を有している。秘書官もそうだ。同性婚やLGBTなど性的少数派の生き方に同意できないのなら、「自分は同性婚を容認できない」といっても問題はない。ただ、その際、性的少数派の心情を傷つけることは避けるべきだし、差別と受け取られるような発言は慎むべきだ。公職者はその点、特に注意しなければならない。

 任命者の首相が荒井秘書官の発言を受け、即更迭した。そこまではまだ驚かないが、ジャーナリストとして生きる当方にとってもっと驚いたことは、荒井秘書官が記者団とオフレコで話した発言を毎日新聞記者や共同通信記者が詳細に報道したという事実だ。明らかに“仁義破り”だ。オフレコ発言は記事にしてはならない、というのが本来の前提だ。オフレコだから、政治家や閣僚たちは政策決定のバックグランドや経緯を記者たちに語るのであって、語った発言が翌日の新聞に載るとすれば、そう簡単には語れないだろう。

 荒井秘書官をフォローする記者団がオフレコという約束を破り、堂々と記事にした。オフレコ破りは記事化した記者とその所属社になんらかの制裁が伴うものだ。例えば、オフレコ破りの記者は一定期間、その政治家の記者懇談会などのオフレコ発言の場には入れない。あるいはずっと忌避されるかもしれない。場合によっては所属新聞社の上司は政治家に謝罪しなければならなくなる(荒井秘書官の場合、本人が更迭されたので、事情は少し異なる)。

 にもかかわらず、荒井秘書官の場合、毎日新聞などの複数の記者たちがオフレコを破って記事化した。さらに驚くことは、岸田首相の対応だ。首相は荒井秘書官を更迭しただけで、記者や新聞社へのアクションは何もない。一件落着といった態度だ。オフレコは紳士協定に過ぎないが、政治家とメディアの信頼関係の上に成り立っている。なぜオフレコ破りの記者と新聞社に対してはっきり抗議しないのか。首相の弱腰に驚く。首相の息子の外遊問題が追及されていることもあって、メディアに対して強い姿勢が取れない、とすればあまりにも惨めだ。

 記者は記事になる情報がほしい。特に、左派的メディアにとっては政権批判できる情報がほしいわけだ。荒井秘書官のような性的少数派差別と受け取れる発言を聞けば、記事にしたくなる。岸田首相自身が1日、衆院予算委員会で、「同性婚を認知したならば、社会が変わる」と発言し、メディアから厳しく追及された直後だ。その首相秘書官の発言は絶好の情報だ。オフレコ破りによるマイナス面を考えても、記事にしようとする衝動の方が勝ったわけだ。

 しかし、今回の件で慎重な政治家は口を閉じることになるだろう。そうなれば、岸田政権の動向はますます透明性を失うことになり、国民の支持率も低下する。メディア関係者にとっても貴重な情報源を失う。両者にとってマイナスが多い。

 オフレコは政治家と記者たちの間の信頼関係で成り立っている紳士協定だ。オフレコ破りはその信頼を失わせることになる。もちろん、オフレコ自体が正しい情報入手の道かはここでは問わない。だが、オフレコが成り立っている限り、最低限、その約束事は守られるべきだろう。情報収集の道を自ら閉ざすような行為は一時的には喝采を受けても、長期的には「情報を集める」「読者に伝える」という活動の幅を狭くし、メディアにも読者にも、そして情報を発信したい政治家の側にも利益になることはない。

中国「監視気球」とドローン(無人機)

 ヘリウム入りの風船が空中に浮かび上がるシーンは映画にもよく登場した。しかし、中国製の気球が米上空で浮上しているといったニュースはそんなロマンチックな思いを吹き飛ばしてしまった。米国務省は3日、5日に予定されていたブリンケン国務長官の中国訪問を延期すると発表した。新たに摘発された中国の不法経済活動が理由ではない。米上空をいつの間にか飛んできた気球がどうやら中国製であり、米国の領土に闖入して監視、偵察していた疑いがあるからだという。

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▲中国の「監視気球」について説明する米国防総省の報道官パット・ライダー将軍(2023年2月3日、米国防総省公式サイトから)

 ブリンケン米国務長官は、「明らかに米国の主権を侵すものであり、国際法に違反している」と中国を批判している。米中首脳会談で昨年11月、両国間の緊張緩和を模索する外交的一歩として米国務長官の訪中が計画されたが、米上空1万2000kmの以上の高度で飛行する気球がそれらの外交努力を水泡に帰させてしまったのだ。

 中国側は知ってか知らずか、米国側の反応に驚きを示し、「気象状況を観測する研究用気球だ。偏西風の影響で進路が間違って米国上空に入ってしまった」と説明し、気球が米国側が指摘するような偵察用スパイ気球ではないと主張している。明らかに米国側の反応と中国側の説明には落差があるというか、認識ギャップがあるのだ。

 米国防総省の報道官、パット・ライダー将軍が3日説明したところによると、中国製気球は進路をコントロールできる能力(操縦可能な監視気球)を有しているというから、風任せで、どこに飛んでいくか分からないといった初歩的な気球ではない。ということは、気球に生物・化学兵器などが搭載されていたならば、もはや立派な大量破壊兵器だ。気球を追跡した米戦闘機が気球を撃ち落とさなかったのは「気球の破片が地上に落ちて人間に当たる危険性があった」という説明では少々説得力に乏しい。ひょっとしたら、米国とカナダ上空で発見された中国製「気球」は軍事目的を有する最初の試みではなかったか、という疑いが出てくるのだ。米国の中国製「気球」への反応が通常ではないからだ。

 気球がローテク技術で安価で大量製造ができる、といったメリットを指摘し、「気球が近未来、軍事目的で利用される」と予想する軍事専門家の意見が既にメディアで報じられているほどだ。

 米上空に姿を見せた中国製「気球」の写真を見ていると、ドローンがメディアに初めて登場した時を思い出した。ドローンが話題となった当初、人間が訪れることができない地域や場所で写真撮影し、調査できる手段としてドローン技術が紹介された。しかし、その数年後、ドローンは急速に軍事的目的で使用されるようになった。特に、ロシア軍がウクライナに侵攻して以来、ロシア側はドローンを利用し、自爆ドローンをウクライナに投入し、多くの民間人や施設が破壊されている。

 ロシア軍はウクライナ軍の攻勢に直面する一方、弾薬や砲弾不足で攻撃にも支障が出てくるなど苦戦。そこでイランから無人機を獲得し、ウクライナへ自爆無人機を飛ばして守勢をカバーしている。「ガザ」と命名されたイラン製大型無人機は監視用、戦闘用、偵察任務用と多様な目的に適し、連続飛行時間35時間、飛行距離2000km、13個の爆弾と500kg相当の偵察通信機材を運搬できるという。

 無人機は人的被害のないうえ、軍事的気球と同様、低価格で大量生産ができる利点がある。地域紛争などで今後、軍事目的でドローンが戦場を飛び回ることが十分に予想できるわけだ。

 気球が初めて浮かび上がって飛んだ時、そして無人機が地上のコントロールで自由に飛行するシーンを見て、人々は喜び、科学の発展を誇らしく感じたのを懐かしく思い出す。しかし、その時間はあまり長く続かなかった。科学技術の発展は人を幸せにする一方、不幸にもするという現実を改めて感じざるを得ないのだ。

 明確な点は、「気球」も「無人機」も科学技術の成果であって、問題視することではないことだ。問題は「気球」を製造し「無人機」を利用する人間にあるからだ。全ての存在はデュアル・ユースだ。いい目的で人類に貢献することもあり、逆に人を不幸にすることもできる。どちらを選ぶかは人間だ。人工知能(AI)の世界もそうだ。ディープラーニングするAIが近未来、よきAIと人間世界を破壊するAIとに分かれてくるだろう。

 人間は自身の中にジキル博士とハイド氏的な2面の世界を有している。矛盾を有する人間が家庭、社会、国家、世界を形成する。どうしたらその矛盾する世界を克服できるか、等々を考え、人間の生きるべき道を提示するのが本来、宗教だった。「科学」と「宗教」は対立するものではなく、相互補完する世界のはずだ。その宗教が混乱し本来の使命を果たせないなら、残念ながら人間の近未来は明るくはない。科学技術の発展で(ハイド氏の)潜在的破壊能力は益々、高まっているからだ。

 いずれにしても、良き人間になる……このシンプルなテーゼは有史以来、人間が願いながら、今なお解決できない問題として留まっている(「『戒め』はいつ、誰から始まったか」2022年5月23日参考)。

環境保護運動「最後の世代」の台頭

 スウェ―デンの環境保護活動家グレタ・トゥーンベリさんが始めた運動「フライデーズ・フォー・フューチャー」は世界的な運動となり、金曜日には環境保護を訴えて抗議デモ集会が世界各地で開催されてきた。ところが、昨年後半に入ると、「グレタさんの運動では何も変わらない」として、ドイツやオーストリアで「Letzte Generation」(ラスト・ジェネレーション、最後の世代)が生まれてきた。彼らは交通道路に座り込み、手を接着剤で道路にくっつけて通行をボイコット、美術館の絵画にペンキをまき散らすなどの過激な行動を行ってきた。

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▲道路を封鎖する環境保護活動グループ「最後の世代」(2023年1月13日、オーストリア通信(APA)のトビアス・シュタインマウアー氏撮影)

 英国では「芸術が重要か、生命か」と叫び、美術館で絵画にペンキをかける環境保護活動家がいたが、ウイーンの博物館で恐竜の展示場で接着剤で手を固定して抗議、「われわれもこのままでは恐竜のように死滅していく」とアピール。同じように、美術館で有名な絵画にペンキをかけて抗議のデモンストレーション。ただし、活動家はペンキをかける場合はガラスで保存されていた絵画を選ぶ。歴史的で貴重な絵画が破損すればそれこそ大変だからだ。

 ウィーンで朝の出勤時に主要な市内の道路に「最後の世代」の活動家が突然出現し、路上に座り、接着剤で手を道に固定して動かなくする。警察官が活動家を排除しようとしても動かないので接着剤を切り離して運ばなければならない。活動家たちは「気候と未来を保護すべき連邦政府は完全に失敗している」と批判し、アウトバーンで 速度100km/h制限などを要求する。

 環境保護活動家たちの活動に対して国内で賛否両論がある。「環境保護という目的は良くても、公共秩序を乱し、多くの人々に迷惑をかける活動は許されない」という声はやはり多い。朝のラッシュアワーで路上で環境保護を訴えるプラカードを掲げて動かない活動家に対し、1人の男性が車から降りてきて、「お前たちは何をしているのか。われわれは仕事に行くのだ」と叫び、足で活動家を蹴っ飛ばすといったシーンがニュースで放映された。環境破壊などは存在しないと日ごろ主張してきた極右政党「自由党」のウィーン市のドミニク・ネップ党首は、「道路を封鎖して動かないのならば、彼らに向かって放尿したらいい」と爆弾発言し、これまた議論を呼んだ。

 ウィーンでは9日から13日の5日間で同グループの活動家たち51人が拘束された。集会法と道路交通規則、そして一部は治安警察法に基づいての対応だ。グループによると、過去1週間の活動で約1万ユーロの献金が集まったという。彼らは、「私たちは仕事に行かなければならない人々を妨害したくはない。ただ、文明が危機に瀕していることを理解してほしい。私たちは止められません」と訴えている。

 ちなみに、オーストリアのネハンマー連立政権に加わる環境保護政党「緑の党」のヴェルナー・コグラー党首(副首相)とレオノーレ・ゲウェスラー環境相は「最後の世代」の活動目標には共感を持つ一方、抗議のやり方には懸念を有している。

 独週刊誌シュピーゲル最新号(1月7日号)はドイツの「最後の世代」創設者の1人、ヘンニック・イェシュケ氏(22)とインタビューしていた。見出しは「われわれは今、政治的危機を生み出さなければならない」。イェシュケ氏は、「政府は環境保護を明記している憲法(ドイツの場合基本法)に違反している」と指摘、「平和的な革命を行うことが願いだ」という。

 ただし、ドイツでは昨年クリスマスの時、環境保護活動家たちは不法な犯罪行為の疑いで家宅捜査を受けている。同氏によると、ドイツの「最後の世代」は50カ所の拠点を有している。ベルリンで過去、500人が警察によって一時拘束されたし、2000人弱のメンバーが不法活動をしたとして訴えられている。同氏は、「自分のような完全な献身的活動家は約80人だ」という。

 ここ数年、コロナ・パンデミック、そしてウクライナ戦争と大きな問題が生じ、環境保護運動がその陰に隠れてしまった感があった。グレタさんの「フライデーズ・フォー・フューチャー」では2019年9月、100万人以上が路上で抗議デモをした。それを受け、世界各国で環境保護協定などが施行されてきた。ただ、エジプトのシャルム・エル・シェイクで昨年11月6日から開催された国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)をみても分かるように、関係国間の利害の対立があって環境保護の進展は遅々たるものだ。それを見て「これでは何も改善されない」という危機感が環境保護グループの間に生まれ、「最後の世代」のようなメディア受けする過激な行動を展開するグループが出てきたのだろう。ただ、道路封鎖や美術館の絵画にペンキをまき散らす行動に対しては大多数の人々は批判的だ。

いま見過ごせない「ニュース」

 インターネット時代、無数の情報が世界を行き来している。情報量があまりにも多いので時には重要なニュースが見落とされる、という事態が生じる。以下、3件の情報を報告する。いずれも今後の展開に重要な影響を与える内容だ。

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▲ドイツ経済省の極秘の「対中国戦略」を報じるニュースポータル「ザ・パイオニア」から(2022年12月1日)

々沼民元中国国家主席の「法輪功弾圧」

 中国の江沢民元国家主席が先月30日、白血病と多臓器不全で上海で亡くなった。96歳だった。江氏は天安門事件後、13年間、中国共産党のトップに君臨し、中国の経済成長を促進させ、世界第2の今日の経済大国の土台を築いた。

 第20回共産党大会で3期目の任期を得て「一強」の独裁体制を構築してきた習近平現主席と比較して、江沢民時代を懐かしむ声が一部で聞かれるが、中国第5代目国家主席「江沢民」(在職1993年3月〜2003年3月)という名前を聞けば、やはり法輪功メンバーへの過酷な弾圧を想起せざるを得ない。

 江沢民氏は上海市長、上海市党書記などを経て、1989年6月4日の天安門事件の後、小平の推挙により、失脚した趙紫陽に代わって党総書記および中央政治局常務委員に就く。97年に小平が死去。後ろ盾を失った江沢民は以後、自身を支える政治集団「江沢民派」(上海閥)を構築して独裁政治を続けていった。

 1990年代後半に入ると、李洪志氏が創設した中国伝統修練法の気功集団「法輪功」の会員が中国国内で急増し、1999年の段階で1億人を超え、その数は共産党員数を上回っていった。法輪功は宗教ではない。心と体のバランスを維持する上で役立つ修練法だ。貧しい国民だけではない。共産党幹部たちも法輪功に惹かれ、トレーニングする者が出てきた。それに危機感をもった江主席は1999年、法輪功を壊滅させる目的で「610弁公室」を創設した。法輪功メンバーの取締りを目的とした専門機関で、江氏の鶴の一声で設置された組織だ。「610弁公室」は旧ソ連時代のKGB(国家保安委員会)のような組織だ(「中国の610公室」2006年12月19日参考)。

 中国当局は拘束した法輪功メンバーから生きたままで臓器を取り出し、それを業者を通じて売買してきた。2000年から08年の間で法輪功メンバー約6万人が臓器を摘出された後、放りされて死去したというデータがある。

 中国の不法臓器摘出の実態を報告したカナダ元国会議員のデビッド・キルガ―氏は、「臓器摘出は中国で大きなビジネスだ。政府関係者はそれに関与している。法輪功メンバーの家族が遺体を引き取った際、遺体には腎臓などの臓器が欠けていたという証言がある」と報じている。法輪功メンバーにとって「江沢民」という名前は悪魔を意味するわけだ(「江沢民『何故まだ生きているのか』」2022年7月25日参考)。


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 ウクライナで撃墜されたイラン製無人偵察機から収集された情報によると、UAV(Unmanned aerial vehicle=無人航空機) のほとんどの部品が米国、ヨーロッパ、およびその他の同盟国の企業によって製造されているという。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、この情報はウクライナ国営通信社「ウクリンフォルム」による。

 同報告によると、「ウクライナで撃墜されたイランの無人偵察機のコンポーネントの4分の3は米国製と推定していることから、西側の当局者やアナリストの間で懸念を引き起こし、米国政府の調査を促している」という。ウクライナの捜査官の説明によると、この調査結果は、ウクライナ軍がイランの Mohajer-6 無人機を含む数機の無人機を撃墜した後に行われたものだ。

 なお、ロシアのプーチン大統領はイランから無人機を購入してウクライナ戦に投入している。


ドイツ経済省の「対中国戦略」

 ドイツのロバート・ハベック経済相は、ドイツ企業の中国ビジネスを今後詳細に調査する意向だ。ニュースポータル「ザ・パイオニア」が1日報じたもので、経済省で作成された極秘の「中国戦略」がその土台となっているという。

 経済省の文書によると、中国が遅くとも2027年までに台湾を併合すると想定している。これは人民解放軍の創設100年にあたる年だ。中国との経済的な結びつきを考えると、ドイツは北京からさまざまな脅迫を受ける状況に置かれると予想されている。

 ポータルによると、100ページに及ぶ同戦略文書についてはショルツ3党連立政権(社会民主党、「緑の党」、自由民主党)内でまだ審議されていないが、ハベック経済相は先月29日、経済省幹部会でそれを受け入れ、対策の迅速な実施を約束したという。例えば、中国市場で事業を大きく展開しているドイツ企業には事業内容の報告義務を導入する計画だ。要するに、ドイツ経済の中国依存を縮小する狙いがある一方、中国市場に代わってアジア、南米、アフリカなどへの経済活動の活発化を促している。

 ドイツ連邦政府は11月9日、中国系企業によるドイツの半導体関連企業の買収を不許可とする閣議決定を行った。ドイツの「エルモス・セミコンダクター」の西部ドルトムントにある半導体工場をサイレックス・マイクロシステムズが買収する投資計画について、サイレックス・マイクロシステムズはスウェーデンの同業の半導体メーカーだが、親会社は中国の賽微電子(サイ・マイクロエレクトロニクス)だ。

 それに先立ち、ショルツ連立政権は10月26日、ドイツ最大の港、ハンブルク湾港の4つあるターミナルの一つの株式を中国国有海運大手「中国遠洋運輸(COSCO)」が取得する問題で、ショルツ首相は中国側の株式35%取得を25%未満に縮小し、人事権などを渡さないという条件を提示し、ハベック経済相(兼副首相)やリントナー財務相らを説得、閣議決定した経緯がある。中国企業がハンブルグ港への出資を増やすことを認めたというニュースは欧米では懸念を誘発させた。なお、ドイツのオラフ・ショルツ首相(社民党)は11月初め、就任後初の中国公式訪問をし、ドイツと中国間の経済関係の強化などで一致している(「独首相訪中はタイムリーだったか」2022年11月5日参考)。

「デモ」し「ストライキ」する人々

 このような表現は適切ではないが、オーストリアで28日、鉄道労働者が久しぶりに24時間ストライキを行った。通勤する人や学生たちは鉄道がストのために出勤が遅れたり、他の交通機関に乗り換えるなど、朝から対応に追われた。

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▲24時間警告ストライキ中のウィーン中央駅風景(2022年11月28日、オーストリア国営放送公式サイトから)

 鉄道労組は高騰するインフレ率(10月は約11%)に見合う賃上げを要求、連邦鉄道(OBB)側は「労組の要求は余りにも非現実的だ」と一蹴、双方の交渉は時間切れとなって、労組はスト入りを決めたわけだ。
 
 鉄道のストに対し、国民からは「出勤で困るが、労働者の要求は分かる」という声が多い。エネルギー危機、物価の高騰でどの世帯も年末を控え、家計のやりくりで苦しんでいる。鉄道労働者のスト入りに対し国民はおおむね理解を示している。

 ところで、中国政府の「ゼロコロナ政策」に抗議するデモが行われているというニュースが入ってきた。厳しいコロナ規制下にある中国の国民は北京や上海など都市部で「ゼロコロナ」政策を批判し、「習近平(国家主席)打倒」といった声すら聞こえてくるという。中国で政府を批判すれば即拘束されるなか、多くの国民は治安当局の取り締りを恐れず路上に出て抗議デモをする、ということは通常ではない。それだけ、多くの中国国民が我慢ができなくなってきているということだ。コロナ感染が始まってすでに3年目に入っているにもかかわらず、中国で依然、厳しいコロナ規制、ロックダウン(都市閉鎖)が実施されている。デモ参加者は「PCR検査はもうたくさんだ。われわれに自由を与えよ」と訴えている。

 このコラム欄で、なぜ中国共産党政権は経済発展のブレーキとなるロックダウンなどを実施、「ゼロコロナ」政策に拘るのかについて書いたが、第20回中国共産党大会で3期目の任期を獲得した習近平主席はゼロコロナ政策の緩和に乗り出す姿勢は見せていない。

 「ゼロコロナ」政策は単に感染症対策というより、政治的な思惑とともに、新型コロナウイルスの発生問題で北京当局は何か隠ぺいしているのではないか、といった憶測すら沸いてくる。いずれにしても、中国のゼロコロナ政策はサプライチェーンを混乱させ、世界の経済発展にも大きな影響を与えている(「中国『ゼロコロナ』は何を意味するか」2022年10月16日参考)。

 抗議デモはイランでも行われている。「女性の権利」を含む人権の蹂躙に怒る国民がイラン各地でイスラム教聖職者の支配体制の打倒を求める抗議デモを展開。それに対し、治安当局は抗議デモ参加者に向け発砲、国際人権グループの発表によると、既に300人以上が射殺されたという。ジュネーブの国連人権理事会はイラン当局の人権弾圧を批判する決議を採択するなど、イランに対する国際社会の批判は高まってきている。

 抗議デモの発端は、22歳のクルド系女性アミニさんが9月13日、宗教警察官に頭のスカーフから髪がはみだしているとしてイスラム教の服装規則違反で逮捕され、警察署に連行され、尋問中に突然意識を失い病院に運ばれたが、同16日に死亡が確認されたことだ。同事件が報じられると、イラン全土で女性の抗議デモが広がっていった。

 女性の権利の回復から始まった抗議デモはイスラム聖職者支配体制の打倒を求める政治運動に展開、治安関係者は強権を駆使して取り締まりに乗り出しているが、抗議デモはイラン全土に拡大し、沈静化する気配は見られない。

 最高指導者ハメネイ師は、「抗議デモの背後には米国、イスラエル、そして海外居住の反体制派イラン人グループが暗躍している」と指摘、国民の要求に譲歩する姿勢を見せていない(「イランで治安部隊が抗議デモに発砲」2022年11月22日参考)。

 一方、ウクライナに軍を侵攻させたロシアではプーチン大統領が部分的動員令を発令した直後、戦争反対のデモがロシア各地で行われたが、治安当局によって直ぐに鎮圧された。プーチン大統領はロシア軍の不甲斐なさに苛立ちながら、国内の反プーチン勢力の動向には鋭い監視の目を向けている。プーチン大統領の政敵、ロシアの反体制派活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏は刑務所に収監中であり、著名な反体制派活動家レオニッド・ヴォルコフ氏や作家のドミトリー・グルホフスキー氏は海外に亡命した(「モスクワ版『1984年』の流刑地」2021年3月28日参考)。

 プーチン氏はウクライナ戦争の実態が国民に伝わらないように情報を統制してきたが、戦死する兵士が増え、もはや情報を管理できないことから、息子を戦死させた母親を招待して慰労するなど、ソフトとハードの両作戦を駆使して人心の掌握に乗り出している。プーチン氏が自身の戦争に国民の支持をどこまで維持できるかは不明だ。ダムが決壊したら、大量の水が一挙に流れ出すように、「プーチンの戦争」を快く思わない政治家、国民が結集し、反プーチンデモが行われるのは、そう遠くのことではないかもしれない。

 12月を控え、気温は下がってきた。オーストリアを含む西側の国では物価の高騰、エネルギー危機による生活苦を訴えた抗議デモやストライキが行われている。一方、中国、イラン、そしてロシアでは反政府デモが行われてきた。「沈黙は金」の時代は過ぎ去り、人々は路上に飛び出して声高らかに叫び出す。ただ、中国、ロシア、イランでは抗議デモは依然、命がけであり、デモ参加者は高い代価を払うことにもなる。

外務省が在留邦人を見捨てる時

 少々の事では驚かなくなったが、このニュースを聞いた時、「そんな事を言っていいのか」とビックリするとともに、もし本当ならば大変なことだ、と考えざるを得なかった。

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▲中学3年生の国語の授業風景(世界平和女性連合発行「国際奉仕プロジェクト海外ボランティア活動隔年報告書」2015年〜16年」から)

 モザンビークで現地の子供たちの教育育成のために20年以上献身的に歩んできた日本人女性、宝山晶子さんに授与した外務省表彰を取り消すと外務省が決定し、現地の日本大使館が外務省の公文を持参して宝山さんに伝達、「表彰状の取り消しと、表彰の際に授与した副賞の風呂敷の返還を直々に要求した」というのだ。

 当方は日本の外交官を評価してきたが、「外務省がいつから日本共産党支持になったのか」と考えざるを得なくなった。宝山さんの外務省表彰の撤回が伝わると、日本共産党機関紙「赤旗」は1面で「わが党の要求が受け入れられた」と狂喜したという。共産党が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその関連団体を憎悪し、事あるごとに批判してきたことは周知の事実だ。宝山さんの外務省表彰に最初にイチャモンを付けたのは共産党議員だった。メディアの旧統一教会バッシングを受け、共産党は宝山さんの外務省表彰にも批判の矛先を伸ばしてきたわけだ。

 共産党の旧統一教会嫌いは今に始まったことではないから、さもあらんと思うだけで、驚くには値しない。問題は、日本外務省がその共産党の主張を受け入れ、表彰の破棄を決めたことだ。いずれにしても、外務省は宝山さんのモザンビークでの献身的な活動を高く評価していたことは間違いない。それが国内の旧統一教会バッシングに押され、宝山さんが旧統一教会関連団体の世界平和女性連合から派遣されたということから、「外務省表彰を撤回すべきだ」という圧力を受け、外務省は今回、撤回を決めたわけだ。

 外務省は表彰撤回の理由として、「反社会的な活動で知られている団体から派遣された人物」、「学校ではその団体の教えを広めていた」等々を挙げている。旧統一教会は反社会的グループではない。日本では反社会的グループは暴力団体を指す。旧統一教会とその関連団体は反社会的という枠中に入らない。「団体の教えを学校で広めていた」という批判にしても、世界的に奉仕活動をしているカトリック教系カリタスなどはキリスト教の教えを実践しながら、イエスの教えを伝えている。何も特別なことではない。奉仕活動には宗教的な精神がその支えとなっていることが多い。カトリック教会や旧統一教会だけではない。外務省関係者の宗教に対する認識不足が問題だ。奉仕活動に宗教的要素を完全に排除することは出来ないし、排除する必要性などない。

 ここまでは、先述した「驚いた」ことではない。問題は、表彰撤回を伝達した外務省公文を持参した在モザンビークの日本大使はベイラにあるカフェで宝山さんと会い、「今後、大使館と連絡することも控えてほしい」と言ったという。この発言こそ驚きに値する、というより、事実とすればスキャンダルだ。

 海外に赴任する日本外交官は現地での日本の国益を守る一方、現地の在留邦人の安全保護がその職務だ。その外交官が「もう大使館と連絡することを控えるように」と言ったとすれば、在留邦人の安全問題への外交官の職務放棄を意味する。クーデターや革命が起きたとしても、外務省はもはや在留日本人の安全について保障しないということにもなるわけだ。

 もう少し、大使の言動を厳密にいえば、反社会的グループに所属する在留日本人は外務省の安全保障の対象とはならない、という意味にも受け取れる。旧統一教会の場合、反社会的グループではない。共産党や左派メディアがそう主張しているだけだ。にもかかわらず、外務省が旧統一教会とそれに関連する団体に所属する在留邦人に対してはもはや通常の在留邦人のようには扱わない、と解釈できるわけだ。

 明かに国連の人権憲章に違反している。外務省関係者ならばそのようなことはご存じだろう。ただ、左派メディアに押されて、そのバッシングに加担しているわけだ。魔女狩りに外務省が乗っているのだ。

 ウィーン市7区にあるミュージアム・クオーター(MQ)で2019年9月26日から「オーストリア・日本国交樹立150周年」を記念したイベントの一環として、日本の現代芸術展「Japan Unlimited」(ジャパン・アンリミテッド)が開催されたことがあった。同芸術展に展示された作品は日本を明らかに中傷、誹謗する内容だった。同イベントを支援してきた駐オーストリアの日本大使館は急遽共催を中止せざるを得なくなった。在ウィーンの日本大使館は事前に反日芸術展であることを調査していなかったのだ。一方、在ウィーン日本大使館の公使はウィーン市内のレストランで接待が終わると、日本酒のボトルをわざわざ注文して家に持ち帰るなど公費の乱用が明かになったり、在ザグレブの日本大使はセクハラが発覚して帰国を命じられるなど、海外駐在中の日本外交官の不祥事がこれまでも絶えなかった。

 モザンビークの日本大使館の言動は、外交官として職務放棄を意味するだけに、深刻な問題を含んでいる。世界で活動する旧統一教会関連団体の日本人は自身の安全問題でもはや日本大使館から如何なる支援も保護も期待できなくなる、というわけだ。繰り返すが、日本外務省は人権蹂躙を犯しているのだ。自己の地位の保全を重視し、担当地に住む邦人の安全を軽視することになるからだ。日本では旧統一教会へのバッシングは左派系メディアだけではなく、外務省まで広がってきている。
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