大阪市で主要20カ国・地域の首脳会談(G20サミット)が28日午前(現地時間)、開幕した。欧州のメディアの関心はもっぱらトランプ米大統領と中国の習近平国家主席の2大経済大国間の貿易戦争の行方に注がれている。オーストリアのメディアは、「実質はG20ではなくG2だ。他の18カ国はそのサミット会議を盛り上げるための書割的役割を演じるだけだ」と報じていた。
▲大阪のG20首脳会談に参加した韓国・文在寅大統領(韓国大統領府公式サイトから)
当方はウィーンの地から大阪G20サミット会議の行方を追っている。当方が注目していたのは、首脳会談の記念写真撮影前後のホスト国・安倍晋三首相とゲスト国・韓国文在寅大統領との接触時だ。時事通信も聯合ニュースも日韓首脳の挨拶の瞬間の写真を配信していた。その絵解きは「両首脳は互いに目を合わさず」というのだ。トルコのエルドアン大統領やフランスのマクロン大統領との挨拶では笑顔であいさつした安倍首相も文大統領との時には笑顔は消え、握手しただけで終わった。
安倍首相の立場も理解できる。文大統領政権に入って、韓国はこれでもかこれでもかと日本批判を繰り返し、海外には慰安婦像を輸出し、日本は過去多くの犯罪を犯した国であるとアピールしてきた。文大統領はその反日政策の張本人だ。その人物と笑顔で握手することは如何に寛大な心の持ち主の安倍首相であっても容易ではないだろう。笑顔を見せれば、反日批判で傷ついてきた多くの日本国民を傷つけることになる一方、日本を批判しても反撃や報復はないと高を括っている韓国人を一層増長させることになる。安倍首相は、「日本国民は怒っている」というメッセージを反日政策の主人公、文大統領に伝えるために笑顔を殺すだけではなく、厳しい表情で握手したのだろう。
文大統領が空軍機で大阪に乗り込んだとき、雨が強かった。機内から出た文大統領夫妻は「屋根なしのタラップ」から傘を差しながら降りてきた。韓国の中央日報日本語版は早速「なぜホスト側の日本は屋根付きのタラップを準備しなかったのか」という声を報じ、「日本の韓国冷遇」を紹介していた。
幸い、韓国大統領府報道官は、「空港到着時、開放型タラップを設置したのは写真取材の便宜などを考慮した韓国側の選択だ。雨に少々打たれても、歓迎に出てきてくれた方々に礼を尽くすためのものだった」(中央日報)と説明し、韓国冷遇説を一蹴していた。
大阪サミット会議では安倍首相と文大統領の日韓首脳会談は開催されないという。韓国側は最後まで安倍首相との首脳会談開催を願ってきたが、日本側からは「日程上で難しい」という返答だったという。韓国側は「最後まで可能性を探る」と述べていたことから、突撃インタビューではないが、ひょっとしたら非公式だが、偶然会談が実現できるかもしれない。
韓国側にとって数少ない朗報はトランプ米大統領が大阪サミット会議後、29日、30日に訪韓し、文大統領と米韓首脳会談を開くことになったことだ。外交筋では「韓国大統領府からの強い要請を受け、トランプ大統領は訪韓を受け入れた」という。
文大統領は就任以来、南北融和路線を推し進め、日本に対しては「積弊清算」を掲げ、反日路線を突っ走って来た。その結果、4回の南北首脳会談を実現し、北朝鮮の金正恩労働党委員長の“広報官”と呼ばれるほどになったが、文大統領の北欧訪問時での演説内容について、北側からかなり厳しいクレームが報じられた。
聯合ニュースによると、北の対外宣伝インターネットメディア「メアリ」は28日、「今は恩着せがましい振る舞いや不穏当なたわごとではなく、南北関係の膠着局面を打開するための実践的な行動が必要な時」とし、文大統領の北欧訪問時での発言を批判している。
文大統領は報道記事を読んだだろうか。平昌冬季五輪大会で北側を支援し、トランプ大統領との米朝会談実現を“陰で支援した”のに、という思いが文氏に出てくるかもしれない。
文大統領は大阪首脳会談のホスト国日本から冷遇され、南北融和路線の相手、北側からは「黙れ」と批判されるなど、逆風に直面している。ただし、文大統領は現状の窮地を誰のせいにもできないだろう。日本から厳しい目線で迎えられる原因の種をまいたのは本人であり、金正恩氏の広報官に就任したのも自身が選択した道だ。残る希望はトランプ大統領の訪韓だろう。2020年の選挙戦を控えるトランプ大統領から朝鮮半島の非核化の労を評価され、慰めの言葉を受けるかもしれない。金正恩氏を友人と評価できるトランプ氏だ。その金正恩氏の広報官に慰めの言葉の一つぐらい飛び出すかもしれない。
いずれにしても、日韓両国指導者が互いに目を向けあい、朝鮮半島の将来について協議できないということは、アジアの未来にとってもマイナスであることは間違いないだろう。特に、文大統領には考えて頂きたい。大阪のG20サミット会議は文氏にとって大統領就任2年余りの反日政策の結果と向かい合っている、ということを。
ひょっとしたら、文大統領は「大阪」といえば金正恩委員長の実母・高英姫(故人)、あるいは自ら断罪した元大統領・李命博の出身地を最初に思い浮かべるかもしれないが、大阪には多くの在日韓国人が住んでいる。彼らは日韓関係の改善を心から願っている。そのことを忘れないでほしい。
▲大阪のG20首脳会談に参加した韓国・文在寅大統領(韓国大統領府公式サイトから)
当方はウィーンの地から大阪G20サミット会議の行方を追っている。当方が注目していたのは、首脳会談の記念写真撮影前後のホスト国・安倍晋三首相とゲスト国・韓国文在寅大統領との接触時だ。時事通信も聯合ニュースも日韓首脳の挨拶の瞬間の写真を配信していた。その絵解きは「両首脳は互いに目を合わさず」というのだ。トルコのエルドアン大統領やフランスのマクロン大統領との挨拶では笑顔であいさつした安倍首相も文大統領との時には笑顔は消え、握手しただけで終わった。
安倍首相の立場も理解できる。文大統領政権に入って、韓国はこれでもかこれでもかと日本批判を繰り返し、海外には慰安婦像を輸出し、日本は過去多くの犯罪を犯した国であるとアピールしてきた。文大統領はその反日政策の張本人だ。その人物と笑顔で握手することは如何に寛大な心の持ち主の安倍首相であっても容易ではないだろう。笑顔を見せれば、反日批判で傷ついてきた多くの日本国民を傷つけることになる一方、日本を批判しても反撃や報復はないと高を括っている韓国人を一層増長させることになる。安倍首相は、「日本国民は怒っている」というメッセージを反日政策の主人公、文大統領に伝えるために笑顔を殺すだけではなく、厳しい表情で握手したのだろう。
文大統領が空軍機で大阪に乗り込んだとき、雨が強かった。機内から出た文大統領夫妻は「屋根なしのタラップ」から傘を差しながら降りてきた。韓国の中央日報日本語版は早速「なぜホスト側の日本は屋根付きのタラップを準備しなかったのか」という声を報じ、「日本の韓国冷遇」を紹介していた。
幸い、韓国大統領府報道官は、「空港到着時、開放型タラップを設置したのは写真取材の便宜などを考慮した韓国側の選択だ。雨に少々打たれても、歓迎に出てきてくれた方々に礼を尽くすためのものだった」(中央日報)と説明し、韓国冷遇説を一蹴していた。
大阪サミット会議では安倍首相と文大統領の日韓首脳会談は開催されないという。韓国側は最後まで安倍首相との首脳会談開催を願ってきたが、日本側からは「日程上で難しい」という返答だったという。韓国側は「最後まで可能性を探る」と述べていたことから、突撃インタビューではないが、ひょっとしたら非公式だが、偶然会談が実現できるかもしれない。
韓国側にとって数少ない朗報はトランプ米大統領が大阪サミット会議後、29日、30日に訪韓し、文大統領と米韓首脳会談を開くことになったことだ。外交筋では「韓国大統領府からの強い要請を受け、トランプ大統領は訪韓を受け入れた」という。
文大統領は就任以来、南北融和路線を推し進め、日本に対しては「積弊清算」を掲げ、反日路線を突っ走って来た。その結果、4回の南北首脳会談を実現し、北朝鮮の金正恩労働党委員長の“広報官”と呼ばれるほどになったが、文大統領の北欧訪問時での演説内容について、北側からかなり厳しいクレームが報じられた。
聯合ニュースによると、北の対外宣伝インターネットメディア「メアリ」は28日、「今は恩着せがましい振る舞いや不穏当なたわごとではなく、南北関係の膠着局面を打開するための実践的な行動が必要な時」とし、文大統領の北欧訪問時での発言を批判している。
文大統領は報道記事を読んだだろうか。平昌冬季五輪大会で北側を支援し、トランプ大統領との米朝会談実現を“陰で支援した”のに、という思いが文氏に出てくるかもしれない。
文大統領は大阪首脳会談のホスト国日本から冷遇され、南北融和路線の相手、北側からは「黙れ」と批判されるなど、逆風に直面している。ただし、文大統領は現状の窮地を誰のせいにもできないだろう。日本から厳しい目線で迎えられる原因の種をまいたのは本人であり、金正恩氏の広報官に就任したのも自身が選択した道だ。残る希望はトランプ大統領の訪韓だろう。2020年の選挙戦を控えるトランプ大統領から朝鮮半島の非核化の労を評価され、慰めの言葉を受けるかもしれない。金正恩氏を友人と評価できるトランプ氏だ。その金正恩氏の広報官に慰めの言葉の一つぐらい飛び出すかもしれない。
いずれにしても、日韓両国指導者が互いに目を向けあい、朝鮮半島の将来について協議できないということは、アジアの未来にとってもマイナスであることは間違いないだろう。特に、文大統領には考えて頂きたい。大阪のG20サミット会議は文氏にとって大統領就任2年余りの反日政策の結果と向かい合っている、ということを。
ひょっとしたら、文大統領は「大阪」といえば金正恩委員長の実母・高英姫(故人)、あるいは自ら断罪した元大統領・李命博の出身地を最初に思い浮かべるかもしれないが、大阪には多くの在日韓国人が住んでいる。彼らは日韓関係の改善を心から願っている。そのことを忘れないでほしい。