ブルガリア議会選挙(定数240)の投開票が26日実施され、与党第1党でボリソフ前首相が率いる「ブルガリアの欧州における発展のための市民」(GERB)が約32・6%の得票率を獲得し第1党を堅持。政権奪回を目指したブルガリア社会党(BSP)は約26・8%で第2党に留まった。

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▲前倒し選挙で第1党を堅持したGERBのボリソフ党首(GERBの公式サイトから)

 GERB党首のボリソフ前首相は第1回開票結果直後、「選挙結果は我々の政策を勇気づける」と勝利宣言する一方、「次期連合政権の発足に向けて迅速に取り掛かりたい」と述べた。ボリソフ党首(57)は2009年から13年、14年から16年11月まで政権を担当してきた。選挙結果を受け、ボリソフ党首は第3次政権を発足するが、社会党は大連立を拒否しており、連立工作は難航すると予想されている。

 ソフィアの中央選挙委員会が公表した暫定結果(約90%集計段階)によると、GERBと社会党の2大政党の他、議席獲得できる得票率4%のハードルを越えた政党は、愛国者同盟が約9・2%、トルコ系政党DPS約8・9%、そして新党の「Wolji」約4・11%の3党だった。

 昨年11月の大統領選で野党社会党候補者のルメン・ラデフ氏が勝利したことを受け、中道右派政権のボリソフ政権はGERB候補者の敗北責任をとって総辞職。ラデフ新大統領が今年1月就任し、前倒し選挙の実施となった経緯がある。

 過去4年間で3度目の総選挙となった今回、欧州連合(EU)協調路線のGERBとロシア寄りの社会党の路線対立が争点だったが、ボリソフ党首のGERBが第1党を確保したことで、同国のEU路線は継続される見通しだ。社会党はEUの対ロシア経済制裁の早期撤回、ロシアとの協力強化をアピールしてきた。

 ちなみに、ブルガリアにとってロシアとの経済関係は重要。国民経済の3分1はロシア実業家が握っている。エネルギー供給にいたっては95%はロシアからの原油、天然ガスに依存している。ラデフ新大統領は親ロシアで対ロシア制裁の撤廃を主張してきた。次期政権を担当するボリソフ党首は対ロシア政策では実務主義的立場で対応している。

 なお、選挙戦では国内の少数民族、トルコ系住民に対するトルコ側の選挙干渉やモスクワからの内部干渉が大きな問題となった。ブルガリアにはブルガリア系トルコ人(2重国籍者)が約30万人、そしてトルコ系住民約70万人が住んでいる。後者はトルコの与党「公正発展党」(AKP)、エルドアン大統領支持派が多い。

 ブルガリア政府は先週、駐トルコの自国大使を呼び戻す一方、駐ソフィアのトルコ大使を呼び、選挙に対する内部干渉を止めるように強く要請している。一方、ブルガリア国内の民族主義者たちが対トルコ国境を閉鎖するなど、関係を悪化させた。

 ブルガリアは来年上半期、EU理事会議長国に就任するだけに、ブルガリア総選挙で親EU路線を推進するGERBが第1党を維持したことに、他のEU加盟国は一様に歓迎している。