ローマ法王フランシスコは21日、「時間が残されているのなら、悔い改めるべきだ」とマフィア関係者に呼び掛けた。法王は同日、イタリアで過去、マフィア、Camorraによって犠牲となった1万5000人の犠牲者を慰霊する集会で犠牲者の遺族関係者と共にこのように祈ったという(バチカン放送独語電子版)。

 慰霊集会は ローマのLuigi Ciotti神父が創設したアンチ・マフィア組織、Libera(リベラ)が主催したもので、1996年以来、毎年、マフィアへの戦いを呼びかける集いを開いている。

 当コラム欄でも、フランシスコ法王が昨年5月、説教の中でマフィアに対して挑戦を宣言して以来、シチリア系マフィアは法王を脅威と受け取ってきた、と何度か書いた。特に、法王がバチカン銀行の刷新に乗り出してからは、「われわれの領域に侵入する者」として敵意を抱いている。南米教会出身のローマ法王はマフィアからさまざまな強迫を受けながららも、「悔い改めよ」と呼びかけているわけだ。

 マフィアは強迫だけではない。イタリアではマフィアによって殺害されるケースが頻繁に起きている。例えば、昨年夏、パレルモの検察官関係者が爆弾で殺された。イタリアのマフィアと戦っていたシチリアの神父もシチリアのマフィアCosa Nostraに殺害されている、といった具合だ。

 ところで、3月30日が「マフィアの日」であることを偶然知った。もちろん、マフィアを祝う日ではない。30日はマフィアという言葉の由来となった「シチリアの晩鐘事件」(1282年)が起きた日だ。

 シチリア島は当時、フランス国王の支配下にあった。事件は復活祭後の月曜日、フランスの兵士たちが教会の前に集まっていた若い女性に手を出そうとした。その時、その夫が兵士を殺したため、市民も彼を助け、他のフランス兵士を殺した。島民のフランス人殺害はシチリア全土に拡大し、殺害されたフランス人の数は4000人にもなったという。夫がフランス兵士を殺した時、教会の晩鐘が鳴ったことから、後日、「シチリアの晩鐘事件」と呼ばれるようになった。

 同事件を契機に「マフィア」と呼ばれる犯罪組織が生まれたが、これはシチリア島民がフランス兵士殺害の際、「Morte alla Francia Italia anela」(全てのフランス人に死を、これはイタリアの叫びだ)」と叫んだことから、その言葉の頭文字をくっ付けると「マフィア(mafia)」となったからだ。ただし、この説の真偽は確かではない。

 フランシスコ法王は「マフィアは単なる組織犯罪グループではない。犯罪グループならば警察力で解決できる。マフィアの背後には社会的、文化的問題がある」と指摘している。