欧州では大統領、首相級となるとその公用車はメルセデス・ベンツの高級車が多い。外交官でも大使級は同様だ。公用車はVIPのシンボルでもある。

▲自転車で公務中の駐オーストリアのデンマーク大使をトップで報じる=メトロ新聞「ホイテ」(1月22日付)
そのシンボルを脇に置いてオートバイ、最近では自転車を利用するVIPが出てきた。ウィーンのメトロ新聞「ホイテ」(1月21日)が自転車で颯爽と公務をこなす駐オーストリアのデンマーク大使、リセロッテ・プレスナーさんの写真を掲載している。
オーストリア大統領府では毎年この時期になるとウィーン駐在外交官を招き、大統領との新年会を開くが、大統領府周辺は当日、大使用の2桁ナンバーのベンツがズラリと並ぶ。オートバイを見たことがない。まして自転車が大統領府の壁に横に置かれているのをこれまで目撃したことはなかった。それだけに、デンマーク大使の自転車はサプライズだ。
ところで、大統領が夜、スクーターを乗って走っているところを目撃されて大きな話題となったばかりだ。フランソワ・オランド仏大統領だ。
安倍首相は緊急時に私邸からオートバイに乗って公邸にくるという話が昨年、飛び出したことがある。野党・民主党から「どうして首相は公邸に住まないのか」と質問された時、菅義偉官房長官は昨年11月5日の衆院国家安全保障特別委員会で「安倍首相はいざというときオートバイに乗って公邸に飛んでくる。私邸から公邸まで15分間ぐらいだ」と説明したという。あくまでも仮定に基づく話だが、オートバイに乗って東京都内を疾走する安倍首相の姿は昔のテレビ番組の英雄、月光仮面を思い出させる。
オランド大統領の場合、オートバイではなく、スクーターに乗ってパリ市内を走っているところを目撃された。同国週刊誌「クローサー」によると、大統領は大統領宮殿から夜、黒ヘルメットを着けてスクーターで愛人(女優)が待っている場所まで飛ばし、早朝、再びスクーターに乗ってエリゼ宮に戻ってきたという。
フランスでは大統領の愛人問題は政治問題とはならない。政治家のプライベートを尊重する慣習が強いからだ。問題視されたとすれば、大統領が逢引のために乗ったスクーターがフランス製ではなく、イタリア製のスクーターだった、という点らしい。大統領の逢引に使用されたイタリアのスクーター製造会社は「絶好の宣伝」と笑いが止まらない、といった憶測記事まで流れる有様だ。
当方が理解できない点は、どうしてオランド大統領は愛人との逢引の為にスクーターを利用したかだ。タクシーを利用するなり、信頼できる友人の車を借りるとか、別の可能性があったはずだ。それをスクーターに乗って市内を走ったのだ。余りにも冒険的だ(ただし、エリゼ宮と愛人宅は距離的に近いのでスクーターを利用した、という情報がある)
愛は人を狂わせる。スクーターで愛人宅まで走った大統領は愛の虜となっていたのだろうか。ちなみに、フランスは核保有国であり、大統領はその総責任者だ。大統領が一瞬とはいえ、正常な思考を失い、愛に夢中だったとすれば、少々怖い話だ。
フランスのメディアはその点をもっと追求すべきだが、あまりそのような記事を見ない。スクーターに乗って逢引する大統領の姿と国家安全保障問題がメディア関係者の頭の中でひっつかないのだろう。
まとめる。デンマーク大使の話はほほえましい。安倍首相の場合、月光仮面を彷彿させる。オランド大統領の場合、国家の安全保障とも密接な関連があり、本来は無視できない問題だ。
いずれにしても、政治家や外交官が公用車を置いて別の交通機関を利用す時、警備上注意が必要なだけではなく、国家の命運に関わる事態がいつ生じるか分からない時代だけに、どのような時でも対応できるように通信手段だけは確保しておかなければならない。

▲自転車で公務中の駐オーストリアのデンマーク大使をトップで報じる=メトロ新聞「ホイテ」(1月22日付)
そのシンボルを脇に置いてオートバイ、最近では自転車を利用するVIPが出てきた。ウィーンのメトロ新聞「ホイテ」(1月21日)が自転車で颯爽と公務をこなす駐オーストリアのデンマーク大使、リセロッテ・プレスナーさんの写真を掲載している。
オーストリア大統領府では毎年この時期になるとウィーン駐在外交官を招き、大統領との新年会を開くが、大統領府周辺は当日、大使用の2桁ナンバーのベンツがズラリと並ぶ。オートバイを見たことがない。まして自転車が大統領府の壁に横に置かれているのをこれまで目撃したことはなかった。それだけに、デンマーク大使の自転車はサプライズだ。
ところで、大統領が夜、スクーターを乗って走っているところを目撃されて大きな話題となったばかりだ。フランソワ・オランド仏大統領だ。
安倍首相は緊急時に私邸からオートバイに乗って公邸にくるという話が昨年、飛び出したことがある。野党・民主党から「どうして首相は公邸に住まないのか」と質問された時、菅義偉官房長官は昨年11月5日の衆院国家安全保障特別委員会で「安倍首相はいざというときオートバイに乗って公邸に飛んでくる。私邸から公邸まで15分間ぐらいだ」と説明したという。あくまでも仮定に基づく話だが、オートバイに乗って東京都内を疾走する安倍首相の姿は昔のテレビ番組の英雄、月光仮面を思い出させる。
オランド大統領の場合、オートバイではなく、スクーターに乗ってパリ市内を走っているところを目撃された。同国週刊誌「クローサー」によると、大統領は大統領宮殿から夜、黒ヘルメットを着けてスクーターで愛人(女優)が待っている場所まで飛ばし、早朝、再びスクーターに乗ってエリゼ宮に戻ってきたという。
フランスでは大統領の愛人問題は政治問題とはならない。政治家のプライベートを尊重する慣習が強いからだ。問題視されたとすれば、大統領が逢引のために乗ったスクーターがフランス製ではなく、イタリア製のスクーターだった、という点らしい。大統領の逢引に使用されたイタリアのスクーター製造会社は「絶好の宣伝」と笑いが止まらない、といった憶測記事まで流れる有様だ。
当方が理解できない点は、どうしてオランド大統領は愛人との逢引の為にスクーターを利用したかだ。タクシーを利用するなり、信頼できる友人の車を借りるとか、別の可能性があったはずだ。それをスクーターに乗って市内を走ったのだ。余りにも冒険的だ(ただし、エリゼ宮と愛人宅は距離的に近いのでスクーターを利用した、という情報がある)
愛は人を狂わせる。スクーターで愛人宅まで走った大統領は愛の虜となっていたのだろうか。ちなみに、フランスは核保有国であり、大統領はその総責任者だ。大統領が一瞬とはいえ、正常な思考を失い、愛に夢中だったとすれば、少々怖い話だ。
フランスのメディアはその点をもっと追求すべきだが、あまりそのような記事を見ない。スクーターに乗って逢引する大統領の姿と国家安全保障問題がメディア関係者の頭の中でひっつかないのだろう。
まとめる。デンマーク大使の話はほほえましい。安倍首相の場合、月光仮面を彷彿させる。オランド大統領の場合、国家の安全保障とも密接な関連があり、本来は無視できない問題だ。
いずれにしても、政治家や外交官が公用車を置いて別の交通機関を利用す時、警備上注意が必要なだけではなく、国家の命運に関わる事態がいつ生じるか分からない時代だけに、どのような時でも対応できるように通信手段だけは確保しておかなければならない。