欧州最大規模のクリスマス・マルクト(市場)が16日夜、ホイプル・ウィーン市長らの挨拶後、市庁舎前広場でオープンした。市庁舎前広場を飾るクリスマス・ツリーはシュタイアーマルク州ブルック・アン・ムーアから運び込まれた、高さ30メーター、樹齢100年の松の木だ。

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▲ウィーン市庁舎前広場のクリスマス市場(2013年11月16日、撮影)

 ウィーンっ子は市庁舎前広場でクリスマス市場が開かれると、「ああ、今年もいよいよ終わりだね」という感慨を抱く。欧州の人々にとって、1年はクリスマスから次の年のクリスマスまでを意味するのかもしれない。教会に足が遠ざかった市民もクリストマスになると、「ちょっと、顔を出してくるか」と自然に教会に向かう人が多い。

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▲クリスマス・シーズン幕開けを楽しむウィーン市民(同上)

 欧州ではここ数年、財政危機が叫ばれて、市民の懐も決して潤ってはいないが、クリスマス市場だけは例外だ。憂鬱な話は聞かれない。子供連れの夫婦や若いカップルは市庁舎前広場に並ぶ約140店のスタンドを覗きながら。シナモンの香りを放つクーヘンやツリーの飾物を買う。空腹だったら、ソーセージや焼き栗を食べる。クリスマス市場で欠かせられない飲物はプンシュ(Punsch)だ。ワインやラム酒に砂糖やシナモンを混ぜて暖かくした飲み物だ。子供用にアルコールなしのプンシュも用意されている。

 オープンの日、市庁舎前からブルク劇場前まで歩けないほどの人々で一杯。16日は土曜日であり、気温も5度前後とちょうどいい。クリスマス・シーズン開幕のシンボル、市場のオープン模様を見ようと旅行者の姿も見かける。
 ちなみに、クリスマス市場は市庁舎前広場だけではなく、市内到る所で開かれる。英雄広場前のマリア・テレージア広場でもこじんまりとしたクリスマス市場が開かれている。

 いつものことだが、クリスマスについて簡単に紹介しておく。世界では約22億人が12月24日、25日のクリスマスを祝う。クリスマスツリーやクリッペ(キリスト降誕の模型)を飾る風習は13世紀初め頃から始まった。