オーストリアのローマ・カトリック教会のヘルムート・シューラー神父を中心に300人以上の神父たちが女性聖職者の任命、離婚・再婚者の聖体拝領許可など7項目の改革を要求、教会指導部への不従順を呼びかけている「不従順への布告、神父たちのイニシャチブ」運動についてはこれまでこの欄で紹介してきたが、米カトリック教会ボストン大司教区のショーン・パトリック・オマリー枢機卿がシューラー神父の大司教区立ち入り禁止処置を決定したことが明らかになった。日刊紙ボストン・グローブが26日、報じた。

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▲教会の刷新を訴えるシューラー神父 (フィーチャー・チャーチのHPから)

 大司教区側の説明によると、「教会の教えに反する聖職者の教会施設使用などを禁止する通常の処置」という。シューラー神父は7月17日、マサチューセッツ州のデドハムの教会で改革派聖職者の統合を呼びかける講演をする予定だった。

 シューラー神父はボストン教区だけではなく、米国内の各地の教会で改革を呼びかける講演シリーズを計画している。同講演シリーズには「カトリック教会の転換点」というセンセーショナルなタイトルが付けられている。
 「イニシャチブ」側によれば、デドハムでの講演は会場を変えて実施されるという。講演は来月16日から8月7日まで米国内15個所で計画。講演場所もカトリック教会からバプテスト教会やメゾジスト派教会などの施設を利用するという。

 なお、シューラー神父らの改革運動に対して、ボストン大司教だけではなく、バチカン法王庁のミューラー教理省長官も同様、批判的な立場を表明している。
 
 ちなみに、シューラー神父ら改革イニシアチブに対し、独バイエルン州のアウグスブルク司教区内の神父たちは独自のイニシャチブ「神父2025」(Priester 2025)を創設。「神父2025」は、ローマ法王と司教へ忠誠を表明し、神父間の相互支援を目指している。明らかに、シューラー神父の改革運動への保守派からの対抗運動だ(「始まった神父たちの戦い』2012年11月1日参考)。
 カトリック教会では過去、インスブルック教区で信者たちの改革運動「われわれは教会」が生まれ、大きな改革運動に発展してきたが、シューラー神父らの運動は教会内の神父たちの改革運動という点で新しい。それだけに、バチカン法王庁側も神経質となっている。

 ベネディクト16世の退位、フランシスコ法王の選出など一連のバチカン内の動きを静観してきた教会内改革派が再び動き出してきたわけだ。