ウィーンに本部を置く国連薬物犯罪事務所(UNODC)のフェドートフ事務局長は26日、国連麻薬委員会(CND)の特別会期で「世界薬物報告書2013年」を公表した。それによると、ヘロインやコカインといった伝統的な麻薬類の摂取は減少傾向も見える一方、処方せん医薬品や向精神薬の乱用が増加している。

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▲「世界麻薬レポート2013」を発表するUNODCの記者会見(2013年6月26日、ウィーンの国連で)

 新型の向精神薬(NPS)は脱法ドラッグやデザイナー麻薬と呼ばれ、現麻薬法や薬事法では取り締まりができない。そのため世界的に急速に拡大、深刻な健康リスクとなってきている。
 具体的には、2009年末までにUNODCに報告されたNPSの数は166種類だったが、昨年末にはその数は251種類と50%以上増加。NPSのトータル数は国際麻薬条約に管理された234個を初めて上回った。
 
フェドートフ事務局長は「NPSは合法的に売買されている。インターネットで購入するケースも増えてきた。NPSの安全性はチェックされたことはない。伝統的な麻薬より危険なものが少なくない。路上ではスパイス(Spice)、Meow Meow、 バスソルト(Bath salts)といったナウな呼び方で青年たちを誘惑し、摂取しても安全だという印象を与えている。国際管理が欠如しているので、取り締まりは常に後手に回る」と指摘、「NPSの生産、不法取引、乱用を阻止するため早期警告システムを確立して具体的な対応が重要だ」述べている。

 一方、ヘロインやコカインなど伝統的麻薬類の乱用は欧州では減少傾向がみられる。コカインの市場は南米とアジアに拡大してきた。また、アフリカ諸国は不法麻薬の取引と生産の拠点となってきたという。

 世界最大のアヘン生産国はアフガニスタンで、昨年の世界アヘン生産の約75%を占めているが、気候不順などで生産量は約4905トンと前年比で約30%減少した。コカイン生産は11年とほぼ同水準で、米国では減少傾向が続き、西欧と中欧では変わらない。アフリカ諸国と南米ではコカインの消費は増加。アジアではコカインの乱用拡大の兆候が見られる。

 エクスタシーを含むアンフェタミン類の覚せい剤(ATS)の乱用は全世界的に拡大し、2011年には15歳から64歳の世界人口の0・7%、約3380万人が摂取したと推定されている。ちなみに、カンナビス(マリファナ)は世界で最も乱用されている不法麻薬だ。