今季の独ブンデスリーグは既に決着済みだ。FCバイエルン・ミュンヘンが最初から圧倒的な力を発揮して4月初め、6試合残して3季ぶり通算23回目のマイスターとなった。バイエルンはDFBポカールでも決勝に進出し、欧州チャンピオンズリーグ(CL)では23日、強豪チームのバルセロナ(スペイン)との準決勝第1回戦を4ー0で圧倒し、決勝進出の道が大きく開かれたばかりだ。

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▲独バイエルン・ミュンヘンのウリ・へーネス会長(FCバイエルン・ミュンヘンの公式サイトから)

 無冠に終わった昨季リーグの無念さを晴らすように、チームは勝利を重ねていき最短期間でブンデスリーグを制覇したが、別の問題が突如、浮上し、クラブの命運が揺れだしてきたのだ。クラブのウリ・へーネス会長(61)が脱税問題でミュンヘン検察局から追求され、「南ドイツ新聞」によると、同会長は先月20日、逮捕されたが、500万ユーロの保釈金を払って釈放されたという。

 元サッカー選手だったへーネス会長は人情深い、クリーンな人物として独の社交界では評判のいい紳士と受け取られてきた。メルケル首相とも知合いだ。その会長の脱税容疑問題が浮上した時は誰からも信じられない、といった声が聞かれた。しかし、容疑が事実であり、先月末、逮捕されていたことが伝わると、ファンからは悲鳴まで飛び出してきた。メルケル首相も「失望した」(独週刊誌シュピーゲル電子版)と答えたという。自由民主党(FDP)のレスラー副首相は「脱税者が社会の模範であることは絶対に考えられない」と指摘している、といった具合だ。

 へーネス会長はサッカー・クラブを運営する一方、1985年、「Ho We Wurstwaren KG」社(ソーセージ製造)を経営している。会社やクラブ経営で稼いだ巨額の収益金をスイスの銀行口座に預金していたという。

 23日の本拠地ミュンヘンでのバルセロナとの試合に顔を見せたへーネス会長は「自分は大きな間違いを犯した。税問題を清算してスッキリしたい」と述べ、脱税容疑を認める一方、再起を表明している。独メディアによると、悪質な脱税の場合、5年以上の懲役だ。

 へーネス会長の問題にもかかわらず、ユップ・ハインケス監督が率いるバイエルン・ミュンヘンは23日、バルセロナに快勝するなど、強さを誇っている。
 へーネス会長は自分のチームが快勝するのを見届けるとスタジオを後にした。独メディアによると、同会長の辞任要求がファンからも高まってきている。