「アメリカは誰のものか」と質問された時、「米国国籍を保有している国民のものだ」という返答が戻ってくるが、ある宗教指導者は「アメリカはアメリカを最も愛する者のものだ」と答えたという。非常に含蓄のある答えだ。

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▲万里の長城(中国国際放送日本語のHPから)

 なぜ、そんなことを思い出したのか、というと、中国の周近平国家主席がロシア訪問後、アフリカを訪問中だが、中国の国家主席ほどアフリカ諸国を頻繁に訪問する世界指導者はいないからだ。正に「アフリカはアフリカを最も愛する者のものだ」という論理でいけば、アフリカは中国のものだ。

 中国政府は06年1月、「中国の対アフリカ政策文書」を発表し、中国の対アフリカ政策の目標を初めて明記している。そして胡錦涛国家主席は同年4月、モロッコ、ナイジェリア、ケニアのアフリカ3カ国を訪問。07年2月にはカメルーン、リベリア、スーダンなど8カ国を訪問した(06年6月には温家宝総理がエジプト、ガーナ、コンゴ、アンゴラ、南アフリカ、タンザニア、ウガンダのアフリカ7カ国を訪問している)。胡国家主席は昨年6月12日にもマリ、セネガル、タンザニア、モーリシャスの4カ国を訪問している。
 そして後継者の周近平国家主席は今月24日、タンザニアを訪問した後、南アフリカ、コンゴを訪ねる予定だ。 中国国家主席だけではない。アフリカには百万人以上の中国人労働者、ビジネスマンが働いている。アフリカ大陸に対する中国の狙いは明確だ。高度成長を継続していくために不可欠な地下資源の確保だ。

 米国は中国のアフリカ攻勢の危険性を感じたのか、クリントン米国務長官(当時)は昨年8月、セネガルを皮切りにウガンダ、南スーダン、ケニア、マラウィ、南アフリカ、ナイジェリア、ガーナ、ベニンのアフリカ9カ国を駆け足で訪問したばかりだ。同長官は中国のアフリカ進出に関して「新植民地主義」への懸念を表明し、「中国は利益追及を最優先とするが、わが国は民主主義と普遍的な人権擁護の立場を堅持する」と発言し、中国のアフリカ急接近に警告を発しているほどだ。

 もちろん、全てのアフリカ諸国が諸手を上げて中国を歓迎しているわけではない。各地で問題も生じている。最近ではアフリカ西部ガーナで中国人が射殺されるという事件が発生した。中国人が違法で金鉱を採掘していたからだという。スーダンでは原油関連に中国人が投資し、同国の地下資源の独占を腐心している。
 中国人がスーダンに進出して以来、「中国企業と連携してミリオネアーとなったスーダン人が出てきた一方、中国はわが国の社会に腐敗というばい菌を持ち込んできた」と、中国人のビジネス活動を批判する声が高まってきている、といった具合だ。


最初の言葉に戻る。「アフリカは誰のもの」と聞かれれば、国家元首が何度訪問したかではなく、「アフリカの将来に責任をもち、その発展に寄与し、アフリカの国民を愛する者のものだ」という答えが出てくる。それでは、中国だろうか、米国だろうか。それとも、誰もまだいないのだろうか。