ローマ法王ベネディクト16世はひょっとしたら最後の法王となるかもしれない。11世紀の預言者、聖マラキは「全ての法王に関する大司教聖マラキの預言」の中で1143年に即位したローマ法王ケレスティヌス2世以降の112人(扱いによっては111人)のローマ法王を預言している。そして最後の111番目が今月末に退位するベネディクト16世というのだ。

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▲次期法王は誰?(バチカン放送独語電子版から)

 マラキは1094年、現北アイルランド生まれのカトリック教会聖職者。1148年11月2日死去した後列聖され、聖マラキと呼ばれている。彼は預言能力があり、ケレスティヌス2世以降に即位するローマ法王を預言した。その預言内容をまとめた著書「全ての法王に関する大司教聖マラキの預言」と呼ばれる預言書が1590年に登場した。カトリック教会では同預言書を「偽書」と批判する学者が少なくないが、その預言内容がかなり当たっていることから、多くの信奉者を持つ(以上、ウィキぺディアから「聖マラキ」を参考)。

 例えば、第2バチカン公会議を提唱したヨハネ23世(在位1958年10月〜63年6月の即位について、聖マラキは「牧者にして船乗り」と預言している。ヨハネ23世は水の都ヴェネツィアの大司教だった。冷戦時代に活躍したポーランド出身のヨハネ・パウロ2世については「太陽の働きによって」と預言した。同2世が生まれた時に日食が観測されたから、預言は当たっていると解釈されている。そしてドイツ人ベネディクト16世の即位は「オリーブの栄光」と預言された。べネディクト16世の名称はベネディクト会創設者の聖べネディクから由来するが、同会はオリーブの枝をシンボルとすることで有名だ、といった具合だ。聖マラキは歴代法王を次々と預言していったわけだ。

 興味深い点は111番目に当たる現ローマ法王ベネディクト16世後についての散文だ。「極限の迫害の中で着座するだろう。ローマ人ペテロ、彼は様々な苦難の中で羊たちを司牧するだろう。そして、7つの丘の町は崩壊し、恐るべき審判が人々に下る、終わり」(ウィキぺディア)と述べている。
 同散文が112番目の法王の即位に関するものかで解釈が分かれている。預言は111番目のベネディクト16世の即位で終わっているからだ。

 以下は当方の解釈だが、べネディクト16世は「聖マラキの預言」内容を熟知していたはずだ。だから、ひょっとしたら、自身がローマ・カトリック教会最後のローマ法王となるのではないか、と予感したかもしれない。たとえ、次期法王が3月中旬に開かれるコンクラーベで選出されたとしても、もはや以前のようにローマ法王としての任務を履行できない状況下に陥るのではないか。
 「聖マラキの預言」は、2000年間続いてきたローマ法王制が終焉を迎えると強く示唆しているのだ。「マヤの暦」と同様、同預言の真偽は近い将来、明らかになるだろう。