音楽の都ウィーン市は、国際会議協会(ICCA、本部オランダ・アムステルダム)が毎年公表する国際会議開催数ランキングでベルリンやパリを抜いてトップの常連だ。ホーフブルク宮殿、オーストリア会議センター、見本市会場、そしてウィーン国連と、国際会議を開催できる会議場は到る所にある。そのウィーン市(人口約175万人)で2028年、五輪を開催しようという声が高まってきたのだ。ウィンター・スポーツ国オーストリアで冬季五輪は過去2回(1964年と76年)、インスブルックで開催されたことがある。次はウィーンで冬季五輪大会を開催するのか、というとそうではない。夏季五輪大会を誘致するというのだ。アルプスの小国オーストリアでは過去、夏季五輪大会は開かれたことがない。

▲ウィーン市庁舎前広場のスケート場(ウィーン市サイトから)
ホイプル市長は18日、オーストリア五輪委員会のカール・シュトス会長と共に記者会見をし、2028年にウィーンで夏季五輪大会を誘致したい意向を表明した。同市長は「五輪大会を開催すれば、文化都市ウィーン市は世界のスポーツ都市として更に多くの人々を惹きつけることができる」という。市のイメージアップに五輪大会誘致が賢明というわけだ。もちろん、市民の意向が問題となるから、来月7日〜9日、住民投票で市民に問うという。
ウィーン市は国際会議の開催には慣れているが、夏季五輪大会となれば、約1万5000人の選手が集まり、26競技が行われるから、選手収容所から専門会場まで多数の施設が必要だが、残念ながら五輪選手が使用できるスポーツ会場は市内には少ない。例えば、水泳競技だが、ウィーン市内には市民用プールがあるだけだ。昨年のロンドン夏季五輪大会で4位となったユキチ選手は練習用プールが無いので、市民用プールで子供達が泳ぐ側で練習しなければならなかったほどだ。そのようなインフラ状況で果たして五輪大会の花形競技の水泳大会を開催できるだろうか、という素朴な疑問が出てくる。もちろん、大会開催前に水泳プールを建設すればいいわけだが、スポーツ競技場を作るためには膨大な費用と土地が必要だ。
ロンドン大会の総費用は約134億ユーロだったという。誘致費用だけでも8000万ユーロから1億ユーロになる。欧州全体が財政危機下にあるこの時、小国オーストリアの首都の財政にはかなり負担だが、ホイプル市長は真剣だ。記者会見では「誘致することを決めれば、必ず勝利できる」と自信を披露したほどだ。一方、シュトス会長は「2020年、24年の夏季五輪大会が欧州以外で開かれることになれば、ウィーン市もチャンスが出てくる」と、市長よりは少し現実的だ。
ちなみに、オーストリアは最近、モーツアルトの生誕地ザルツブルク市が2度、冬季五輪開催地に立候補したが、いずれも惨敗した(「泣くな、ザルツブルクよ」2007年5月29日)。なお、ロンドン夏季五輪大会ではオーストリア選手たちは最後まで一つもメダルを取れなかった(「『ノー・メダル』預言は成就された」2012年8月12日)。
19日付のオーストリア日刊紙エストライヒの世論調査によれば、冬季五輪大会誘致賛成は約86%、夏季五輪大会誘致支持は約35%に過ぎなかった。

▲ウィーン市庁舎前広場のスケート場(ウィーン市サイトから)
ホイプル市長は18日、オーストリア五輪委員会のカール・シュトス会長と共に記者会見をし、2028年にウィーンで夏季五輪大会を誘致したい意向を表明した。同市長は「五輪大会を開催すれば、文化都市ウィーン市は世界のスポーツ都市として更に多くの人々を惹きつけることができる」という。市のイメージアップに五輪大会誘致が賢明というわけだ。もちろん、市民の意向が問題となるから、来月7日〜9日、住民投票で市民に問うという。
ウィーン市は国際会議の開催には慣れているが、夏季五輪大会となれば、約1万5000人の選手が集まり、26競技が行われるから、選手収容所から専門会場まで多数の施設が必要だが、残念ながら五輪選手が使用できるスポーツ会場は市内には少ない。例えば、水泳競技だが、ウィーン市内には市民用プールがあるだけだ。昨年のロンドン夏季五輪大会で4位となったユキチ選手は練習用プールが無いので、市民用プールで子供達が泳ぐ側で練習しなければならなかったほどだ。そのようなインフラ状況で果たして五輪大会の花形競技の水泳大会を開催できるだろうか、という素朴な疑問が出てくる。もちろん、大会開催前に水泳プールを建設すればいいわけだが、スポーツ競技場を作るためには膨大な費用と土地が必要だ。
ロンドン大会の総費用は約134億ユーロだったという。誘致費用だけでも8000万ユーロから1億ユーロになる。欧州全体が財政危機下にあるこの時、小国オーストリアの首都の財政にはかなり負担だが、ホイプル市長は真剣だ。記者会見では「誘致することを決めれば、必ず勝利できる」と自信を披露したほどだ。一方、シュトス会長は「2020年、24年の夏季五輪大会が欧州以外で開かれることになれば、ウィーン市もチャンスが出てくる」と、市長よりは少し現実的だ。
ちなみに、オーストリアは最近、モーツアルトの生誕地ザルツブルク市が2度、冬季五輪開催地に立候補したが、いずれも惨敗した(「泣くな、ザルツブルクよ」2007年5月29日)。なお、ロンドン夏季五輪大会ではオーストリア選手たちは最後まで一つもメダルを取れなかった(「『ノー・メダル』預言は成就された」2012年8月12日)。
19日付のオーストリア日刊紙エストライヒの世論調査によれば、冬季五輪大会誘致賛成は約86%、夏季五輪大会誘致支持は約35%に過ぎなかった。