「米国は事前にマリやアルジェリアのイスラム武装勢力の動きを掌握していた。彼らがアルジェリアのガス関連工場を襲撃することも知っていたはずだ。米国が関与する気があれば、阻止できたかもしれない。しかし、米国は監視しただけで、静観していた。イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)らイスラム系テロ勢力を駆逐する大儀名目ができるからだ」

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▲国連雑誌「Space Matters」から(科学衛星「はやぶさ」宇宙航空研究開発機構(JAXA)提供)
 
 中東テロ問題専門家アミール・ベアティ氏はこのようにいう。同氏の「米国は事前に知っていた」というのは、米情報偵察衛星のことを指している。米国は24時間、世界の軍事的重要地域を監視している。その情報衛星の精度は地上の20センチぐらいの対象も識別できる。例えば、北朝鮮は3回目の核実験を準備しているが、米監視衛星は労働者や車両の動きを手に取るように掌握している。だから、臆病な故金正日労働党総書記などは夜間に移動したといわれていたほどだ。
 
 情報収集とその管理で「後進国」の汚名を背負ってきた日本も、ようやく情報収集衛星4基体制を確立したばかりだ。日本は27日、鹿児島県・種子島宇宙センターから情報収集衛星2基(レーダー4号機と技術試験用光学センサー実証衛星)の打ち上げに成功した。光学センサー実証衛星の識別能力は晴天時に約40センチを目指すという。
 スパイ衛星、情報衛星が今後、その識別能力を向上し、ほぼ地上と同等か、それ以上になる日が近い将来、到来するだろう。故金総書記のように夜行人間となったとしてももはや意味がない。夜間でも対象を識別できるレーダー衛星が現に存在するし、その識別能力(現在約1メートル)も今後、急速に向上していくからだ。
 
 そこで監視衛星の目から逃れるためには、地下に潜る以外にない。平壌周辺には攻撃を受けた時に避難できる地下網が既に完成しているという。ウラン濃縮関連活動を実施しているイランは、イスラエルの空爆を避けるために数年前から同国中部フォルドゥで地下施設を建設し、そこで遠心分離機を増設して操業中だ。ちなみに、英国メディアが25日付、フォルドゥの地下施設で「大爆発が発生した」という報じたばかりだ(イラン側は否定)。
 情報衛星の発展は、政府の主要施設、軍事基地の地下化を加速させていくだろう。というより、既に半ば現実化している。地下施設を破壊できるバンカー・バスター(地下貫徹爆弾)も製造済みだ。
 
 蛇足だが、SF作家が数十年前に描いていた「地下文明」の誕生も現実味を帯びてきた。そこには、政府や軍事施設だけではなく、ショッピング街からサッカー場まで完備されている(人は限りなく宇宙を目指す一方、安全な隠れ場所を求めて地下に潜る)。