「この人と結婚できないのならば、生涯独身でいます」
 ノルウェーのハーラル5世が現在のソニア王妃との結婚許可を得るために発した台詞だ。同国王が9年余り心を引かれてきた女性だった。王室関係者からは「彼女は将来の女王になるには相応しくない」という声が上がった。ソニア王妃は当時、裁縫師だったからだ。その時、当時皇太子だった国王の口から飛び出した台詞が先に紹介したものだ。
 オスロの政府庁舎前の爆弾テロと郊外のウトヤ島の銃乱射事件で77人が殺害される大事件が発生した時、犠牲となった家族と共に教会の慰霊礼拝に参加した国王の姿は非常に印象的だった。穏やかで少し地味な感じがするほどだった。その国王が若き日にあのような情熱的な台詞を発していたわけだ。

 欧州の王室では何といっても英国の王室が代表格だ。同国で昨年4月、ウィリアム王子とケイト・ミドルトンさんの結婚式がウェストミンスター寺院で挙行された。両者は学生時代から知り合っていたから、結婚は時間の問題と受け取られてきた感があった。その華やかな結婚式は世界の耳目を集めたことはまだ記憶に新しい。英国の王室では、米女性との愛を貫き通し、王冠を捨てて退位したエドワード8世の話は余りにも有名だ。

 日本の皇室と関係が深いオランダのベアトリックス女王もドイツ人外交官だったクラウス・フォン・アムスベルク氏との結婚に反対されたため3日間断食して父親を説得した、という話が伝わっている。オランダでは第2次大戦の影響もあってドイツ人外交官がオランダの王室に入ることに強い抵抗があった時代だ。
 スウェーデンでは2010年6月、ヴィクトリア王女は平民出身のダニエル・ウェストリング氏と結婚したが、王女の場合も現夫(当時、フィットネスセンターを経営)のウェストリング氏と結婚したいと告白した時、グスタフ国王ら王室関係者から「彼は教養もないし、服装も洗練されていない」と強く反対されたが、それでも「結婚したい」いう王女の熱意が勝利した。

 欧州の王室では、スペインやスウェーデンの国王たちの不祥事、英のヘンリー王子の醜聞などが大きな話題を呼んでいるが、その反面、平民との結婚に愛を燃やした王室関係者がいたわけだ。