バチカン放送独語電子版に目を通していると、チェルシーのディディエ・ドログバ選手のことが記事になっていた。バチカンにも聖職者らのサッカー・リーグ(Clericus Cup)があるから、豊富な資金を有するバチカンがスーパースターのドログバをバチカンのクレリクス・カップに移籍させようと考えているのか、と少し考えたほどだ(「バチカンのサッカー・リーグ戦」2007年11月23日参照)。

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▲チェルシーにチャンピオン・リーグの優勝をもたらしたドログバ選手(バチカン放送独語電子版から)

 記事の内容は、ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁の信者評議会内に設置されている「教会とスポーツ担当事務所」がドログバ選手に言及し「勝利の瞬間、その栄光を神に帰する姿勢は素晴らしい。模範とすべきスポーツ選手だ」と称賛しているものだ。

 ドログバは単なるサッカーのストライカーではない。紛争下の故郷コートジボワールの和平実現のためにも努力してきたことで知られている。彼は昨年6月、コートジボワールの和平を進める11人の特別委員の1人に選出されている。英タイムズ誌は昨年、「最も影響力のある人物100人」の中にドログバを挙げているほどだ。バチカン放送がドログバを称える記事を掲載したのは不思議ではない。

 英プレミア・リーグのチェルシーのディディエ・ドログバ選手について説明する必要はないが、彼の名を永遠にした対バイエルン戦の活躍をここで少し再現した。

 チャンピオン・リーグ決勝戦でFCバイエルン・ミュンヘンを破り、貴重な得点を挙げ、チェルシーに初の栄冠をもたらしたのはドログバだった。このコートジボアール出身の男はPKで決定的なゴールを挙げたのだ。

 ブックメーカーは「バイエルンが圧倒的に有利」と予想し、チェルシーのオッズは4倍にもなった。バイエルンの本拠地の独ミュンヘンで行われた試合は予想通り、バイエルンが初めから激しくゴールを攻めた。トマス・ミューラーが前半、得点すると、バイエルンの勝利は確実と思われた。その流れを変えたのがドログバだった。試合終了数分前、待望の同点ゴールを決めたのだ。試合は1対1となり、延長戦に持ち込まれたが、最終的にはPK争いとなった。
 バイエルンのエース、MFシュヴァインシュタイガーがゴールを外すと、チェルシーの最後はドログバだ。34歳のベテランの男は神に祈りを捧げシュートすると、ボールはネットに突き刺さり、決勝のゴールとなった。試合後のインタビューで、ドログバは「最後まで諦めないのがチェルシーの精神だ。絶対勝てると信じていた」と述べている。

 チェルシーはクラブ創設107年目で初めて欧州クラブの最高峰、チャンピオン・リーグを制覇した。その数日後、ドログバは8年間在籍してきたチェルシーを6月末の契約終了後、退団すると発表した。「自分はチェルシーを愛している。多くの友人もできた。念願のチャンピオン・リーグの優勝を勝ち取ったこの時、自分も新しい挑戦に向かいたい」と述べている。

 2度の得点王、2度アフリカ年間最優秀選手に選ばれたコートジボアールの男の華麗なシュートをこれからも見たいものだ。