アゼルバイジャンの首都バクーで22日、欧州ソング・コンテスト、ユーロビジョン(Eurovision)の予選が開催され、18カ国から歌手たちが参加し、26日の決戦進出をかけて競った。

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▲ユーロビジョンのホスト国アゼルバイジャンのアリエフ大統領(IGFMのHPから)

 旧ソ連から1991年8月に独立した同国はカスピ海の原油や天然ガスの豊かな資源を背景に急速に経済発展してきた。バクーにとって46カ国で放映されるユーロビジョンは自国の経済力の繁栄を宣伝できる絶好の機会だ。祭典を放映する国営放送は宣伝の度に自国のプロファイルを紹介するビデオを流すなど、自国のピーアルに余念がない。

 ユーロビジョンに水を差す気はないが、同国では独立後、ヘイダル・アリエフ前大統領、その息子イルハム・アリエフ現大統領のアリエフ家が19年間余り長期独裁政権を続けている。国際人権擁護団体(IGFM)は22日、声明文を発表し、同国の宗教弾圧状況を批判している。同国では憲法で「宗教の自由」は保証されているが、実際はさまざまな迫害が行われている(同国では約96%がイスラム教徒だ。その内、3分の1はスンニ派、3分の2はシーア派だ。残りは少数宗派のキリスト教徒だ)。

 当局の宗教弾圧は特に少数宗派に向けられている。宗教活動は当局に厳しく管理され、その活動は制限されている。「宗教活動に関する法」は1992年以後、14回余り改正され、全ての宗教団体は当局に登録が義務つけられている。全宗教団体は2010年、従来のステイタスに関係なく、新たに登録を義務付けられたばかりだ。

 当局の承認なく宗教活動を行えば、刑罰が課せられる。登録済みの宗教団体も当局から強制捜査を受けることもある。例えば、今月12日、警察当局がアドベンチスト教会に突然押入り、集会に参加していた約50人の子供たちに両親からの宗教活動承認の文書の提出を要求したという。
 
 同国の人権弾圧は宗教分野だけではなく、「政治・結社、言論」の分野にも及ぶ。IGFMは24日、62人の政治犯の恩赦をアリエフ大統領に要求している。ちなみに、同国の言論機関は約80%が国家直接管理下にある。


 第14回サッカー欧州選手権(ユーロ2012)は6月8日から7月1日まで、ウクライナとポーランドで31試合の熱戦を繰り広げるが、ウクライナで職権乱用罪で禁錮7年の有罪判決を受け服役中の同国野党指導者、ティモシェンコ前首相への対応が人権違反として、欧州諸国の政治家たちが「ユーロ2012」の参加ボイコットを表明したばかりだが、「キエフ政府の人権問題を理由にユーロ2012開催に反対するのなら、どうしてバクーのユーロビジョンにも反対しないのか」という声も聞かれたほどだ。そして不思議なことに、アリエフ政権の独裁政治を理由にユーロソングコンテストのボイコットを決めた国や歌手たちはいない。

 目もくらむ照明が交差するユーロビジョンの舞台で歌手たちはきらびやかな衣装を着て歌う。その舞台裏で展開する当局の宗教・結社・言論の弾圧の状況は、バクーの華やかな夜景に吸収されて、浮かび上がってこない。