国際労働機関(ILO)が発表した統計によると、欧州諸国の青年層(15歳〜24歳)の失業率は危機的な水準に達している。最高の失業率は南欧スペインで46・4%だ。すなわち、約2人に1人の若者が失業者というわけだ。それを追ってクロアチア35・8%、スロバキア33・6%だ。

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▲市民と観光客で賑わうウィーン市1区ケルンテン通り(2012年5月23日)

 財政危機でユーロ圏から離脱が囁かれているギリシャの若者たちの正確な失業率統計がないから断言できないが、スペインのそれと大きくは違わないと予想される。

 ちなみに、欧州連合(EU)の統計によると、欧州では現在550万人の若者たちが職を探しているという。その数字はデンマークの総人口にも匹敵する。欧州経済が停滞し、財政危機下の時代に就労年齢に達した若者たちは、就学を終えても職がないことから“失われた世代”と呼ばれているほどだ。

 スペインでは国内で職場が見つからないから、ドイツに職を求めて移住を決意する若者も増えてきたという(ドイツ企業の中には、専門能力を持った労働者が国内で不足していることもあって、スペインで職業斡旋をする会社も出てきた)。大学生の一部には雇用市場が改善されるまで大学生活を続ける学生たちもいる、といった具合だ。

 若者たちの失業が増加すれば、国内の治安は不安定となる。デモ集会だけではない。未来に希望が見出せない若者たちは不安と焦燥にかられる。そのエネルギーが暴発する危険性が考えられるからだ。ナチス・ドイツの例を挙げるまでもなく、失業問題から間違った為政者に国の舵取りを委ねることにもなりかねないからだ。欧州では外国人排斥、民族主義的政党が躍進してきている。

 それ以上に、働き口もなく、街で放浪する若者たちの姿は痛々しいものだ。健全な若者ならば労働欲をもっている。それを発揮できない社会状況は不幸だ。

 雇用問題の専門家でもないが、当方は若者の失業対策として、看護職の拡大を提言したい。高齢化時代を迎え、老人が確実に増えているが、その老人たちを世話する看護人が欧州では恒常的に不足している。オーストリアでも看護人不足が深刻だ。肉体的に厳しいこともあって、敬遠する若者たちが少なくないが、働く意欲があれば職場は見つかるはずだ。もう一つは、短期間のボランティア活動はどうだろうか。例えば、自然災害の被害地でその労働を提供するのだ。ボランティアの青年には国が一部、援助金を支給することにすれば、経済的にも少しは潤う。もちろん、失業手当のほうがいいから、そのような低給な職場はイヤだ、という若者は仕方がないが、人生の短期間、金銭の多少とは関係なく、困っている人の世話をすることは決してマイナスではないはずだ。

 時代が厳しい時であるだけに、若者たちは一層、夢と希望をもって挑戦してほしい。現代の若者たちは決して失われた世代ではないのだ。