世界に約12億人の信者を抱えるローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁は19日、「ローマ法王や聖職者に関連した内部書簡や文書をメデイアに流し、発表することはもはやジャーナリズム云々の問題ではなく、窃盗であり、個人の自由を侵害する明らかな犯罪行為だ。今後は調査し、内部情報を漏らした者が明らかになれば、法的な処罰も考えざるを得ない。捜査で必要ならば、国際社会の協力も要請する意向だ」という異例の声明文を公表した。

▲イタリアのミラノ大聖堂(2011年8月、ミラノ市で撮影)
バチカンの内部書簡、文書が頻繁にメデイアに漏れることに対し、バチカンが怒りだしたのだ。今回はイタリアのメデイアが18日、ローマ法王宛ての書簡内容を掲載したほか、法王とイタリアのジョルジョ・ナポリターノ大統領の会談メモランダム(覚書)が報じられたのだ。それらの内部情報のリークにはバチカン内部関係者が関与していることは明らかだ。それだけに事態は深刻なわけだ。バチカン放送独語電子版は19日、「バチカン、内部情報の公表に怒り」というタイトルで報じている。普段は「愛し、許し、一体化」をモットーとするバチカンが遂に“切れて”しまったのだ。
バチカンのロムバルディ報道官が今年2月、“Vatileaks”(ヴァチ・リークス)と呼称した問題だ。このコラム欄でも既に数回、紹介してきた。例えば、「枢機卿の『法王殺人の陰謀説』」2012年2月13日)では、ローマ法王べネディクト16世が12カ月以内(今年11月まで)に殺される、というバチカンの機密書簡内容がイタリアの一部メディアで報じられたことがある。バチカン側は当時、「馬鹿げた内容」(ロムバルディ報道官)と必死に否定したが、その法王殺人陰謀説が高位聖職者の話として報じられているのだ。バチカン内部に教会への忠誠心のない者が潜伏していることが明らかになわけだ。そこでべネディクト16世は直々乗り出し、ジュリアン・へランツ枢機卿(カトリック教会内の根本主義者組織「オプス・デイ」出身者)をトップとした特別調査委員会を設置し、彼らに犯人探しの全権を付与しているのだ。
独週刊誌シュピーゲルは先週号でバチカン・ナンバー2のタルチジオ・ベルトーネ国務長官(枢機卿)が絡んだ不祥事を報じている。記事のタイトルは「権勢欲に溺れ、通俗的」だ。ミラノのカトリック系病院の副院長投身自殺やトニオロ研究機関の人事問題について、同長官の独裁的な人事政策を内部文書を通じて暴露しているのだ。
バチカン内部の人事やその関係者の言動をメディアを通じて知った信者たちや多くの人々は「バチカンという所はなんと通俗的な世界か」といった失望感と衝撃を受け、「バチカン内部は陰謀と腐敗の巣窟だ」といった印象をもってしまうだろう。
ちなみに、バチカン日刊紙とのインタビューの中で、バチカン国務省総務局長官代理のジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ大司教は「国務省関係者は自分の出世と陰謀だけを考えている、との批判は当たっていないが、関係者の中には不正直で内務文書を外部のメデイアに流す者もいるかもしれない」と説明しているほどだ。
シュピーゲル誌は「内部情報漏れ問題は、聖職者の未成年者への性的虐待問題よりもローマ・カトリック教会の土台を震撼させる一大事」と述べている。イエスは「真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」(ヨハネによる福音書8章32節)と語ったが、バチカンの内部情報が明らかになれば、バチカンへの信頼性は吹っ飛んでしまうのだ。バチカンが常に主張してきた「真理」はどこに行ったのか。

▲イタリアのミラノ大聖堂(2011年8月、ミラノ市で撮影)
バチカンの内部書簡、文書が頻繁にメデイアに漏れることに対し、バチカンが怒りだしたのだ。今回はイタリアのメデイアが18日、ローマ法王宛ての書簡内容を掲載したほか、法王とイタリアのジョルジョ・ナポリターノ大統領の会談メモランダム(覚書)が報じられたのだ。それらの内部情報のリークにはバチカン内部関係者が関与していることは明らかだ。それだけに事態は深刻なわけだ。バチカン放送独語電子版は19日、「バチカン、内部情報の公表に怒り」というタイトルで報じている。普段は「愛し、許し、一体化」をモットーとするバチカンが遂に“切れて”しまったのだ。
バチカンのロムバルディ報道官が今年2月、“Vatileaks”(ヴァチ・リークス)と呼称した問題だ。このコラム欄でも既に数回、紹介してきた。例えば、「枢機卿の『法王殺人の陰謀説』」2012年2月13日)では、ローマ法王べネディクト16世が12カ月以内(今年11月まで)に殺される、というバチカンの機密書簡内容がイタリアの一部メディアで報じられたことがある。バチカン側は当時、「馬鹿げた内容」(ロムバルディ報道官)と必死に否定したが、その法王殺人陰謀説が高位聖職者の話として報じられているのだ。バチカン内部に教会への忠誠心のない者が潜伏していることが明らかになわけだ。そこでべネディクト16世は直々乗り出し、ジュリアン・へランツ枢機卿(カトリック教会内の根本主義者組織「オプス・デイ」出身者)をトップとした特別調査委員会を設置し、彼らに犯人探しの全権を付与しているのだ。
独週刊誌シュピーゲルは先週号でバチカン・ナンバー2のタルチジオ・ベルトーネ国務長官(枢機卿)が絡んだ不祥事を報じている。記事のタイトルは「権勢欲に溺れ、通俗的」だ。ミラノのカトリック系病院の副院長投身自殺やトニオロ研究機関の人事問題について、同長官の独裁的な人事政策を内部文書を通じて暴露しているのだ。
バチカン内部の人事やその関係者の言動をメディアを通じて知った信者たちや多くの人々は「バチカンという所はなんと通俗的な世界か」といった失望感と衝撃を受け、「バチカン内部は陰謀と腐敗の巣窟だ」といった印象をもってしまうだろう。
ちなみに、バチカン日刊紙とのインタビューの中で、バチカン国務省総務局長官代理のジョヴァンニ・アンジェロ・ベッチウ大司教は「国務省関係者は自分の出世と陰謀だけを考えている、との批判は当たっていないが、関係者の中には不正直で内務文書を外部のメデイアに流す者もいるかもしれない」と説明しているほどだ。
シュピーゲル誌は「内部情報漏れ問題は、聖職者の未成年者への性的虐待問題よりもローマ・カトリック教会の土台を震撼させる一大事」と述べている。イエスは「真理は、あなたがたに自由を得させるであろう」(ヨハネによる福音書8章32節)と語ったが、バチカンの内部情報が明らかになれば、バチカンへの信頼性は吹っ飛んでしまうのだ。バチカンが常に主張してきた「真理」はどこに行ったのか。
難攻不落とされた古代都市バビロンにとってユーフラテス川は防衛体制の要のひとつでした。しかしペルシャ軍は都市を囲むその運河の流れを変え川床を干上がらせることにより都市を攻略しました。(イザヤ44:27〜)
バチカンにとっても今回のスキャンダルが信者の水引きを促進し、その後の惨事へと向かわせるものとなるのでしょうか。(黙示録16:12)