ローマ法王べネディクト16世は今月、超多忙だ。先月末、メキシコ・キューバ訪問からローマに戻ると、4月1日から復活祭の聖週間が始まり、4月8日の「復活の主日」を迎える(復活の主日から聖霊降臨までの7週間が「復活節」と呼ぶ)。復活祭が終わると、ローマ法王は16日には85歳の誕生日を迎える、といった具合だ。

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▲バチカン法王庁のサン・ピエトロ広場でのイースター礼拝  2011年4月24日、撮影

 先ず、復活祭(イースター)だ。復活祭はイエス・キリストの生誕を祝うクリスマスと共にキリスト教の2大祝日だ。キリスト教の誕生という意味では、復活祭はキリスト教にとって最大行事だ。十字架上の死の後、“復活したイエス”によってキリスト教が始まったからだ。
 十字架で亡くならなかった場合、イエスはユダヤ教の土台でその教えを宣布すればいいだけだった。しかし、ユダヤ教指導者たちの反対と弾圧の結果、十字架で亡くなられた。そのため、イエスは復活後、ばらばらになった弟子たちを呼び集めると共に、その教えがローマに伝えられていったわけだ。初代キリスト教の誕生だ。
 4月1日は復活祭前の最後の日曜日だ。エルサレム入りしたイエスをシュロの枝で迎えたことから「シュロ枝の主日」と呼ぶ。5日は復活祭前の木曜日で、イエスが弟子の足を洗った事から「洗足木曜日」と呼ぶ。イエスは十字架磔刑の前夜、12人の弟子たちと最後の晩餐をもった日だ。ローマ法王はサン・ジョバンニ・イン・ラテラノ大聖堂でイエスの故事に倣って聖職者の足を洗う。6日は「聖金曜日」でイエスの磔刑の日であり、「受難日」、「受苦日」とも呼ばれる。そして7日夜から8日にかけ法王は復活祭記念礼拝を挙行し、サン・ピエトロ大聖堂の場所から広場に集まった信者たちに向かって「Urbi et Orbi」(ウルビ・エト・オルビ)の公式の祝福を行い、一連の聖週間の行事を終える。
 ちなみに、オーストリアでは復活祭後の月曜日(9日)はイースターマンデーと呼ばれ、公式の祝日だが、グット・フライデー8日は祝日ではない。例えば、スイスやドイツではグットフライデーからイースターマンデーまで4日間連続の大型休日だ。
 バチカン法王庁によると、ベネディクト16世は復活祭の一連の行事を全てこなすという。85歳を迎えるドイツ人法王にとって肉体的にはかなりの負担となることは確実だ。