ソウルで開催された核安保サミットに参加し、29日には李明博大統領と青瓦台(大統領府)で会談したハンガリーのパール・シュミット大統領を母国では「大統領の博士号剥奪」というニュースが待っていた。
 ブタペストのセメルバイス大学評議員会は同日、「論文で引用されている箇所の出典が不明が多く、剽窃の疑いが強い」として、同大学が授与した博士号を剥奪すると決定した。評議員会の33人が剥奪を支持し、4人が反対だったという。
 シュミット大統領は有名なフェンシング選手でメキシコシティーとミュンヘンの夏季五輪大会で金メダルを獲得するなど民族的スポーツ選手だ。その大統領が1992年に提出した論文テーマは「新時代の五輪競技のプログラムについて」だ。
 調査によると、論文の180ページは亡くなったブルガリアのスポーツ学者ニコライ・ゲオルギエフ氏の本から、17ページはドイツのスポーツ学者クラウス・ハイネマン氏の本から、それぞれ剽窃していたことが明らかになったという。
 大統領の学位論文の剽窃を今年1月に暴露した週刊誌「hvg」は「180ページはブルガリア人学者から、17ページはドイツ学者から盗んだほか、10ページは国際五輪委員会のパンフレットから剽窃している」と指摘し、大統領の論文の“94・6%”は剽窃したものだ、と報じているほどだ。
 調査委員会の結果が出る前までは、大統領(2010年8月6日就任)に博士号を授与した大学側の責任を追及する声が強かったが、剽窃の規模が明らかになると、与党フィデスのゾルタン・ポコルニ副党首すら「大統領ポストの名誉を著しく傷つけた」として辞任を要求しているほどだ。博士号が剥奪されたことで大統領が1994年に獲得した教授資格も同時に喪失することになるのは確実だろう。
 欧州政治家の論文盗用問題はここ数年、メディアを賑わす機会が増えてきた。ドイツでカール・テオドル・グッテンベルク国防相が博士論文の盗用問題で閣僚ポストを引責辞任したことはまだ記憶に新しい。オーストリアでもカール・ハインツ・グラッサー元財務相や同国出身の欧州連合(EU)委員会のヨハネス・ハーン地域政策委員の博士論文の盗用がメデイアの話題になった。その意味で、ハンガリー大統領の論文剽窃問題ももはや珍しいスキャンダル事件ではなくなったわけだ。