神父不足を解消するために神父募集広告を出しているローマ・カトリック教会のことはこの欄でも紹介したが、欧州のカトリック教国スペインでも教会が神父不足を解決するため広告用ビデオを作製し、そこで「私たちはあなたに生涯の職場を保証します」と職を探す若者たちに語りかけている。そのビデオがスペインで好評を博しているという。オーストリア日刊紙クリアが24日、報じた。 
 スペインでは若者たちの失業率が50%にもなる。2人に1人が失業状況だ。彼らは安定した職場を求めるが、金融・財政危機の中、新規雇用を求める会社は多くない。大学を卒業しても臨時雇いや派遣社員のような職場しか見つからない。終身雇用を提供してくれるような職場は皆無に等しい。
 一昔前は公務員は給料は高くないが、一生、働ける安定した職場といわれてきた。だから、国内経済が厳しい時は公務員ポストが人気を呼び、公務員になる若者たちが増えたものだ。しかし、現在は事情が異なる。公務員も終身雇用が約束された職場ではなくなってきた。公務員も解雇される時代を迎えているのだ。
 例えば、ギリシャでは大量の公務員が解雇されている。アテネの次に財政危機に陥る候補国として名が挙げられているスペインでも公務員はもはや終身雇用を約束する夢の職場ではなくなりつつあるのだ。
 そのような中、スペインのカトリック教会は聖職者不足を解決するため人材を急募、その際「終身雇用の職場保証」をそのキャッチフレーズとして利用している。
 ビデオの内容を少し紹介する。若者が登場、少し照れながらは「どれだけの夢が実現しましたか。私はあなたに高給な職場を約束できませんが、終身雇用を保証します」と述べる。その直後、聖職者の服を着た人物が出てきて「これからは心弱く感じたりしないでしょう」、「心躍る人生を約束します」、「召命感を持つことができます」、「決して後悔しないでしょう」等のメッセージが次々と飛び出す、といった具合だ。
 スペイン教会司教会議は「ビデオを通じて多くの若者が召命感に目覚め、教会の戸を叩くのではないだろうか」と大きな期待を持っているという。