インターネット時代といわれて久しい。国境、民族の壁を越え、一瞬に意思を相手側に伝達できるのだ。独裁者や共産党政府が国民の携帯電話やインターネットのアクセスを制限したとしても、人は必ず意思伝達の手段を見つけ出すことができる時代に入った。
 当方はここでは北朝鮮のことを念頭に入れて考えている。北朝鮮で金正恩氏が登場して変化した点は、北の指導者たちが相手(国際社会)を意識して物事を以前よりも多く説明しようとする傾向が見られてきたことだ。
 金日成主席、金正日総書記時代、独裁者とその一党は国民に向かって命令をしても、国民にそれを理解できるように説明するということはなかった。しかし、3代目の金正恩氏が登場して以来、北当局は他者を意識して説明するようになった。食糧問題、人工衛星打ち上げ問題などでも金正恩氏は国民と国際社会の動向を意識している。
 金正恩氏はインターネット時代の落し子だ。コミュニケーションが頻繁となってきた時代に生まれたから、独裁政権を引き継いだ後も自然と意思表現の道を模索する。換言すれば、理解してもらおうと腐心する。政策ひとつを決定したとしても、それを説明しようとする。
 そんなことは故金総書記にはなかった。自分が決定したことで混乱する国際社会の動向をみて楽しんでいただけだ。コミュニケーションも一方的だった。それが金正恩氏の登場で北にもコミュニケーションが戻ってきたのだ。
 日韓の北朝鮮専門家は金正恩氏時代に入っても多くは変化しないだろうと予想してきた。30歳にもならない正恩氏は経験不足で叔父(張成沢国防委員会副委員長)や周囲の幹部たちによって牛耳られるだろうと推測してきたが、変化は確実にみられる。若い独裁者はその言動を他者に説明することに抵抗が少ないのだ。
 金正恩氏は意識する、しないにかかわらず、説明衝動にかられている。少し時間がかかったとしても、金正恩氏の登場で北は必然的に国際社会との共存を考えざるを得なくなるだろう、と予想できる理由でもある。