ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁で18日午前、枢機卿会議が開催され、22人の新枢機卿が正式に任命された。幸い、その日が土曜日だったので、当方は週末の買物を早く終え、テレビの前で任命式をライブで観た。
 新枢機卿はべネディクト16世の前で跪き、法王は枢機卿のシンボルであるビレタ(角帽)を新枢機卿の頭に被らせ、次に枢機卿指輪をはめる。22人の全ての新枢機卿に同じことを行う。ローマ法王は新枢機卿に話しかける場面もあった。米国人のドラン大司教の時、法王は顔を緩めて親しく語りかけていた。今回は2人のドイツ人聖職者が枢機卿に選出されたが、ドイツ出身のローマ法王はドイツ人の新枢機卿の番になると殊の外嬉しそうな顔をしていたのが非常に印象的だった。

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▲枢機卿の指輪=バチカン放送独語電子版のHPより

 ローマ・カトリック教会の聖職者にとって、ローマ法王を除けば、枢機卿は最高位ポジションだ。それだけに新枢機卿にとっては教会の頂点にたった気分かもしれない。新枢機卿はいずれも高潮した表情でビレタと指輪をもらっていた。
 ところで、今回、新枢機卿に与えられた枢機卿指輪のモチーフが従来とは違うという。枢機卿指輪は従来、表側がキリストの磔刑が描かれ、裏面はローマ法王の紋章だった。バチカン放送によると、「枢機卿指輪は今回、イエスの第1弟子ペテロと使徒聖パウロの2人を左右に分けて描いたモチーフとなっている」という。枢機卿指輪のモチーフがどうしてキリスト磔刑から2大弟子に変わったのか、バチカン側が説明していないので分からない。
 そこで当方なりに解釈する。キリスト磔刑は枢機卿たちもイエスと同じ十字架の道をいかなければならない、というメッセージが含まれていたはずだ。それを2人の弟子を描くことでキリスト磔刑の重苦しさから解放する一方、枢機卿たちに世界の再福音化の先頭に立ってほしいというべネディクト16世の願いが込められているのではないか。
 ちなみに、枢機卿の法衣は赤だ。神が最も愛する色は赤といわれる。悪魔はそのことを知っていたから、神を否定する共産主義世界を構築した後、無神論的共産主義世界のシンボルとして赤を利用したわけだ。共産主義者を昔、「アカ」と呼んだ時代があった。