国際原子力機関(IAEA)のハイレベル代表団が29日から31日までイランを訪問する。目的は「イランの核問題に関する全ての未解決問題の解明」だ。

▲IAEA代表団のハーマン・ナカーツ事務次長=IAEAのHPより
IAEAは過去8年間余り、イランの核関連活動が平和目的かどうかを検証してきたが、「今なお、イランの核関連活動が平和目的かどうかを検証できない」(天野之弥事務局長の「イラン核報告書」)状況下にある。だから、ハイレベル代表団といっても3日間余りの訪問で「全ての未解決問題が解明できる」と期待することは非現実的だろう。
ちなみに、アフマディネジャド大統領は26日、国連安保理国常任理事国とドイツを加えた6か国との協議再開に肯定的な姿勢を示したという。イランがIAEA代表団を招請したということは、テヘラン側にも何らかの譲歩の用意がある、と受け取られている。
天野事務局長は昨年11月8日、最新「イラン報告書」を理事国(35カ国)に提出したが、そこでIAEAはイランの核軍事容疑を初めて明示した。具体的には、核弾頭製造容疑、核兵器の部品試験、外国人専門家から起爆装置関連技術の獲得などだ。また、IAEAはテヘラン近郊のパルチン軍事基地で鉄鋼製コンテナを撮影した衛星写真を入手。同コンテナは高性能爆薬の実験用施設と受け取られている、といった具合だ。
IAEAの報告書内容を受け、欧米諸国は対イラン制裁を実施してきた。オバマ米大統領は昨年末、イラン制裁法案に署名し、イランの原油禁輸を決定。欧州連合(EU)も今月23日、原油禁輸を含む追加制裁措置に合意したばかりだ。
一方、イランは年末、ペルシャ湾で軍事演習を開始し、「ホルムズ海峡の封鎖」の可能性を示唆。今月2日には、長距離ミサイルの試射に成功。それに先立ち、イランは核燃料棒の製造に成功し、研究炉での試験を実施し、中部コム郊外フォルドウの地下施設でウランの濃縮作業を開始した。29日にはイラン議会はEUへの原油輸出を停止する法案を審議し、EUへ圧力を行使する見通しだ。
そのような緊迫した状況下、ハーマン・ナカーツ(Herman Nackaerts)事務次長が率いるIAEA代表団が今回、テヘランを訪問するわけだ。IAEA代表団とイラン当局間の交渉が暗礁に乗り上げるような事態となれば、テヘランの核兵器計画阻止で包囲網を組む欧米側と、それに抵抗するイランの間で軍事衝突する危険性が高まってくる。
いずれにしても、軍事衝突は欧米側にとってもイラン側にとっても願わしい選択肢ではないことは明らかだ。イランは火に油を注ぐようなことはすべきではない。

▲IAEA代表団のハーマン・ナカーツ事務次長=IAEAのHPより
IAEAは過去8年間余り、イランの核関連活動が平和目的かどうかを検証してきたが、「今なお、イランの核関連活動が平和目的かどうかを検証できない」(天野之弥事務局長の「イラン核報告書」)状況下にある。だから、ハイレベル代表団といっても3日間余りの訪問で「全ての未解決問題が解明できる」と期待することは非現実的だろう。
ちなみに、アフマディネジャド大統領は26日、国連安保理国常任理事国とドイツを加えた6か国との協議再開に肯定的な姿勢を示したという。イランがIAEA代表団を招請したということは、テヘラン側にも何らかの譲歩の用意がある、と受け取られている。
天野事務局長は昨年11月8日、最新「イラン報告書」を理事国(35カ国)に提出したが、そこでIAEAはイランの核軍事容疑を初めて明示した。具体的には、核弾頭製造容疑、核兵器の部品試験、外国人専門家から起爆装置関連技術の獲得などだ。また、IAEAはテヘラン近郊のパルチン軍事基地で鉄鋼製コンテナを撮影した衛星写真を入手。同コンテナは高性能爆薬の実験用施設と受け取られている、といった具合だ。
IAEAの報告書内容を受け、欧米諸国は対イラン制裁を実施してきた。オバマ米大統領は昨年末、イラン制裁法案に署名し、イランの原油禁輸を決定。欧州連合(EU)も今月23日、原油禁輸を含む追加制裁措置に合意したばかりだ。
一方、イランは年末、ペルシャ湾で軍事演習を開始し、「ホルムズ海峡の封鎖」の可能性を示唆。今月2日には、長距離ミサイルの試射に成功。それに先立ち、イランは核燃料棒の製造に成功し、研究炉での試験を実施し、中部コム郊外フォルドウの地下施設でウランの濃縮作業を開始した。29日にはイラン議会はEUへの原油輸出を停止する法案を審議し、EUへ圧力を行使する見通しだ。
そのような緊迫した状況下、ハーマン・ナカーツ(Herman Nackaerts)事務次長が率いるIAEA代表団が今回、テヘランを訪問するわけだ。IAEA代表団とイラン当局間の交渉が暗礁に乗り上げるような事態となれば、テヘランの核兵器計画阻止で包囲網を組む欧米側と、それに抵抗するイランの間で軍事衝突する危険性が高まってくる。
いずれにしても、軍事衝突は欧米側にとってもイラン側にとっても願わしい選択肢ではないことは明らかだ。イランは火に油を注ぐようなことはすべきではない。