
――先ず、日本国内の核関連施設でIAEAに未申告の核物質が見つかった件について聞きたい。
「この問題は1年ほど前からIAEAは日本と協議してきたテーマだ。ただし、核拡散問題ではなく、核物質の測量問題だ。日本がIAEAとの間で締結した保障措置協定(1976年)前の核物質だ。当時は核関連物質の申告測量システムが今のとは異なっていた。IAEAは日本側の核関連物質の管理については信頼している」
――報道によれば、これまでの調査で2・8キロの高濃縮ウラン(HEU)と4トン余りの低濃縮ウラン(LEU)が含まれていたという。
「その数字は、調査した262箇所の核関連施設で見つかった未申告核物質のトータルだ。一つの筒の中に2・8キロのHEUがあった、というわけではない。だから、核兵器使用のため保管されていた、といったものではない」
――しかし、韓国を含む外国では懸念の声がある。実際、イランのソルタニエIAEA担当大使は過去、日本の核兵器製造の意図すら疑う発言をしている。
「繰り返すが、日本で見つかった核物質は核拡散問題とは全く関係ないものだ」
――中川文部科学相は今月20日、訪日中の天野事務局長に調査を約束している。
「IAEAでは今月8日、日本の未申告核物質発見問題を協議した。日本とは来年1月、再度、この問題で話し合う予定だ。IAEAは日本の核関連物質の管理を信頼している」
――次に、北朝鮮の金正日労働党総書記が17日、死去した。IAEAとしては北の核問題はイラン問題と共に大きな課題だ。一部の報道によれば、北の新指導部は第3の核実験を実施する計画という。
「北の新指導部の意向は分らないが、IAEAとしては早期査察団の派遣を希望している点で変わらない。米朝間の核協議が現在、進行中だ。そこで6カ国協議の再開、IAEA査察団の受け入れ等が決まることを期待する。米朝協議の進展には楽観視している」
――IAEA側として北側と接触したり、協議する考えはないのか。
「われわれは独自に北外交官と独自に接触し、協議する考えはない。米朝協議の進展待ちだ」