スペインで20日、中道右派政党の国民党が単独過半数を獲得して7年ぶりの政権を奪回し、与党・社会労働党は緊縮政策への批判を受けて惨敗した。
 スペインの「政権交代」は欧州の財政・金融危機が表面化して以来、ユーロ国(17カ国)では5カ国目だ。
 財政危機下のアイルランドでは今年2月25日、下院総選挙で与党・共和党が敗北し、最大野党「統一アイルランド党」が大躍進した。ポルトガルでは6月5日、議会選挙で野党第一党の中道右派・社会民主党がソクラテス首相の与党社会党を破り、約6年ぶりに政権交代を実現。巨大な債務を抱えるギリシャでは今月、ババンドレウ政権が解散し、暫定連立政権のパパデモス新政権が発足したばかりだ。そしてユーロ圏第3番目の経済大国イタリアでも信用不安を機にベルルスコーニ首相が辞任に追い込まれ、モンティ新政権が誕生した。
 その他、年金改革など財政建て直しを迫られているスロベニアの中道左派の現連立政権は9月21日、議会の不信任を可決されている。また、スロバキアも先月、ラディツォバー首相が政権交代を条件に欧州金融安定化基金(EFSF)の拡充を承認したばかりだ。その為、近い将来、両国で政権交換が実施される公算が高いわけだ。
 上記の5カ国プラス2カ国での「政権交代」の背景には、国の政情や事情は異なるが、経済・金融危機、それに伴う緊縮政策の実施が有権者の反発を買ったという共通点がある。
 経済・金融危機が発生後、総選挙が行われ、政権を維持できた国は欧州連合(EU)加盟国ではポーランドだ。同国で10月9日、議会選挙が行われたが、トゥスク首相率いる中道保守政党「市民プラットフォーム」が勝利。今月18日に第2次内閣が発足したばかりだ。ユーロ未加盟の同国国民経済はEU27カ国の中でも最も安定成長を続けている。ウィーンの国際経済研究所(WIIW)によると、ポーランドの国内総生産(GDP)は今年、3・8%、来年度は4・2%のプラス成長が予測されている。
 問題は、政権交代に成功した政党も政権発足後、健全財政を実現するために緊縮政策を継続していかなければならないことだ。その意味で、欧州の政界は今、文字通り、“冬の季節”を迎えている。そして、緊縮政策を継続していくためには、国民の理解が不可欠だ。政府と国民の間のコミュニケーションが一層、大切となるわけだ。