オーストリアのローマ・カトリック教会司教会議は先日、ザルツブルクで秋季総会を開いた。そこでは教会の刷新運動についても話し合いがもたれたという。
司教会議議長のシェーンボルン枢機卿は11日、ウィーンでの記者会見で「教会の刷新はバチカン第2公会議の偉大な精神だ。われわれはその精神を継承するが、教会の一部で行われている運動は短絡的であり、教会のアイデンティティを損い、教会の統合を危機に陥れるものがある」と指摘した。
具体的には、ヘルムート・シューラー神父(59)を中心に300人以上の神父たちが女性聖職者の任命、聖職者の独身制の廃止、離婚・再婚者の聖体拝領許可など7項目を要求、教会指導部への不従順を呼びかけている「不従順への布告、神父たちのイニシャチブ」運動のことだ。当コラム欄で過去、同運動について2度、紹介済みだ(「『教会の改革』を叫ぶ神父たち」2011年8月19日、「カトリック教会の『建前』と『現実』」11年9月23日)。
シューラー神父らは7月と9月の2回、ウィーン大教区でシェーンボルン枢機卿と会合したが、「ローマ(バチカン法王庁)の路線に反する」として拒否され、要求撤回と教会方針への従順を求められたばかりだ(同運動は今月6日、リンツで年次総会を開催した。現在、370人以上の聖職者が同運動を支援しているという)。
司教会議の報道用声明文によると、「多くのカトリック信者は不従順を求める聖職者たちの運動に首を傾げているばかりか、憂慮すらしている」と強調し、「教会で従順であることは盲目でも奴隷でもない。しかし、不従順は黙認できない戦闘用語だ」という。
もちろん、改革派が要求する「女性聖職者の叙階」や「聖職者の独身制廃止」などはオーストリア教会次元で決定できるテーマではない。世界教会が協議し、決定しなければならない問題だ。ただし、各国の司教会議は聖職者や信者たちの願いをバチカン法王庁に伝えることは可能だ。
驚くべき事に、司教会議は「オーストリア教会は考えられている以上に生き生きしている。各教区では宣教的な牧会活動もみられる」と、楽観的な評価を下しているのだ。
オーストリアのカトリック教会では昨年、8万7393人の信者が教会から去った。前年度脱会者数は5万3269人だから、64%増だ。脱会者急増の原因については、「聖職者による未成年者への性的虐待事件の発覚」が先ず挙げられる。1件、2件ではない。1000件に迫る件数だ。
教会指導部ともいうべき司教会議は教会の現状を正しく把握しているのだろうか、といった不安を感じる。少なくとも、教会改革派と司教たちの間には現状認識で大きな「格差」がある。
【短信】聖職者の性犯罪と賠償金支払い
ベルギーとオランダ両国のローマ・カトリック教会は聖職者の未成年者への性的虐待問題の犠牲者への賠償金問題で前進した。バチカン放送(独語電子版)が先日報じた。
ベルギーでは現在、聖職者の性的犯罪の被害届件数は700件以上にものぼる。大多数は既に時効となっている。アントウエルペン教区の司教広報担当官によれば、聖職者の性犯罪問題に関する牧会文書の作成を進めているという。同時に、賠償金支払いの規則を発表した。
ベルギー教会では昨年4月、ロジャー・バンゲルーべ司教が甥に長い期間、性的虐待を繰り返してきたことを告白し、教会内外に大きな衝撃を投じた(同司教はその直後、辞職)。また、第2バチカン公会議で「ペリトゥス」(専門助言者)を務めたフランソワ・フタール神父(85)が、1970年代、当時8歳の甥に性的虐待を加えたことを認めている、といった具合だ。同時に、議会で聖職者の性犯罪問題の調査委員会が設置され、その対応について協議が行われた。
一方、オランダ教会では 修道院系学校で60年代から70年代にかけ、修道僧による性犯罪が起きた。同国司教会議と修道院側は7日、賠償金の規約を公表した。それによると、被害の程度によって、5000ユーロから2万5000ユーロまでの賠償金が支払われる。特別なケースの場合、最高10万ユーロまでという。
司教会議議長のシェーンボルン枢機卿は11日、ウィーンでの記者会見で「教会の刷新はバチカン第2公会議の偉大な精神だ。われわれはその精神を継承するが、教会の一部で行われている運動は短絡的であり、教会のアイデンティティを損い、教会の統合を危機に陥れるものがある」と指摘した。
具体的には、ヘルムート・シューラー神父(59)を中心に300人以上の神父たちが女性聖職者の任命、聖職者の独身制の廃止、離婚・再婚者の聖体拝領許可など7項目を要求、教会指導部への不従順を呼びかけている「不従順への布告、神父たちのイニシャチブ」運動のことだ。当コラム欄で過去、同運動について2度、紹介済みだ(「『教会の改革』を叫ぶ神父たち」2011年8月19日、「カトリック教会の『建前』と『現実』」11年9月23日)。
シューラー神父らは7月と9月の2回、ウィーン大教区でシェーンボルン枢機卿と会合したが、「ローマ(バチカン法王庁)の路線に反する」として拒否され、要求撤回と教会方針への従順を求められたばかりだ(同運動は今月6日、リンツで年次総会を開催した。現在、370人以上の聖職者が同運動を支援しているという)。
司教会議の報道用声明文によると、「多くのカトリック信者は不従順を求める聖職者たちの運動に首を傾げているばかりか、憂慮すらしている」と強調し、「教会で従順であることは盲目でも奴隷でもない。しかし、不従順は黙認できない戦闘用語だ」という。
もちろん、改革派が要求する「女性聖職者の叙階」や「聖職者の独身制廃止」などはオーストリア教会次元で決定できるテーマではない。世界教会が協議し、決定しなければならない問題だ。ただし、各国の司教会議は聖職者や信者たちの願いをバチカン法王庁に伝えることは可能だ。
驚くべき事に、司教会議は「オーストリア教会は考えられている以上に生き生きしている。各教区では宣教的な牧会活動もみられる」と、楽観的な評価を下しているのだ。
オーストリアのカトリック教会では昨年、8万7393人の信者が教会から去った。前年度脱会者数は5万3269人だから、64%増だ。脱会者急増の原因については、「聖職者による未成年者への性的虐待事件の発覚」が先ず挙げられる。1件、2件ではない。1000件に迫る件数だ。
教会指導部ともいうべき司教会議は教会の現状を正しく把握しているのだろうか、といった不安を感じる。少なくとも、教会改革派と司教たちの間には現状認識で大きな「格差」がある。
【短信】聖職者の性犯罪と賠償金支払い
ベルギーとオランダ両国のローマ・カトリック教会は聖職者の未成年者への性的虐待問題の犠牲者への賠償金問題で前進した。バチカン放送(独語電子版)が先日報じた。
ベルギーでは現在、聖職者の性的犯罪の被害届件数は700件以上にものぼる。大多数は既に時効となっている。アントウエルペン教区の司教広報担当官によれば、聖職者の性犯罪問題に関する牧会文書の作成を進めているという。同時に、賠償金支払いの規則を発表した。
ベルギー教会では昨年4月、ロジャー・バンゲルーべ司教が甥に長い期間、性的虐待を繰り返してきたことを告白し、教会内外に大きな衝撃を投じた(同司教はその直後、辞職)。また、第2バチカン公会議で「ペリトゥス」(専門助言者)を務めたフランソワ・フタール神父(85)が、1970年代、当時8歳の甥に性的虐待を加えたことを認めている、といった具合だ。同時に、議会で聖職者の性犯罪問題の調査委員会が設置され、その対応について協議が行われた。
一方、オランダ教会では 修道院系学校で60年代から70年代にかけ、修道僧による性犯罪が起きた。同国司教会議と修道院側は7日、賠償金の規約を公表した。それによると、被害の程度によって、5000ユーロから2万5000ユーロまでの賠償金が支払われる。特別なケースの場合、最高10万ユーロまでという。
