ウィーンに本部を置く国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は8日夜(日本時間9日未明)、24頁に及ぶ最新「イラン核報告書」を35カ国の理事国に提示した。
同報告書では、イランが核兵器製造関連活動を遂行してきたことを示し、「イランは核兵器製造を目指している」と明言している。
報告書の内容を受け、欧米諸国やロシア、中国、そしてイスラエルでさまざまな反応が見られる。そこで今回、「イラン核報告書」に対する国際社会の反応をまとめた(情報源は主に国際通信社が配信したニュースに基づく)。なお、IAEAが発表した「イラン核報告書」全文のサイトを紹介する。
米国務省報道官「IAEAの報告書内容を慎重に検討中」と指摘し、他国の反応を見ながら対イラン制裁の強化に乗り出す意向だ(米国はIAEAの「イラン核報告書」の主要情報源)。
ロシア外務省「イランの核問題を外交を通じて解決しようとする努力を水泡に帰すものだ」と批判。ロシアはイラン初の原発ブシェールを建設した国(ロシア科学者がイランに核弾頭製造技術を提供した)。
フランス・ジュペ外相「(イスラエルの武力行使について)軍事攻撃は中東地域に恐ろしい結果をもたらす。イランに対しては制裁強化で対応すべきだ」と主張。同外相は9日、イランの核問題で国連安保理招集を呼びかけた。
英国「イランが交渉のテーブルに着かない場合は同国の孤立がさらに深まり、衝突のリスクが高まる」(ロイター通信)と警告。
独ウェスターウェレ外相は「イランの核兵器計画は絶対黙認できない。新たな制裁を実施すべきだ」
イランのアフマディネジャド大統領「イランは核兵器を必要としない。IAEAの報告は米国の主張の代弁に過ぎない。イランは核計画で絶対後退しない」(イラン国営放送)と主張。7日には、アラブのメディア機関に対し、「イスラエルとアメリカはわが国の国力が高まることを恐れ、国際社会を動員してわが国の発展を阻止するため武力行使を計画している。わが国の核計画は核兵器製造目的ではなく、平和利用目的だ」と強く反論。
イランのサレヒ外相は7日「西側諸国がイランに武力攻撃を行えば、世界の安全保障にとって脅威になる」(ロイター通信)と強調した。
イスラエル首相執務室「報告内容を検討中」という。IAEA報告書に対しては、「わが国のこれまでの主張が追認された」と受け取り、歓迎。イスラエルのペレス大統領は先週末、「イランの核問題の解決はもはや外交を通じて実現するより、軍事的手段のほうが現実的となってきた」と指摘、同国がイランの核関連施設を空爆する可能性を示唆した。
中国外務省の洪磊報道官「わが国はこの報告を検討中だ」とした上で、「IAEAとイランの協力強化は、核問題の全面的、長期的、そして適切に解決する的確な道で、当面の急務」と強調した(中国国際放送局)。中国共産党機関紙は軍事衝突の危険性を警告している。
【解説】
欧米諸国が対イラン制裁の強化でほぼ一致する一方、ロシアと中国両国は慎重な姿勢を崩していない。米国も世界の原油市場に影響を及ぼす制裁の実施には反対。ただし、安保理が対イラン制裁強化で躊躇していると、イスラエルがイランの核関連施設への攻撃を単独で仕掛ける可能性が高まる。それだけに、欧米諸国はロシアと中国両国にイランの核兵器製造の危機を説得し、イスラエルが満足する対イラン制裁強化に乗り出すことができるかが大きな問題となる。
IAEAのイラン核報告書サイト
同報告書では、イランが核兵器製造関連活動を遂行してきたことを示し、「イランは核兵器製造を目指している」と明言している。
報告書の内容を受け、欧米諸国やロシア、中国、そしてイスラエルでさまざまな反応が見られる。そこで今回、「イラン核報告書」に対する国際社会の反応をまとめた(情報源は主に国際通信社が配信したニュースに基づく)。なお、IAEAが発表した「イラン核報告書」全文のサイトを紹介する。
米国務省報道官「IAEAの報告書内容を慎重に検討中」と指摘し、他国の反応を見ながら対イラン制裁の強化に乗り出す意向だ(米国はIAEAの「イラン核報告書」の主要情報源)。
ロシア外務省「イランの核問題を外交を通じて解決しようとする努力を水泡に帰すものだ」と批判。ロシアはイラン初の原発ブシェールを建設した国(ロシア科学者がイランに核弾頭製造技術を提供した)。
フランス・ジュペ外相「(イスラエルの武力行使について)軍事攻撃は中東地域に恐ろしい結果をもたらす。イランに対しては制裁強化で対応すべきだ」と主張。同外相は9日、イランの核問題で国連安保理招集を呼びかけた。
英国「イランが交渉のテーブルに着かない場合は同国の孤立がさらに深まり、衝突のリスクが高まる」(ロイター通信)と警告。
独ウェスターウェレ外相は「イランの核兵器計画は絶対黙認できない。新たな制裁を実施すべきだ」
イランのアフマディネジャド大統領「イランは核兵器を必要としない。IAEAの報告は米国の主張の代弁に過ぎない。イランは核計画で絶対後退しない」(イラン国営放送)と主張。7日には、アラブのメディア機関に対し、「イスラエルとアメリカはわが国の国力が高まることを恐れ、国際社会を動員してわが国の発展を阻止するため武力行使を計画している。わが国の核計画は核兵器製造目的ではなく、平和利用目的だ」と強く反論。
イランのサレヒ外相は7日「西側諸国がイランに武力攻撃を行えば、世界の安全保障にとって脅威になる」(ロイター通信)と強調した。
イスラエル首相執務室「報告内容を検討中」という。IAEA報告書に対しては、「わが国のこれまでの主張が追認された」と受け取り、歓迎。イスラエルのペレス大統領は先週末、「イランの核問題の解決はもはや外交を通じて実現するより、軍事的手段のほうが現実的となってきた」と指摘、同国がイランの核関連施設を空爆する可能性を示唆した。
中国外務省の洪磊報道官「わが国はこの報告を検討中だ」とした上で、「IAEAとイランの協力強化は、核問題の全面的、長期的、そして適切に解決する的確な道で、当面の急務」と強調した(中国国際放送局)。中国共産党機関紙は軍事衝突の危険性を警告している。
【解説】
欧米諸国が対イラン制裁の強化でほぼ一致する一方、ロシアと中国両国は慎重な姿勢を崩していない。米国も世界の原油市場に影響を及ぼす制裁の実施には反対。ただし、安保理が対イラン制裁強化で躊躇していると、イスラエルがイランの核関連施設への攻撃を単独で仕掛ける可能性が高まる。それだけに、欧米諸国はロシアと中国両国にイランの核兵器製造の危機を説得し、イスラエルが満足する対イラン制裁強化に乗り出すことができるかが大きな問題となる。
IAEAのイラン核報告書サイト