駐オーストリアの北朝鮮・金光燮大使が先月初め、3カ月余りの夏期休暇を終え、ウィーンに帰任したことは既に報告した。
今回は、金大使(金敬淑夫人は故金日成主席と金聖愛夫人の間の娘)が帰任後、最初に取り組んだ仕事について紹介する。
金大使は帰任後、真っ先にオーストリア外務省アジア担当官とアポイントメントを取り、ウィーン外務省を訪問。そこで帰任報告と共に、「わが国は国際原子力機関(IAEA)との関係改善に努めている。その旨をIAEA側に伝えて欲しい」と要請したというのだ。
金正日労働党総書記はロシアや中国首脳との会談で、「6カ国協議の無条件再開」の意思表明を繰り返してきた。そこで金総書記はIAEA本部のあるウィーン担当の金大使に、その意向をIAEA側に伝達するよう指令。それを受け、金大使は帰任後、直ぐにオーストリア外務省に電話したという流れだろう。
問題は、なぜ金大使は直接、IAEA査察局マルゾ部長(アジア担当)に連絡を取り、そこで金総書記の意向を伝えず、オーストリア外務省に伝達を依頼するような煩わしい方法を選んだか、ということだ。北はIAEAから脱退したが、駐オーストリアの北大使館には、IAEA問題担当の Han Won Jong 参事官がいるのだ。
その疑問に対し、国連の北消息筋は、「金大使はIAEAに直接伝達することも考えたが、その場合、北側の意向を誤解して解釈される危険性が排除できない。その懸念を回避するためにオーストリア外務省経由の道を取ったのだろう」と説明した。
北側が恐れる誤解とは、「北側はIAEAと関係修復を強いられている、といった印象を与える」ことだ。換言すれば、北は弱みを見せたくないのだ。
ちなみに、IAEAが北の核関連施設を査察・検証できた期間は、(1)1994年5月から2002年12月まで、(2)02年末から07年7月までだ。北側がIAEA査察官を国外追放した09年4月から今日まで、IAEAは北の核関連施設へのアクセスを失っている。そのため、「北の核問題を検証できない状況」がこれまで続いてきた。
北側がIAEAとの関係修復に乗り出してきた背景には、6カ国協議のホスト国中国の意向が反映していると考えられるが、米国が6カ国協議の無条件再開に強く反対している以上、早急な再開は目下、厳しい。
そこで北側がIAEAとの関係修正のシグナルを発信することで、米国に6カ国協議の無条件再開に誘導する狙いがあるのかもしれない。
いずれにしても、金大使の帰任後最初の仕事は、複雑な政治的思惑が絡んでいる、といえるだろう。
今回は、金大使(金敬淑夫人は故金日成主席と金聖愛夫人の間の娘)が帰任後、最初に取り組んだ仕事について紹介する。
金大使は帰任後、真っ先にオーストリア外務省アジア担当官とアポイントメントを取り、ウィーン外務省を訪問。そこで帰任報告と共に、「わが国は国際原子力機関(IAEA)との関係改善に努めている。その旨をIAEA側に伝えて欲しい」と要請したというのだ。
金正日労働党総書記はロシアや中国首脳との会談で、「6カ国協議の無条件再開」の意思表明を繰り返してきた。そこで金総書記はIAEA本部のあるウィーン担当の金大使に、その意向をIAEA側に伝達するよう指令。それを受け、金大使は帰任後、直ぐにオーストリア外務省に電話したという流れだろう。
問題は、なぜ金大使は直接、IAEA査察局マルゾ部長(アジア担当)に連絡を取り、そこで金総書記の意向を伝えず、オーストリア外務省に伝達を依頼するような煩わしい方法を選んだか、ということだ。北はIAEAから脱退したが、駐オーストリアの北大使館には、IAEA問題担当の Han Won Jong 参事官がいるのだ。
その疑問に対し、国連の北消息筋は、「金大使はIAEAに直接伝達することも考えたが、その場合、北側の意向を誤解して解釈される危険性が排除できない。その懸念を回避するためにオーストリア外務省経由の道を取ったのだろう」と説明した。
北側が恐れる誤解とは、「北側はIAEAと関係修復を強いられている、といった印象を与える」ことだ。換言すれば、北は弱みを見せたくないのだ。
ちなみに、IAEAが北の核関連施設を査察・検証できた期間は、(1)1994年5月から2002年12月まで、(2)02年末から07年7月までだ。北側がIAEA査察官を国外追放した09年4月から今日まで、IAEAは北の核関連施設へのアクセスを失っている。そのため、「北の核問題を検証できない状況」がこれまで続いてきた。
北側がIAEAとの関係修復に乗り出してきた背景には、6カ国協議のホスト国中国の意向が反映していると考えられるが、米国が6カ国協議の無条件再開に強く反対している以上、早急な再開は目下、厳しい。
そこで北側がIAEAとの関係修正のシグナルを発信することで、米国に6カ国協議の無条件再開に誘導する狙いがあるのかもしれない。
いずれにしても、金大使の帰任後最初の仕事は、複雑な政治的思惑が絡んでいる、といえるだろう。