当方は13日午前4時頃(ウィーン時間)、目が醒めたのでインターネットで記事を追っていた時、北朝鮮・金正日労働党総書記の孫、長男・金正男氏の息子、金ハンソル君(16)が12日、ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ空港に到着したというニュースが目に入ってきた。
 「ハンソル君がボスニア入りしたのか」
 当方にとって、予想外だった。知人の北外交官も何度も「考えられないことだね」と語っていたからだ。
 ところで、ボスニア入国ニュースは正しいだろうか。そこで「ハンソル君が本当にボスニア入りしたか」を確認する作業に取り掛かった。
 記事によれば、ハンソル君は12日、ウィーンからサラエボ空港に飛んだという。そこで同日の「ウィーン―サラエボ」間の飛行機便を調べたら、13時と20時25分の2本の直行便があった。ハンソル君はウィーンからサラエボに飛ぶことはできたわけだ。
 次に、「ハンソル君はウィーンで北外交官と接触した足跡があるか」を調べた。一人の北外交官は、「ハンソル君がボスニア入りしたのを初めて知った。少々、サプライズだね」と述べた。
 同外交官の発言は多分、正しいだろう。なぜならば、ハンソル君はボスニア入国ビザ(就学ビザ)を入手していたが、シェンケン・ビザを入手していないからだ。北国籍保有者がシェンケン・ビザを得ることは非常に難しいからだ。
 ということは、ハンソル君はウィーン経由でボスニアに直行したのだ。ウィーン市内で宿泊したり、空港外で出ることはできなかったと考えざるを得ないのだ。
 以上、ハンソル君のボスニア入国を検証してみた。ただし、同君が実際、入国し、学校(ボスニア南部モスタルのユナイテッド・ワールド・カレッジ・モスタル分校)に入学したかどうかはウィーンにいる当方には確認できない。ただし、韓国の連合ニュースは13日、ボスニア政府関係者の発言を紹介し、ハンソル君のボスニア入りを確認している。サラエボ発の記事だ。
 以上から、金ハンソル君がボスニアに入国したと考えざるを得ないわけだ。