ウィーンの国連で5日午前、新しく独立国となった南スーダンの国旗掲揚式典が挙行された。193番目の国連加盟国となった南スーダンの国旗は国連工業開発機関(UNIDO)の建物があるDビル入口に近いポールに掲揚された。

BILD2544
▲ウィーン国連で掲揚された南スーダンの国旗=2011年8月5日、アブドラ・シェリフ氏提供

 新しい国家が誕生すれば、国旗も一つ増え、国連内のシートも一席増す。モンテネグロが独立国家(2006年6月)となった時も、国連加盟直後、ウィーンの国連で同国の国旗掲揚式が行われたことを思い出した。
 当方は当時、同式典を見ながら、「世界は緩やかだが、統合に向かっている一方、人口約60万人の新しい小国家がまた生まれた。統合と解体・分裂という相反するプロセスが同時進行している」と強く感じたものだ。
 今回もその思いに大きな変化はないが、内戦を繰り返し、多くの犠牲者を出したスーダンの歴史を思い出す時、結局は「一度は独立しないと再統一は難しいだろう」という諦観に似た思いが湧いてきた。
 南スーダンは7月9日、正式に独立国家となった。それまでの長い戦いの歴史を知る者にとって、「よく独立を獲得できた」という思いがするが、「今後は独立国として国を発展させていかなければならない。大丈夫だろうか」という一抹の不安を感じてしまう。難問は、最大の油田地帯アビエイ(Abyei)の帰属問題だけではない。
 北アフリカ、中東では現在、独裁政権から民主政権へ移行する時期を迎えている。欧米大国による植民地時代、その後の軍事独裁政権などを経て、民主化政権の誕生を目指しているわけだ。シリアでは独裁政権と民主化勢力とが激しく衝突を繰り返している。そのような変遷の時代にキリスト教徒が多いアフリカ系民族の南スーダンが独立したわけだ。
 潘基文国連事務総長は先月14日、国連総会で「南スーダンを国連家族の一員として歓迎します。南スーダンの首都ジュバで7月9日、独立祝賀式が開催された時、新国家のエネルギーと国民の純粋な喜びを強く感じました」と述べている。そうあってほしい。
 独立を獲得するまでの歴史は終わった。これからは国民と共に国作りの時を迎えている。この道はひょっとしたら独立までの道より厳しいかもしれないが、もはや後戻りできない。南スーダン国民の新しい国作りが成功することを期待する。同時に、北部スーダンとの連携を忘れないで欲しい。
 なお、先月のジュバの独立祝賀式に参加して戻ってきたスーダンの知人アブドラ・シェリフ氏に新国旗を説明してもらった。
 「黒はアフリカ大陸を、赤は革命を、緑は豊かな大地を、青は水をそれぞれ意味している。星は昔、赤色で描かれたが、新国旗では白色の星だ」