アフリカの最大人口を誇るナイジェリアでイスラム過激派グループ「ボコ・ハラム」(西洋の教育は罪)の動向が大きな懸念となってきた。
 ナイジェリアは、1960年の独立後、クーデター、内戦を繰り返してきた。99年にキリスト教徒のオバサンジョ大統領が就任し、軍政から民政に移行した。同国は36州から構成された連邦国家だ。北部はイスラム教徒、南部はキリスト教徒、アニミズムを信仰する住民が住んでいる。人口的には約半分がイスラム教徒、約40%がキリスト教徒だ。
 北部を拠点とするボコ・ハラムはここにきて武装闘争を展開させ、宗教対立を激化させている。ボルノ州では今年に入り、警察署などを狙ったゲリラ攻撃により、150人以上が死亡。首都アブジャでは先月、警察本部で爆弾事件が勃発したばかりだ。いずれも「ナイジェリアのタリバーン」と呼ばれるボコ・ハラム派の仕業と受け取られている。同派は北部だけではなく、南部と中部にもその影響力を伸ばしてきている。
 AFP通信が今月21日報じたところによると、同国北部プラトー州の州都ジョスでキリスト教徒とイスラム教徒が衝突し、5人が殺害され、12人が重軽傷を負っている。
 バチカン放送(独語電子版)によると、ナイジェリアのカトリック司教会議はボコ・ハラム派の武力構成が深刻なボルノ州に緊急事態宣言を発して取締りを強化すべきだとグトラック・ジョナサン大統領に要請したが、同大統領はそれを拒否し、ボコ・ハラム派との対話を通じて解決を模索しているという。
 同国では国民の貧富の差が大きく、政治指導者の腐敗が国の発展の障害となっている。若者たちは将来への見通しを失い、失業者も多い。そのような社会的状況下でイスラム教国家の建設を標榜するイスラム過激派ボコ・ハラム派がその勢力を伸ばしてきたわけだ。
 ちなみに、世界基督教統一神霊協会(通称・統一協会)創設者文鮮明師は今月、ナイジェリアを訪問し、ジョナサン大統領と会見。その直後、アブジャで開催中の国際会議に出席し、90カ国から500人余りの各界指導者たちを含む約3000人の聴衆の前で5時間余り神の心情を訴え、「神のもとに一つの家族となるべきだ」と訴えるなど、宗派、民族の一体化を訴えている。