オーストリアのヨゼフ・プレル財務相(副首相兼任、「国民党」党首)は13日、自身の健康問題(肺塞栓症)を理由に政界から引退を表明した。
 42歳の同財務相は引退表明の記者会見で「現在の政界は重要な問題を討議することより、些細な人気取りが支配し、政治家としての規律も弛んでいる」と失望を表明する一方、過去8年間の政治家としての歩みには満足を表明した。特に、金融危機に端を発した欧州連合(EU)の経済危機に対して、「わが国は他の加盟国と比べてダメージを余り受けることなく克服した」と財務相としての実績を挙げている。
 同財務相は先月、スキー休暇中に肺塞栓症を再発して、インスブルックに緊急入院中だった。イースター明けには政界に復帰すると予想されていただけに、国民党だけではなく、連立政権パートナー、社会民主党にも衝撃を与えた。
 同財務相はシュッセル政権下で農林・環境相に就任したのを皮切りに、副首相、財務相などを歴任、国民党の「希望の星」と受け取られてきた。それだけに、同財務相の突然の政界引退表明に国民も驚いている。
 ファイマン首相(社民党党首)は同日、財務相の政界引退が健康問題であることを確認し、後任の国民党の新党首とも良き関係を維持していきたい意向を明らかにしている。
 同国のメディアは14日、プレル財務相の政界引退表明をトップで大きく報道したが、多くは健康を優先して政界から引退決意した財務相を評価している。メディアによると、同財務相は政界引退後、オーストリアの主要銀行のポストに就任するという。
 一方、国民党は14日、党幹部会を招集し、ミヒャエル・シュビンデルエッガー外相をプレル党首の後任に全会一致で選出した。同外相は5月20日に招集される党大会で正式に党首に就任する。
 なお、同国の世論調査によると、国民党は同党出身の欧州議会議員の不法ロビー活動や腐敗問題などが表面化し、国民の支持率は急落、野党の極右政党自由党にも抜かれ第3党に後退している。2013年に実施予定の総選挙までに同党の立ち直しが新党首の急務の課題となる。