日本の歴史上、最大の自然災害といわれる東日本大震災から今月11日で1カ月が過ぎた。多くの被災者は仮住まいを余儀なくされ、不明となった家族の行方を必死に探す被災者の姿は痛々しい。
 ところで、世界からの救援支援に対し、菅直人首相は「世界の絆に感謝します」(「Thank you for the Kizuna」)という内容のメッセージを韓国の朝鮮日報や英紙フィナンシャル・タイムズなど世界の主要メディアに掲載したという。
 日本赤十字社と中央共同募金会に集められたこれまでの義援金は計約1300億円にもなる。世界からの被災者への支援金だ。それに対し、日本政府代表が感謝を表明することは至極当然だろう。外務省出身の著名な評論家・佐藤優氏がブログで「日本政府は主要メディアを通じて感謝の意を表明すべき時だ」と提案していたが、それが実現されたわけだ。
 被災者を支援する人々は感謝を期待しているとは思わないが、感謝されれば、やはり嬉しいものだ。その人情を大切にすべきだろう。感謝は支援者に喜びを返す行為だ。その意味で、ギブ・アンド・テイクだ。
 日本は過去、世界に情報を発信することが得意ではなかった。湾岸危機でイラクからクウェートを解放した際、多くの財政支援を行ってきた日本の名前はクウェート政府の「感謝リスト」の中にはなかった、という苦い思い出を想起する人も少なくないはずだ。
 ルーマニアの民主革命時、フランスなど欧州諸国は医療団を派遣した。その支援活動は世界に即、流された。同時期、日本からも医療団がブカレストに派遣され、救援活動を実施していたが、その活動は世界に最後まで知られなかった。日本側が発信しなかったからだ。
 東日本大震災は多くの犠牲を生み出したが、また学ぶことも少なくないはずだ。福島原発の危機で冷却用電源の確保や津波対策など多くの課題が明らかになったことで、今後の原発の安全対策に生かされる。今回の菅首相の感謝表明も「情報の発信」という点で画期的なステップだ。
 欧米の夫婦は日に何度も「アイ・ラブ・ユー」という。日本人からみたら少々滑稽かもしれないが、欧米社会では当然のことだ。相手のことを思って情報を発信することが重要だ。
 東日本大震災から1カ月が過ぎた。今後の復興の道も決して平坦ではないだろう。しかし、復興の一歩、一歩を世界に知らせていく努力が大切だ。それは支援を受けた者の義務だ。そして、復興プロセスを通じて「どのような事態でも負けず、乗り越えていく」という「希望」を世界に発信したいものだ。