福島第一原発危機は世界の耳目を集め、原発の安全性について改めて議論を呼んでいるが、核開発を続けるイランと北朝鮮は今回の福島の原発危機をどのように受け止めているのだろうか。駐ウィーンの両国外交官に単刀直入、聞いてみた。

 イランの外交官は「被災を受けた日本人に対して哀悼の意を表明したい。わが国も過去、多くの地震で被害を受けてきた国だ。その意味で、日本人の苦悩はよく理解できる」と語る一方、「わが国の核計画には何の変化もないだろう。もちろん、原発の安全性問題はこれまで以上に慎重に対応していくだろうが、原発開発計画には変更はないはずだ」と説明した(イランのアハマディネジャド大統領は先日、「最新の安全規制を順守している」と豪語している)。

 ――イランは日本と同様、地震の多発国だ。福島原発は地震とそれに伴った津波で被害を受けた。

 「全ての科学分野の開発では危険が常に伴うものだ。危険があるからといって科学技術の開発を放棄することはできないだろう。例えば、飛行機の場合、離陸と着陸の時がもっと危険だといわれてきた。だからといって、飛行機の開発や飛行を止めることはなかった。同じことが原発開発にもいえる」と主張し、「わが国の核開発計画は問題がない」と強調した(同国初の原発、ブシェール原発が昨年8月、原子炉に核燃料を装填したばかりだ)。

 ――ドイツやイタリアなど欧州では今回の福島の原発危機が契機となって原発利用の廃止論が再び高まっている。

「欧州では原発問題は政治議題だが、わが国の場合、エネルギー問題に過ぎない」


 知人の北朝鮮外交官は「犠牲となった多くの日本人には哀悼を表明するよ」と述べた。

 ――北朝鮮の国営メディアは福島の原発の危機に関する報道を流していますが、北の核開発の変更は考えられますか。

 知人は軽く笑顔を見せた後、「わが国の核開発計画に大きな変化はないだろう。エネルギー源として核エネルギーの平和利用は重要だからだ」という。

 ――白頭山の地震予測と第3回の核実験の危険性について。

 「それは深刻な問題だが、私からは何もいえないね」と述べるに留めた(白頭山火山活動について、韓国と北両国は今月29日、専門家協議を開催予定)。

 韓国連合ニュースによれば、朝鮮中央通信社(KCNA)が12日、外電で東日本の地震を報道。翌日の13日、朝鮮中央テレビが日本で地震発生と報道し、津波の映像も伝えた。14日にはKCNAが朝鮮赤十字会が日本赤十字社に哀悼の言葉を伝えたと報じている。
 また、福島の原発危機については、KCNAはNHKの報道内容を紹介し、福島第1原発1号で2度爆発があリ、放射能が放出されたことも伝えている。

 イランと北朝鮮の両国外交官は福島の原発危機後も自国の原発計画に変更はないと改めて強調した。ドイツなどの欧州政治家たちとは異なり、両国外交官は原発開発問題では目下、まったく“揺れ”を感じさせない。