リビア情勢が緊迫の度を深めてきた。40年以上の長期独裁政権を堅持してきた最高指導者カダフィ大佐は退陣を拒否しているが、同大佐の退陣と民主化を求める国民の声は日増しに高まっている。
ところで、音楽の都ウィーン市がリビアの独裁者ファミリーと深い関係を維持してきたことは案外、知られていない。カダフィ大佐というより息子、セイフ・アル・イスラム・カダフィ氏(Saif al-Islam Qadhāfī)との関係は長い。
セイフ氏(38)は1998年から2000年までウィーン大学で経済学を学んでいる。同氏はトリポリからホワイトタイガー2頭を留学先のオーストリアまで運んできたため、オーストリア側はその対処に苦慮した。また、ウクライナの若い女性が07年、セイフ氏の別荘の窓から墜落するという事件が発生している。セイフ氏のオーストリア滞在中にはいろいろな難事が生じたが、深刻な外交問題まで発展しなかった。背景にはオーストリア極右政党「自由党」党首だった故イエルク・ハイダー氏(08年10月、交通事故死)との人脈があったからだ、といわれている。
当方は02年と04年の2回、ウィーンでセイフ氏と単独会見をしたことがある。04年10月の時は、ハイダー氏主催の歓迎会に姿を見せたセイフ氏と15分余り、会見した。知人の中東テロ問題専門家、アミール・ベアティ氏が仲介してくれたので会見はスムーズにいった。
当方は当時、大量破壊兵器(WMD)全廃宣言をした直後のリビア外交を中心に質問した。興味深かった点は、セイフ氏が北朝鮮の核問題について懸念を表明したことだ。取材ノートからその部分を紹介する。
――リビアは03年12月、WMD全廃宣言後、欧州諸国との関係改善に乗り出している。リビアの友邦国・北朝鮮の核問題をどのように見ているのか。
「かなり昔だが、父に随伴して北朝鮮を訪問し、故金日成主席と会見したことがあるが、わが国と北朝鮮は久しく良好な関係を堅持してきた。同国の核問題については懸念している。北朝鮮が米国などから体制維持への具体的な保証を得るなら、同国は核開発計画を断念すると確信している。安全が保障されるならば、平壌は核問題でもっと柔軟に対応できるはずだ」
セイフ氏はポップ・スターのように取り巻きや関係者から大歓迎されていた。同氏との会見は英語だったが、セイフ氏の声が聞き取れないほど、歓迎会場は騒々しかったことを思い出す。
さて、そのセイフ氏は20日、リビア国営テレビを通じて「反体制運動に対しては最後まで戦う」と表明、武力鎮圧の方針を強調したという。
政府側の武力行使で数百人の犠牲者が出ている。これ以上の犠牲者を出すべきではない。セイフ氏の勇断を期待する。
ところで、音楽の都ウィーン市がリビアの独裁者ファミリーと深い関係を維持してきたことは案外、知られていない。カダフィ大佐というより息子、セイフ・アル・イスラム・カダフィ氏(Saif al-Islam Qadhāfī)との関係は長い。
セイフ氏(38)は1998年から2000年までウィーン大学で経済学を学んでいる。同氏はトリポリからホワイトタイガー2頭を留学先のオーストリアまで運んできたため、オーストリア側はその対処に苦慮した。また、ウクライナの若い女性が07年、セイフ氏の別荘の窓から墜落するという事件が発生している。セイフ氏のオーストリア滞在中にはいろいろな難事が生じたが、深刻な外交問題まで発展しなかった。背景にはオーストリア極右政党「自由党」党首だった故イエルク・ハイダー氏(08年10月、交通事故死)との人脈があったからだ、といわれている。
当方は02年と04年の2回、ウィーンでセイフ氏と単独会見をしたことがある。04年10月の時は、ハイダー氏主催の歓迎会に姿を見せたセイフ氏と15分余り、会見した。知人の中東テロ問題専門家、アミール・ベアティ氏が仲介してくれたので会見はスムーズにいった。
当方は当時、大量破壊兵器(WMD)全廃宣言をした直後のリビア外交を中心に質問した。興味深かった点は、セイフ氏が北朝鮮の核問題について懸念を表明したことだ。取材ノートからその部分を紹介する。
――リビアは03年12月、WMD全廃宣言後、欧州諸国との関係改善に乗り出している。リビアの友邦国・北朝鮮の核問題をどのように見ているのか。
「かなり昔だが、父に随伴して北朝鮮を訪問し、故金日成主席と会見したことがあるが、わが国と北朝鮮は久しく良好な関係を堅持してきた。同国の核問題については懸念している。北朝鮮が米国などから体制維持への具体的な保証を得るなら、同国は核開発計画を断念すると確信している。安全が保障されるならば、平壌は核問題でもっと柔軟に対応できるはずだ」
セイフ氏はポップ・スターのように取り巻きや関係者から大歓迎されていた。同氏との会見は英語だったが、セイフ氏の声が聞き取れないほど、歓迎会場は騒々しかったことを思い出す。
さて、そのセイフ氏は20日、リビア国営テレビを通じて「反体制運動に対しては最後まで戦う」と表明、武力鎮圧の方針を強調したという。
政府側の武力行使で数百人の犠牲者が出ている。これ以上の犠牲者を出すべきではない。セイフ氏の勇断を期待する。
とても為になりました。