オーストリア統計局がこのほど明らかにしたところによると、離婚件数の約10%はインターネット交流サイト「フェースブック」(Facebook)の影響によるという。
 これまた「風が吹けば桶屋が儲かる」的論理に聞こえるかもしれないが、同統計局は真剣にそのように受け止めているのだ。
 同統計局の説明によると、「フェースブックは多くの未知の人々を短期間で容易に結び合わせることができる。だから、フェースブックを通じて知り合い、結婚したカップルが出てくる一方、あまりにも多くの人と知り合うことができることで“浮気の機会”も増えることになる」という。
 その結果、オーストリアでは年間約1万9000組のカップルが離婚するが、その1割はフェースブックの影響によるという調査結果が出てきた、というのだ。
 ちなみに、同国では結婚から離婚まで平均10年間だが、約26%は5年以内に離婚している。同国の首都ウィーン市は結婚した夫婦の3組に2組が離婚する都市として有名だ。

 知人の娘は「自分は世界に300人以上の友人がいる」と父親の知人に自慢したという。彼は「俺も仕事柄、多くの人々と出会い、知り合うが友人といえる人間はせいぜい数人に過ぎない」という。だから、娘の「300人の友人」と聞いて驚く一方、その「友人」の質について疑問を感じたという。
 若者たちはほとんどフェースブックを通じていろいろな友人たちと交流している。「フェースブックをもたないと、友達のサークルにも入れない」というほど、フェースブックは若者の社会では完全に定着している。

 今年に入ってチュニジア、エジプトなど北アフリカ・中東諸国で民主化運動が起きているが、「フェースブック」などソーシャルネットワークが国民を運動に駆りたたせているとして、欧米メディアは「フェースブック」を通じて民主改革への参加を呼びかけた「4月6日運動」を高く評価している。

 いずれにしても、フェースブックは新しいコミュニケーション文化だが、結び合わせる力(結婚)と同時に引き離す(離婚)力をも持っている。使い古された表現だが、全てはそれを管理する人間の対応次第でプラスにもマイナスにもなるわけだ。