旧ソ連連邦の宇宙飛行士、ユーリイ・ガガーリン氏が世界で初めて宇宙飛行に成功して今年4月12日で50周年を迎える。そこで国連宇宙空間事務所(UNOOSA)は今年、さまざまな記念イベントを予定している。
 ガガーリン氏の宇宙飛行成功は旧ソ連と宇宙開発を競っていた米国に大きな衝撃を与えた。ケネディ米大統領(当時)はその直後、飛行士を月に送る「有人宇宙飛行計画」(アポロ計画)を発表、巨額の資金を投入。そして米国のアポロ11号が1969年7月20日、人類初の月面着陸に成功した経緯は周知の事だ。
 月面に降りたアームストロング船長の「1人の人間にとって小さな一歩だが、人類には偉大な飛躍だ」といった発言は米国民だけではなく、世界の人々に大きな感動を与えた。
 ここでは世界初の宇宙飛行に成功したガガーリン氏の話を再度、思い出したい。
 ガガーリン氏はソ連邦の国家的英雄であり、同時に無神論者といわれてきたが、どうやら、そのガガーリン氏もスターリンが信じていたような無神論者ではなく、「敬虔なキリスト信者だった」という証がある。当コラム欄でも「スターリンと『神の軍隊』」(2006年10月5日)で紹介済みだ。
 ガガーリン氏の同僚、ワレンティン・ペトロフ大佐は2005年、インターファクス通信とのインタビューの中で、「ガガーリン氏は他のロシア人と同様、洗礼を受けていた。彼は信者だった」と明らかにしている。
 同大佐によると、ガガーリン氏が1961年、人類史上初めて宇宙を飛んだ時、「神はいない」と述べたといわれているが、実際は反宗教宣伝のためにフルシチョフ共産党第1書記(当時)が共産党会議で発した言葉であり、ガガーリン氏自身の発言ではなかったという。
 米ソ大国の宇宙開発競争は冷戦時代の終焉と共に終わりを迎え、宇宙開発は今日、資源開発、災害対策などが主要テーマとなってきた(もちろん、外国人工衛星撃墜など軍事目的も皆無ではない)。
 なお、米航空宇宙局(NASA)は将来の火星飛行を目指し、月をその中継拠点にする計画があるという。人類の宇宙への挑戦は今後も倦むことなく続けられるだろう。
 50年前のガガーリン飛行士の快挙を偲びながら、宇宙空間の平和利用が広がっていくことを期待したい。