ドイツは目下、イスラム過激派テロリストの脅威にさらされている。テロ情報に対して慎重な言動が目立ったデメジエール内相も今月17日、テロが差し迫っている危険性を表明したことは当コラム欄でも既に紹介した。
 今回はテロ情報を提供する欧米情報機関の工作活動(オペレーション)について紹介したい。
 デメジエール内相は19日、ハンブルクで、ナミビアの空港で17日に独ミュンヘン行きの貨物から発見された爆発物らしい不審物について、「テスト用模造品だった」と表明する一方、記者の質問に答え、「独捜査当局が自ら設置した可能性」も否定しなかった(後日、ナミビア空港警備責任者が模造品を設置したと述べている)
 欧米情報機関は自国の政治・軍事的立場を支持、強化するために様々な工作を行うことがある。例えば、イスラエルの対外情報機関(モサド)は過去、自国のユダヤ会堂(シナゴーグ)を放火しパレスチナ側の仕業と偽情報を流したことがある。また、アラブ諸国に住むユダヤ人を祖国に帰還させるために「アラブはユダヤ人にとって危険だ」といった情報工作を展開させたことがある、といった具合だ。
 身近な実例としては、ブッシュ米大統領(当時)が2006年6月、欧州連合(EU)議長国のオーストリア・ウィーンを訪問する直前だ。EU・米国首脳会談の会談場所となるホフブルク宮殿前の英雄広場で偽造爆弾物が発見されたことがある。オーストリア治安部隊が撤去して事なきを得たが、事の真相は、「米情報機関が中立国オーストリアの治安部隊の警戒体制を覚醒させるために模造爆弾を仕掛けた」というのだ。
 ところで、米中央情報局(CIA)はウィーンの北朝鮮の活動を監視するために様々な盗聴工作を行ってきたことは良く知られている。欧州唯一の北朝鮮直営銀行「金星銀行」を監視するため銀行の隣接の建物を借り、そこから盗聴していたし、欧州で核関連器材を調達していた北外交官の自宅を盗聴していたことが明らかになっている。
 中東テロ問題の専門家の知人は「米情報機関はその目的を達成する為に積極的に工作する」と証言している。
 ドイツに対するテロ警戒情報の場合、米情報機関だけではなく、独情報機関が情報操作や模造爆弾物の仕掛けなどの工作活動に関与していた可能性が十分考えられるというのだ。