ローマ・カトリック教会の最高指導者ローマ法王べネディクト16世の歴史的訪英イベント(9月16日〜19日)を4日間、中継した英国放送協会(BBC)に国民から約750件の苦情が届いたという。同国日刊紙デーリー・テレグラフが22日、報じた。
 それによると、約400件は「放送時間が余りにも多かった」というもの。約150件は「放送内容がローマ法王寄りだった」、100件は「法王に批判的過ぎた」という反対意見だ。ちなみに、「放送は良かった」と評価した数は100件に過ぎなかった。
 BBCは公共放送として国賓ローマ法王べネディクト16世の4日間の訪英期間中、終始中継してきた。ロンドンやバーミンガムの法王野外礼拝も中継した。その中継放送の総時間はサッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会のそれを凌いだというから、カトリック信者ではない英国民にとって確かに「余りにも中継時間が多かった」という苦情が飛び出すのだろう(BBC放送はBBC2でも放送し、ラジオ4でも流した)。
 それに対し、BBC側は「ローマ法王の訪英は非常に歴史的意義がある。英国民にとって重要なイベントだった」と説明している。
 一方、ローマ・カトリック教会総本山バチカン法王庁のロンバルディ報道官は「法王の訪英が成功したのはテレビ局の徹底した中継放送のお陰だ。英国国民は番組を通じてローマ法王への偏見を無くしていった」と分析している。
 バチカンによると、法王の訪英が終わった直後から、数百人の国民が英国カトリック教会インフォメーション事務所に電話するなど、カトリック教会への関心が高まってきたという。
 ちなみに、訪英前は、「べネディクト16世の訪英は、カトリック教会聖職者の未成年者への性的虐待問題や英国国教会との関係修復問題など難問が多い」として、厳しい司牧が予想されていた。英国メディアでもドイツ出身のローマ法王に対して批判的な記事が多かった。無神論者グループは「聖職者の性的虐待問題の総責任者であるローマ法王を逮捕すべきだ」と主張していたほどだ。
 ところが、英国のリベラル派日刊紙インディペンデントは20日付で、「法王の訪英は予想した以上に良かった」と評価しているほどだ。
 83歳のべネディクト16世は聖職者の性犯罪の犠牲者に会い、謝罪を表明する一方、「神を追放し、多くに人々、特に、ユダヤ人を迫害したナチス独裁政権に対する英国の抵抗運動を高く評価する」と述べるなど、その低姿勢な言動が英国民のドイツ出身のローマ法王への偏見を克服させたのかもしれない。