ローマ法王べネディクト16世は16日、法王として初めて英国を公式訪問し、同日午前、エジンバラに到着、ホリールードハウス宮殿で女王エリザベス2世と会見した。オーストリアのカトリック通信(Kathpress)の特派員は「同じ世界観を有する2人の君主」というタイトルでべネディクト16世とエリザベス2世の演説内容を紹介している。
 エリザベス女王は世界で最も著名な君主の一人であり、コモンウェルス(英連邦)、英国国教会の頂点だ。一方は世界に約11億人の信者を抱えるローマカトリック教会の最高指導者だ。文字通り、2人は世界の代表的“君主”といえるわけだ。
 両君主の会談は「非常に喜びと家庭的な雰囲気」(バチカンのロンバルディ報道官)の中で行われたという。
 エリザベス女王は、「宗教が憎悪の車輪となってはならない」と語ったローマ法王のアピールを支持した上で、カトリック教会との関係改善を希望した。
 一方、べネディクト16世は「欧州はキリスト教を土台としている」と強調し、「どのような多国籍社会でも伝統的価値観を維持し、キリスト教の土台を無視してはならない」と指摘し、英国が世界の舞台で政治的、経済的に中心的役割を果たしていると評価した。
 ところで、べネディクト16世はその前に、ドイツの過去に言及している。「神を追放し、多くに人々、特に、ユダヤ人を迫害したナチス独裁政権に対する英国の抵抗運動を高く評価する」と述べているのだ。
 ちょうどドイツ空軍の英国大空襲(1940年7月10日から同年10月31日まで、通称バドル・オブ・ブリテン)から70年目の今日、ドイツ出身のローマ法王が英国の地でこのように発言したことで、多くの英国識者はこの部分を驚きを感じながら聴いたという。
 ちなみに、ベネディクト16世は法王就任以来、演説内容で世界を驚かしてきた学者法王だ。法王就任年の9月、訪問先のドイツのレーゲンスブルク大学の講演で、イスラム教に対し「モハメットがもたらしたものは邪悪と残酷だけだ」と批判したビザンチン帝国皇帝の言葉を引用したため、世界のイスラム教徒から激しいブーイングを受けた。世界のエイズ感染者の67%を抱えるアフリカ訪問(09年3月)では、「コンドーム無用論」を発して、リベラルなメディアからバッシングにあったばかりだ。
 過去のそれらの演説と比べると、今回の演説内容については「ドイツ人出身の法王が自国の過去について自省の思いを込め、その見解を表明した」と評価する声が多い。