国際原子力機関(IAEA)の定例理事会で16日、イスラエルの核能力について欧米理事会とアラブ諸国理事国の間で激しいやり取りが展開した。
 その進展状況を知人のロシア人のS教授(旧ソ連邦時代の次官)に話すと、教授は笑いながら、「エンドレス(終わりのない)な議論だな」といって溜息をついた後、「どのような話し合いでも参加者(国)が2人(2カ国)だったら合意も可能だが、参加者の数が増えれば増えるほど、会議の成功の見通しは良くない」という“会議成功に関するロシア方程式”を明らかにした。
 その方程式を「中東和平への見通し」に適応すれば、イスラエルと特定の中東1カ国との交渉ならば、会議の見通しは悪くないが、イスラエルとアラブ中東諸国との会議となると、成功は期待できない、ということになる。国連の場などで中東和平問題を会議した場合、ロシア方程式によれば、「絶対成功しない」ということになる、
 その意味で、9月2日に再開したイスラエルとパレスチナの直接交渉は2カ国に留まる限り、成功の可能性はあるが、他国がちょっかいを出すと成功は覚束なくなる。
 教授は「中東和平が困難な理由の一つは、各国が独自の安全観を有しているからだ。中東各国は等しく安全を願っているが、その安全に対する認識で相違があるからだ」と述べた。
 それでは、中東地域の平和実現は“見果てぬ夢”で終わるのか、と聞くと、教授は「突発的な核戦争でも勃発すれば、その後、和平への動きが出てくるかもしれないが、それ以外、難しいかもしれない」と、「戦争直後の和平」しか考えられないというシナリオを半分冗談で、半分はまじめな顔で語った。
 ところで、冷戦時代の旧ソ連はアラブ・イスラム諸国(サウジアラビアを除く)と良好関係を築いてきたが、イスラエルとは余りいい関係ではなかった。それがここにきてイスラエルとの関係が前進してきた。
 教授は「それは当然かもしれない。イスラエル住むユダヤ人移住者の約3分の一はロシア出身者だからだ。その上、米国との関係を維持するためには、イスラエルとの関係が重要となるからだ。自分個人としては、ロシアの対アラブ諸国の関係はこれまで通り、良好であるべきだと思っているがね」と述べた。