山口貴士弁護士といっても「その人、誰?」といわれる読者が少なくないだろう。全国霊感商法対策弁護士連絡会に所属し、反統一教会(世界基督教統一神霊協会)弁護士として有名な人物だ。
 その弁護士が当コラム欄13日付で紹介したイタリアのトリノ大学内で開催された「新宗教に関する研究センター」(CESNUR)主催の国際会議の分科会「日本における強制改宗」に参加していたのだ。
 会議2日目の10日午前、「日本でのディプログラミング(強制棄教)」のタイトルで統一教会側からダン・フェッファーマン氏(Dan Fefferman)が日本での強制改宗の実態を紹介した後、強制拉致監禁グループによって12年5カ月間監禁された体験をもつ後藤徹氏が紹介された。
 後藤氏は自身の体験を通訳を通じて報告した。特に、解放された直後の同氏の痩せ細った姿の写真は会場の参加者に衝撃を与えたという。
 山口弁護士が発言したのはその後の質疑応答の時だ。同弁護士は「統一教会が主張する強制拉致監禁が事実なら、どうして日本の報道機関がそれを報道しないのか」と疑問を呈した上で、後藤氏の証を含むフェッファーマン氏の強制棄教の報告内容を「事実ではない」と否定した。
 そこでオーストリアの宗教活動家、ペーター・ツェーラー氏が山口弁護士に対し、「日本では人権擁護のNGOがほとんど存在しない」と伝えると、「それは侮辱だ。どうしてそんなことがいえるのか」と激しく反論。激高する同弁護士の姿は「聴衆には異様に見えたほどだった」という。
 ツェーラー氏は後日、当方との会見で「欧州では立場の相違は別として、自分の考えを冷静に専門的に説明できる論者を尊敬するが、山口氏のように、感情丸出しの発言は軽蔑されることがあっても、決して尊敬されることはないだろう」と語っていた。

 以上、トリノの国際会議に参加した日本の知人の報告をもとに伝えた。

 山口氏は弁護士だ。「事実の重み」を誰よりも熟知されていると信じたい。その人物が後藤氏の12年5カ月間の体験を「そんなことはなかった」と主張できるのだろうか。
 どのように詭弁を弄したとしても、後藤氏の体験は強制拉致監禁グループが犯罪人であることを実証している。